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「鞍を置く位置」を学ぼう

「鞍を置く位置」を学ぼう

乗馬にも少しずつ慣れて、馬装も教わったけれど、何となく不安だという方は多いのではないでしょうか。特に鞍を置く位置はこれでいいのかなと疑問に思う方もいるのでは?鞍の位置は馬装の一番の肝ですが、馬体は馬によって異なるため、その馬にフィットする場所に装着する必要があります。できるだけ早いタイミングで、復習しておきましょう。

鞍の位置が重要な理由

「鞍を置く位置」を学ぼう

鞍の置き場所は安全面上の理由から非常に重要です。また、正しい姿勢で騎乗するためにも必ず正しい位置に装鞍することが大切です。例えば、鞍の位置がズレていると、腹帯の位置もズレてしまいます。腹帯の上から脚で合図をしても、馬にはとても分かりづらくなってしまいます。鞍が後ろにズレて置かれている場合、自然に手綱も長くなってしまい、コントロールが難しくなってしまいます。鞍の位置は、乗り手のためにも馬のためにも大切なのです。

正しい位置ではない時の馬への負担

「鞍を置く位置」を学ぼう

それでは、鞍の位置が正しくない場合、馬にはどのような負担を与えてしまうのか見てみましょう。

背中に『鞍傷(あんしょう)』のある馬をみたことがある方もいるかもしれません。馬の背中の一番高いき甲と呼ばれる周辺部分が鞍と擦れて発症します。その原因には、馬の体型や乗り手の技量によるものなどもありますが、鞍に起因するものも多いようです。例えば、腹帯が緩くて鞍がズレてしまうことも原因になります。腹帯が締められるのを嫌う馬もいますが、しっかりと鞍がズレないように腹帯を締めることは非常に重要なのです。

また、ゼッケンや鞍下など、鞍の下に使用する馬具が馬体に合っていないことも考えられます。さらに鞍を置く位置も大きな原因です。特に鞍を正しい位置より後ろに置いてしまうと馬の背中が傷つきやすいと言われています。鞍傷は痛みが強いため、一度、傷ができてしまうと装鞍がトラウマになってしまい、鞍を見ただけで反応してしまう馬もいます。

鞍傷を発症するまでには前兆があります。例えば、鞍の置く位置によって、一部、血流が遮られてしまい、その部分だけ、発汗をしていなかったり、体毛が逆立ったり、渦を巻いたりすることもあります。さらに圧迫された部分には腫れや熱感が出ることもあります。こういった前兆が、き甲の周囲に見られる場合は注意して観察しましょう。鞍を見ただけで、尻尾を振ったり、耳を伏せるなどイラだつ様子を馬が見せるようになった場合は、鞍が馬に合っているのか、装鞍位置が合っているのかをもう一度、確認してください。

この鞍傷を嫌って、前目の位置に鞍を装着する方も多いようです。しかし、前方に鞍を装着してしまうと、馬の肩が圧迫されてしまい、自由に動かすことができません。場合によっては、肩の骨が緩衝して、強い痛みの原因となることもあります。そうすると、やはり鞍を嫌がるようになってしまう馬もいるでしょう。

もし鞍傷ができてしまったら、できればケガが癒えるまでお休みをしましょう。回復して運動を再開する際は、き甲部分に穴のあいたパッドを使用することをおすすめします。よくき甲と鞍との間にクッションのようなものを使おうとする方がいますが、逆効果です。気を付けましょう。

鞍位置チェックのポイント

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ここでは、具体的に装鞍のポイントをチェックします。ゲルパッド、ゼッケン、ボアなどをき甲が隠れるように置きます。シワやヨレなどを直してから、鞍をゆっくりと馬の背中に乗せます。このときに、腹帯の通る場所が前肢のスレスレになってしまった場合は、鞍の位置が前過ぎると言えます。大まかに前肢から拳1個分くらい空いたところに腹帯を通すのが理想です。

また反対に、前肢から拳1個分以上開いているところに腹帯が通っている場合は、鞍の設置場所が後ろ過ぎるので、装着位置を調整してください。また、ゼッケンとき甲の間にやはり拳1個分程度の空間を作れるように、ゼッケンを上に持ち上げてください。き甲とゼッケンの間に十分な空間がないと、き甲のあたりが擦れてしまい、馬が鞍傷を負ってしまうこともあります。

馬の肩甲骨のある場所が分かる人は、肩甲骨の後ろ側に鞍の「ポケット」とよばれる位置が当たるように鞍の装着位置を調整するとよいでしょう。ただし、この方法は初心者だと少し難しいかもしれません。特にゼッケンやボアなどを使用している場合、肩甲骨と鞍のポケットの位置関係を把握するのは少し難しいので、まずは腹帯の位置をしっかり確認するようにしましょう。

また、自分で馬装着をしてみたものの、正しい位置に装鞍できているか分からないという方は是非、遠慮せずに近くにいるインストラクターや先輩ライダーに確認してみましょう。

まとめ

いかがでしたか。今回は、分かっているようで、実は不安を持っている方が多い装鞍の位置について、解説しました。鞍を正しい位置に装着することによって、乗り手は正しい姿勢で、馬は体を傷つけることなく、レッスンを進めることができます。人馬ともに安全で有意義なレッスンにできるように、鞍の正しい位置を覚えましょう。

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