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馬の背中で体操するの?「馬上体操」とは?

乗馬を始めて少し経つと、レッスンの一環として「馬上体操」をする機会があると思います。言葉だけ聞くと曲芸のような光景を思い浮かべてしまいますが、実際はどんなことをするのでしょうか?この記事では、馬上体操の目的や方法、注意点などを紹介します。

馬上体操(ばじょうたいそう)の目的

馬の背中で体操するの?「馬上体操」とは?

バランス感覚を鍛える

馬に乗った状態でさまざまな運動をすることで、体幹の筋肉が鍛えられると同時に、身体で「馬の動き」を覚えることができるでしょう。加えて、馬上体操をする際は鐙(あぶみ)を外すので、足の踏ん張りに頼らず姿勢と太腿の力でバランスを取る力も身に付きます。


ゆっくりと歩く馬の上でも、最初は鐙を外したり姿勢を変えるだけで「怖い」と感じるもの。ですが、この状態でバランスがとれるようになれば通常の乗り方でバランスをとるのが楽に感じるはずです。

柔軟性もUP!

馬上体操では、自分の手で足首を持った状態で膝を下に伸ばしたり、大きく後ろに反ったりとストレッチ要素を含む動きもたくさんあります。股関節や足首の柔らかさは姿勢の安定にも深くかかわり、またケガの予防にもなるので、日頃からしっかりほぐしておけると良いですね。

人も馬もリラックス?

初めのうちは馬上体操に恐怖感がある人も多いのではないでしょうか?しかし、緊張した状態から意識的にリラックスする練習をしておけば、競技会本番でも緊張をほぐすこともできるようになります。


また、馬の動きに慣れてくると、それに合わせて体を伸ばしたり揺られたりするのが「心地いい」と感じるようになってくるはずですよ。そして、そんなときは馬も安心感を感じ取っていると言われています。

馬上体操のやり方

馬の背中で体操するの?「馬上体操」とは?

まずは安全確認から

馬上体操の最中は、普段より不安定な姿勢になります。そのため、騎乗や厩務にも言えることですが、特に事前の安全確認が重要です。具体的には、馬上体操を行うスペースに障害物がないか、他に運動中の馬がいないかよく確認しましょう。

鐙を外す&手綱を伸ばす

基本的に、馬上体操は鐙から足を外した状態で行います。鐙を下ろしておくと馬の脇腹近くでブラブラしてしまうので、必要に応じて鐙は鞍に上げます。また、手綱も緩めて馬の首がやや前に伸びるような形にします。


乗馬の始めたばかりの頃はバランスを取ろうとして手綱や鐙に頼りがちですが、この状態にすることで鞍にしっかり座ることに集中できるはずです。


準備ができたら、インストラクターの指示に従って体操開始。慣れてきたら、安全にできる範囲で自主的にストレッチしてみるのも良いかもしれません。

体操はゆっくりと

慣れてきたら速歩でも馬上体操をできるようになりますが、歩様にかかわらず馬上体操はゆっくりと力を抜いて行うことが重要。緊張を和らげるためにも、まずは常歩に揺られながら体操してみましょう。どうしても恐怖心が強い・姿勢が安定しない場合は、慣れるまで停止している状態で行う場合もあります。


もちろん、初めのうちはインストラクターが付いてくれるので、必要に応じて調馬索などを使用します。これなら、周りの確認や馬のコントロールに気を取られずにバランスに集中できますね。安定感が出てきたら、徐々に手や脚の位置を意識できるようにしましょう!

馬上体操の種類

馬の背中で体操するの?「馬上体操」とは?

ここからは、馬上体操で具体的にどんな動作をしたらよいのか詳しく紹介していきます。椅子の上でもできる運動もあるので「どうも馬の上でうまくできない…」という人は自宅でも試してみてはいかがでしょうか?

腕をまわす

手綱を両手で持った状態から、まずは片方の手を離して大きく円を描くように回します。何周か回したら、次は反対側の手を同じように回します。そして、今度は両手を同時に手綱から離して回します。この動きにより、肩甲骨や背筋が大きく動いてほぐれます。


ところで、こうして手を高く上げると「重心が高くなってバランスがとりにくい」と感じる人が多いのではないでしょうか?この気付きにより、普段の騎乗でも姿勢を安定させるために拳を下げる重要さを実感できるはずです。

体幹をひねる

腕の運動を終えたら、もう少し大きく体を動かします。まず、馬を褒めるときのように、馬の首や肩に触れましょう。ただし、馬の左肩には右手で、右肩には左手で触れてください。鐙を履いていないので、前傾しすぎてバランスを崩さないように注意!


次は、先ほどのように片手を離して身体をひねり、馬の腰に触ってみましょう。普段は馬の耳あたりを見て乗っているので、顔が真横を向くのは少し不思議な感じがするかもしれませんね。左右同じように、腹筋や背筋を使って体幹をひねります。

仰向けになる

ここまでできたら、今度は馬の上で仰向けになってみましょう。もちろん、脚は座っていた時のままで良いので、上半身をゆっくり後ろへ倒していきます。鞍の後橋が腰にあたって少し痛いかもしれませんが、可能なら自分の後頭部が馬の腰に付くまで完全に上体を倒しましょう。


前が見えないので不安にはなりますが、馬が歩く振動や身体の上下運動を感じるのは気持ちが良いものです。馬の関節や背中がどんな動きをしているか意識することで、だんだんと馬の動きも把握しやすくなりますよ。

脚を上げる

最後は、脚の運動です。まず膝を曲げて、自分の右手で右足首を持ちます。そのまま、足の裏をお尻に引き寄せましょう。この動きは、太腿の前側・内側の筋肉を伸ばす効果があります。


股関節を後ろに伸ばした後は、逆に膝を引き上げるようにして太腿を上げます。両足は難しいと思うので、片脚ずつやってみてくださいね。最初のうちは、この運動をすると脚の付け根が筋肉痛になるかもしれません。


どちらの運動も無理をして強く曲げるよりも、ゆっくり伸ばすことを意識しましょう。徐々に股関節や足首が柔らかくなれば、正しい騎乗姿勢も保ちやすくなるはずです。

馬上体操の注意点

馬の背中で体操するの?「馬上体操」とは?

ここまでの話で「気持ちよさそう!」と思った人もいる一方で「馬の上でそんなことをして落ちないの?」と不安になった人もいると思います。


もちろん、多くの乗馬クラブでは安全に配慮したうえでゆっくりと馬上体操を行います。そのため、落馬に至ることは少ないでしょう。ただし、鐙を踏まずに体幹を大きく動かすため普段よりもバランスが崩れやすい状態であることは確かです。


そのため、何よりも大切なのは無理をしないことです。バランスを崩しそうだと感じたら、何とか続けることよりもバランスを立て直すことに集中してください。


また、体操自体に関しても、身体に違和感があったら無理に続けるのはNG。簡単な動きとはいえ、普段はしない動きなので無理をすると筋肉や関節を痛める原因にもなり得ます。


馬上体操にはさまざまな効果が期待できますが、その反面注意も必要です。実際に行うときは、インストラクターの指導のもとで安全に行いましょう。

まとめ

馬の上でストレッチのような動作を行う「馬上体操」。最初は少し難しいと感じる人も多いですが、乗馬に必要なバランスや柔軟性を身に付けるために有効な運動です。乗馬の上達だけでなくケガの予防にも役立つので、ぜひ皆さんも機会を見つけてこまめにやってみましょう!

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