頭絡と鞍を理解して馬をスムーズに扱う方法【初心者必見】

馬に乗るために欠かせない馬具が頭絡と鞍です。初めて馬具を見たとき「どうしてこんなにいろんなパーツがあるの?」と感じた人もいるかもしれません。今回は、その頭絡と鞍について必要性や各パーツの名称などを解説します。

頭絡とは?各部のパーツ紹介


頭絡(とうらく)は、馬の頭部に付ける馬具です。馬に指示を出すために重要な手綱も、この頭絡の一部。乗馬を始めたばかりのときは、うまく付けるのに苦労する人も多いですよね。馬具の手入れや馬装を通して、徐々に頭絡の仕組みを理解していきましょう。
項革・頬革・喉革
項革(うなじがわ)は馬の耳の後ろを通っている部分で、馬の頬に沿う頬革(ほほがわ)や喉革(のどがわ)と一体になっています。頬革は銜(はみ)につながっていて、銜の位置を一定に保つためのパーツです。一方、喉革頭絡が前にずれるのを防ぐ働きがあります。
額革
額革(ひたいがわ)は馬の額を通る部分で、スワロフスキーや刺繍などの装飾が施されたものもあります。装着した状態では、ちょうど項革と額革の間から馬の耳が出るような感じで、頭絡が後ろにずれてしまうのを防ぐためのパーツです。
鼻革
鼻革(はながわ)は、口角より少し後ろで頬革と直角に交わるような位置にあります。馬が大きく口をあいてしまうと銜の位置が安定しないので、鼻梁から顎までを革のベルトで一周するような形で留めるパーツです。
銜・手綱
馬の歯は、前歯にあたる“切歯”と奥歯のあいだに広く歯が生えていない歯槽間縁(しそうかんえん)という部分があり、ちょうどこの部分に銜(はみ)が入ります。銜は騎乗者が手綱(たづな)で伝えた扶助を馬が口で受けるための重要なパーツです。手綱を引くことで、銜によって口角が圧迫される仕組みになっています。

鞍とは?各部のパーツ紹介


鞍(くら)は馬の背中に乗せる馬具です。パーツが多く、名称を覚えたり正しく付けられるようになるまで少し時間がかかるかもしれません。鞍を正しく知ることは騎乗の安定感や安全性にも深く関わってくるので、少しずつ覚えてみましょう。
騎座・前橋・後橋
鞍の中で、人間が座る部分を騎座(きざ)といいます。その前後に前橋(ぜんきょう)後橋(こうきょう)と呼ばれる隆起があることで、人間の身体が前後にずれることなく安定した位置で座ることができます。
鞍辱
鞍辱(あんじょく)は、後橋の下にあるクッションのようなパーツです。反り上がった後橋と馬体の間に鞍辱があることで、鞍が安定するだけでなく馬への負担が軽減されると言われています。
鐙・鐙革
鞍には鐙(あぶみ)が付いていて、そこに足を入れることができます。鐙に頼りすぎてはいけませんが、不安定な馬上で騎乗者の身体を支えてくれるパーツの1つですね。鐙の長さは鐙革(あぶみがわ)で調整します。
あおり革・小あおり・膝当
あおり革は鞍の両側にあり騎乗者の脚が触れている部分で、鐙革や腹帯の金具から馬体を守っています。一方、あおり革の上部に小あおりが付いていることで、鐙革の金具が騎乗者の内腿に当たらないようになっています。また、あおり革の前方には膝当(ひざあて)が付いていて騎乗者の膝を支えてくれます。

頭絡の役割と使い方

頭絡の役割

乗馬用の頭絡は、拳による騎手の扶助を手綱から銜を通じて馬に伝える役割があります。一般的には馬に乗っているときに付けるものを指して頭絡と呼びますが、洗い場に馬をつなぐときに使用する無口(むくち)も頭絡の1つです。

頭絡の使い方

頭絡の多くのパーツは銜を適切な位置に固定するためにあり、その銜につながる手綱を騎乗者が操作します。手綱は“引く”イメージが強いと思いますが、他にも“譲る”“開く”といった扶助もうまく使っていきたいですね。
また、次に紹介するように銜や鼻革の形状によっていくつかの種類に分けることができます。馬の癖に合わせた頭絡を使うことで、銜受け(はみうけ)が良くなり扶助が伝わりやすくなるでしょう。

