乗馬上達の基本中の基本「常歩(なみあし)」について

乗馬をするのであれば避けて通ることができないのが常歩です。常歩は基礎中の基礎ですので、レッスンを受け始めたら必ず練習します。むしろ常歩をしないレッスンは存在しません。

鞍数が上がり様々な歩様を練習するようになっても、必ず常歩をするのには目的があるからです。今回は常歩に注目をして、常歩をする目的や合図の仕方などについて解説していきます。

常歩の目的

乗馬において常歩は、たんに歩き始めというわけではありません。必ずレッスンの前に常歩をするのには、目的があります。「ウォーミングアップ」「リラックスさせる」「次の動作を出しやすくする」の3つです。ここではそれぞれ目的ごとに詳しく解説していきます。

ウォーミングアップ

運動をする時、初めから思いきり体を動かすという人は少ないでしょう。必ず準備運動をして固まった体をほぐしてから、徐々に力を出していくのではないでしょうか。

それはなぜか、ウォーミングアップなしで運動を始めればケガに繋がるからです。馬も同じです。馬にとって常歩は準備運動であり、体をほぐすことです。また天気関係なくレッスンを行う乗馬クラブもあり、馬場内がぬかるんでいる場合もあります。

常歩で足場がどのような状態かを確認することにもなります。馬にとってケガは命にかかわってくる重大な問題です。特に足にけがを負うことは、致命的と言えます。馬が足を骨折した場合、完治するのは大変難しいと言われており、安楽死の判断を余儀なくされることもあります。

リラックスさせる

乗馬は人馬一体になり、馬と人が同じ方向を向き、行うスポーツです。とはいえ、乗馬クラブでは初めてペアを組む馬とレッスンを行うこともあります。また初めてではないにしろ、まだまだ信頼関係が気づけていない馬とのレッスンに不安を抱く人もいるでしょう。

そんな時、常歩から始めることで、お互い乗り心地・乗せ心地を確かめ、気持ちを落ち着かせることができると言えます。馬と人共にレッスン前のリラックスタイムに使うことができるのです。

次の動作を出しやすくする

常歩はただ歩かせればよいというわけではありません。次の動作に移りやすくするための、準備運動でもあります。そのため、ダラダラと常歩させるということはしません。

ダラダラと常歩していることで、インストラクターから注意されることが多いです。常歩の段階でしっかり歩かせ前進気勢を高めておかないと、次の指示が出た時にすぐに行動に移すことができなくなってしまいます。

またダラダラと歩かせることで、馬の集中は途切れてしまいます。指示が伝わらなかったり、騎乗者を無視しようとする原因を作っていることになりますので、気を付けなければいけません。

常歩の歩様

ここでは歩様とは何かや馬の代表的な歩様とはどのようなものがあるのか、その中でも常歩とはどのようなものなのかを詳しく解説していきます。

歩様とは?

歩様とは馬の歩き方や走り方の事を指します。馬の歩様には、「常歩」「速歩」「駈足」「襲歩」など、様々なものがあります。その中でも馬の代表的な歩様は「常歩」「速歩」「駈足」で三種の歩度とも呼ばれ、基礎的な乗馬のレッスンで行われるものです。

乗馬の中でも馬場馬術の練習を始めると、ピアッフェやパサージュやピルーエットといった、少し特殊な歩様の練習もすることになるでしょう。また乗馬クラブのレッスンではなかなか練習する機会はないかもしれませんが、時代劇や競馬などで襲歩の走りをみることができます。

常歩とは

常歩は英語でウォークと呼ばれ、馬の歩様の中で1番ゆっくりとした歩き方です。乗馬において基礎中の基礎であるため、レッスンでは最初に習う歩様と言えます。

4本の足を別々に地面につけ、4拍子のリズムで歩きます。足の運び方は、右後脚・右前脚・左後脚・左前脚の順番です。常に3本または2本の足が地面についているので、その瞬間は地面についた3本または2本の足で大きな体を支えていることになります。

常歩をしている時の馬の頭は、上下左右に大きく動かします。しかし騎乗者には前後の揺れのみ感じ、あまり大きな上下の反動は感じることはありません。

常歩の合図の送り方とタイミング

ここでは常歩を行う際の合図の送り方と方法、タイミングについて紹介します。ぜひ参考にしてください。

常歩の合図の方法

馬を発進させ常歩をするための合図は、脚で馬の腹を圧迫し足首を軽く上下させます。乗馬を始めたばかりの人は、この圧迫の強さや足首を上下させる動きが分からず、馬を怒らせてしまったり逆に全く伝わらないなんてこともあります。

また感覚をつかむまで馬の腹を蹴り合図をするという方法をとるのですが、必要以上にバンバン蹴ってしまっている姿も見られます。自分が上に乗り命令をする側だという気持ちを持っていると、馬に対しての合図が強くなりがちです。しかしその考えは間違っています。

あなたが共にしている相手は、機械やロボットではありません。指示が伝わらないのには何かしら原因があるはずです。強く指示を出せば伝わるということではないので、優しく合図を心がけましょう。

タイミング

常歩の発進の指示をしたら、その後は何もしなくて良いというわけではありません。先ほども少し話が出ましたが、次の指示を出すためには、常歩で前進気勢を出させる必要があります。

どのように前進気勢を出すか、それは常歩の中でタイミングよく脚で合図をするのです。このタイミングとは、馬の右肩が前に出たら左足で合図を入れ、馬の左肩が前に出たら右足で合図を入れます。これを繰り返すことで馬は前に進もうという気持ちを保ち、歩き続けてくれるのです。

正しい姿勢をとることが大切

正しいタイミングで正しく合図を送ることはもちろん大切ですが、何よりも馬の上で正しい姿勢を保つことが大切です。正しい姿勢で座ることができなければ、馬の前進しようとする動きの妨げになります。

左右どちらかに傾かないようにバランスをとり、鞍にどっしりと座るのではなく、座骨を立て背筋を伸ばし騎乗姿勢を保ちましょう。また肩の力は抜き胸を開いて騎乗すると良いでしょう。緊張しすぎて前進に力が入ってしまうと、馬にも伝わり歩きにくくなってしまいますので、気を付ける必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。常歩は歩様の中でも基礎中の基礎です。常歩が上手く出せなければ、速歩や駈足に進めることもできません。

常歩の発進の指示が上手く伝えられれば、馬は歩いてくれるので簡単と思っている人もいるかもしれませんが、常歩の目的を理解し上手く歩かせることができなければ、マスターできたとは言えません。

乗馬の技術を向上させたいのであれば、基礎である常歩を疎かにすることはしない方が良いでしょう。

 

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