かしこく!馬と仲良くなろう

体験乗馬ではとても人懐こく感じたのに、実際に乗馬を始めてみると意外と他人行儀な馬が多いことに気づきませんか?フレンドリーな馬やシャイな馬など性格が一頭一頭違いますが、馬と言う動物の生態を知っていると仲良くなるコツが分かってくるかもしれません。馬とできるだけ早く仲良くなるために馬たちのことを勉強してみましょう。
馬の基本的な性格と注意点

馬は基本的に穏やかな性格をしていますが、とても臆病な動物でもあります。肉食動物に捕食される動物だったため、天敵が近づいてきたら少しでも早く逃げられるように遠くの音を聞き分ける聴力や真後ろの10度以外は見られる広い視野を持つように進化して、厳しい環境を生き抜いてきました。臆病なのは、周辺の変化にすぐに気づけた個体だけが生き残ってきたからではないかと言われています。
そのため、基本的に馬を驚かす行為は全てNGです。突然、大きな音や高い音を出すと、馬はとてもびっくりします。馬は真後ろの10度だけ見えないので、そこに立ってしまうと馬の恐怖をあおってしまい、後肢で蹴られてしまうこともあるかもしれません。絶対に馬の後ろには立たないでください。
また、肉食獣を思わせる直線的な素早い動きも苦手です。例えば、突然、馬の顔の前に近づくのは馬を怖がらせてしまうのでよくありません。斜め前の方から、ゆっくりとびっくりさせないように穏やかに声をかけながら近づきましょう。
馬と仲良くなるためには、あなたにマイナスのイメージを持たないように行動することがまず大切です。まずは好感度プラスマイナスゼロからのスタートを目指しましょう。
馬は賢い動物?

馬は賢い動物です。人間の3歳児くらいの知能があると言われています。人間でも3歳児にもなると結構いろいろなことを覚えられますよね。レッスン中に乗り手の合図ではなく先生の号令に従っている馬はいませんか?先生の号令を馬はよく覚えています。特に「止まれ」が得意な馬は多いようです。乗り手のタイプもよく見ていて、隙があれば止まろうとする馬も多いです。特に頭のいい馬は乗り手を見ると言われています。
馬は群れで生活する動物なので、社会性が高いのも特徴です。同じ群れにいるどの馬が強くて、どの馬が弱いか、どの馬の機嫌が悪いかなどを把握することができるそうです。また、人間の顔も覚えられ、表情を読むこともできると言われています。現在、純粋な野生種の馬は生き残っていません。野生種として絶滅をしそうになったときに、家畜化して生き残ることにしたのです。そのため、人間とのコミュニケーション能力も磨かれてきました。イギリスの大学では、人間の怒った顔と笑った顔の写真を見せる実験をしました。すると怒った顔の写真をみせたときに馬たちの心拍数が上がったそうです。ペットの犬などにも同じ事象が認められることから、人間の表情から気持ちを読みとっていると考えられています。また、北海道大学では人間の笑った顔に怒った声を付けて、馬に見せたところ、声に素早く反応し、写真を1.4倍も長く見ていたことが分かりました。表情と声色に矛盾を感じたためであると考えられます。こういったことからも、馬は人間の表情と声を結びつけて、感情を認識しているのではないかとされています。
馬との距離を縮めるコツ

まずは挨拶をきちんとすることが大切です。馬の挨拶は匂いを嗅ぐこと。自分の手を優しく馬の鼻の近くに持っていきます。馬が匂いを嗅いで、納得してくれたら低いトーンで穏やかに声をかけながら、首やおでこのあたりを優しくなでます。
お手入れやレッスンの間に馬にマイナスのイメージを持たれないように馬が嫌がることや苦手なことをしないようにします。例えば、お腹の部分が敏感な馬に強くブラシをあてたり、腹帯をいきなりぎゅっと締めたりすることは避けましょう。苦手なことも馬によって少しずつ違うので、じっくり観察をしてください。この人は自分の敵ではないと認識してもらえるのが仲良くなるための一つ目のコツです。
苦手なものを探しているときに、その馬が好きなことも見つけてみましょう。敵ではないと認識してもらえたら、威嚇されることもなくなります。そのタイミングでその馬が好きなことをしてあげると、「無害な人」から「気になる人」や「好きな人」に変わってくるかもしれません。一番手っ取り早いのは、おやつをあげること。おやつを嫌いな馬はいないので、覚えてくれると思います。ただ、おやつ頼みにならないようにその馬の好きなことを見つけて、コミュニケーションを取りましょう。
また、褒めてあげるのもとてもいい方法です。苦手なことを受け入れてくれたら、褒める。騎乗中に合図に従ってくれたら褒める。不思議なことに、馬たちは褒められていることをしっかり理解しているのです。この人はたくさん褒めてくれると覚えてもらえたら、レッスンも頑張ってくれるかもしれません。その代わり、よくないことをしたときもきちんと叱って、毅然と対応しましょう。
でも、一番大切なのは、こまめに会いに行くことです。乗馬クラブにはたくさんのお客さんがくるので、たまにしか来ない人の顔は馬たちも覚えられません。こまめに会いに行って、笑顔で優しく声をかけて、匂いを覚えてもらいましょう。まず自分の顔を覚えてもらわないことには、仲良くなるのは難しいかもしれません。
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まとめ
今回は馬とできるだけ早く、かしこく仲良くなれる方法についてご紹介しました。人間も馬も動物なので、基本的に仲良くなる方法は同じです。自分がされて嫌なことはしない。自分がされて嬉しいことをしてあげる。いいことをしたら、褒めてあげる。基本的なことですが、騎乗中などはつい一生懸命になりがちで、馬を褒めることを忘れてしまいがちになります。意識して、褒めてあげると馬もどんどんやる気になってくれるかもしれません!