頭絡の種類

銜の違いによる分類
乗馬クラブでよく見かけるのが、水勒頭絡(すいろくとうらく)大勒頭絡(たいろくとうらく)です。各部の名称や働きに大きな違いはありませんが、銜の構造に違いがあります。
水勒頭絡の銜(水勒ばみ)は馬の口角に当たる部分が丸みを帯びた形状です。馬の口角への刺激が少ない、最も一般的な銜ですね。
一方、大勒頭絡は大勒ばみと小勒ばみという2つの銜を組み合わせて使います。大勒ばみには銜枝(はみえだ)と呼ばれる突起が付いています。このため、水勒よりも大勒の方が手綱を引いた刺激が馬の口に強く伝わります。
鼻革にも種類がある
乗馬で一般的なのは鼻梁から顎までを一周するフランス鼻革というタイプです。口を開けてしまうことで銜受けが悪くなる馬には、銜より前の頤(おとがい)のあたりを締めるドイツ鼻革やコンビ鼻革などを使用することもあります。

鞍の役割と使い方

鞍の役割

鞍は馬の背中に付ける馬具で、人間と馬の間でクッションのような役割をはたします。鞍を付けると、人間にとって安定性が高まるだけでなく馬の負担を減らすことにもつながります。人と馬双方の安全を守るための馬具というわけですね。

鞍の使い方

実際に鞍を使うときは、馬体に直接鞍を乗せるのではなくゼッケンやボアなどの上から鞍を乗せます。適切な位置に鞍が置けたら、それを腹帯で固定しましょう。最初のうちは正しい位置がなかなかつかめないかもしれませんが、周りの人に聞きながらコツをつかんでみてくださいね。

鞍の種類

鞍には、競技や目的によっていくつか種類があります。それぞれ、どんな特徴があるのか見てみましょう。
障害鞍
前傾姿勢をとることを前提に、その姿勢を安定させるような特徴が多い鞍です。例えば、前傾しやすいように後矯が高く上がっていたり、膝の位置が安定するように膝当が大きく作られていたりします。また、障害飛越では鐙を短めに調整するぶん膝が大きく曲がるので、それに合わせてあおり革は前方に張り出すような形状になっています。
馬場鞍
馬場では正反動で速足をすることも多く、鞍の上にお尻をつけたまま安定した姿勢を保つ必要があります。そのため、騎座は深く、後矯は障害用に比べると低くなっています。また、馬場馬術では鐙を長めに調整するのであおり革も少し長めになっています。
総合鞍
障害用と馬場用のハイブリッドで、どちらの競技でも使用しやすいように作られています。そのため、多くの乗馬クラブでは総合鞍を使っています。自分で鞍を購入するときも、よほど競技の方向性が決まっていない限りは総合鞍を勧められるはずです。
競馬の鞍
競馬用の鞍は乗馬の鞍に比べて非常に小さく、鎧もかなり短いです。そのため、競馬を引退して乗馬クラブに来た馬は、まず乗馬用の鞍を付けて慣らすところから始まります。ちなみに、競馬では鞍の重さを調整することでウエイトとしての役割も果たすのだとか。
ウエスタンの鞍
ウエスタンで使用する鞍の一番の特徴は“ホーン”と呼ばれる鞍前方の突起です。ポニーの曳馬などで、乗っている子が握っている部分ですね。実際は、持ち手としてだけではなく縄をかけるなど作業に活用するためのパーツだそうです。
また、前橋にあたる部分はほぼ垂直に立ち上がっていたり鐙が金属でなく革でできているなど、ブリティッシュの鞍とはさまざまな違いがあります。

まとめ

頭絡と鞍は、人間が安全に騎乗するだけでなく、馬の負担を軽減するためにも大切な馬具です。おおまかな構造や役割をしっかり理解しておきましょう。パーツの意味を知ることで、馬装もよりスムーズにできるはずですよ。

 

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