その他の馬術をご紹介します

一口に馬術と言っても、人馬が一体となって挑む競技はたくさんあります。日本馬術連盟で馬術の公式種目とされているのは障害・馬場・総合・エンデュランスの4種目のみですが、今回は世界馬術連盟での公式種目に認定されているウエスタン・馬車・軽乗について解説します!

ウエスタン競技

ウエスタン競技の概要

ウエスタン競技を見たことがない人でも「カウボーイ」と言われればその姿を想像できるのではないでしょうか?カウボーイはもともと、野生化した牛を輸送するために馬に乗って牛を追い集める職業でした。


臨機応変に、巧みに馬を操るカウボーイ。その技術や文化が元になって競技化されたものがウエスタン競技です。そのため競技でのファッションもブリティッシュとは異なり、カウボーイハットとジーンズが正装となります。

ウエスタン競技の種目


ウエスタン・ホースマンシップ
ウエスタンの競技では、馬の動きを競うものが多いですが、ウエスタン・ホースマンシップでは純粋に騎乗姿勢や扶助など選手の乗馬技術が審査対象。パターン審査レールワークという2つの方法で審査が行われます。

「パターン審査」では、定められたパターンと歩法で人馬が一組ごとに走行。そして「レールワーク」では指定された歩法で出場者が一斉にアリーナを走行します。言葉で聞くと単純にも思えますが、安定した歩法で走行する高い技術が必要な奥の深い競技です。


ウエスタン・プレジャー
長時間にわたり馬上で仕事をするカウボーイ。そのためには、人馬双方にとって負担の少ない走行を続けることが重要になります。そこから生まれたのがウエスタン・プレジャーという競技。

審査員の指示に従って選手全員が一斉に馬場内を走行するという形式で行われます。安定性、従順さ、調教度合いなどを見ているので、評価対象は主に人ではなく馬ということになりますね。見た目のインパクトには欠けますが、実用性のある競技といえます。


ショーマンシップ
ウエスタンでは珍しく、ショーマンシップは馬に乗らない競技です。分かりやすく言うとドッグショーのような形で、引き馬をして審査を受けます。人と馬が調和のとれた身だしなみであること、引き馬での誘導の正確性マナーなどを競います。


レイニング
ウエスタンの競技会で花形とも言われる競技がレイニングです。レイン=手綱のことで、手綱による指示が中心となることからこの名前が付きました。馬場馬術のように規定に沿った動作を披露する競技ですが、その動きはかなりダイナミック。原野で牛を追う動きから生まれた種目で、必要な急発進・急旋回・急停止などの技術を競います。


トレイル
トレイルでは、橋を渡る(ブリッジ)・丸太をまたぐ(ログ)・門を抜ける(ゲート)など牧場作業で出会う障害物が人工的に作られています。スピード競技ではなく「馬が怖がっていないか」「一定の歩法で通過できるか」といったコントロールの正確性・安全性を競います。


その他
日本で見ることができるのは上記のような競技が多いですが、他にドラム缶を回るタイムを競う「バレルレーシング」、スラロームのようにポールを抜ける「ポールベンディング」など迫力満点のスピード競技があります。

またウエスタンの本場アメリカでは、牛の群れの中から指定された1頭を確保する「カッティング」、1頭の牛を馬で追って指定されたコース上を歩かせる「ワーキングカウホース」、子牛の群れから決められた3頭を柵へ追い込む団体競技「チームペニング」など実際の牛を使った競技もあるのでぜひ見てみたいですね!

馬車競技

馬車競技の概要

馬車競技とは、文字通り馬車を引かせる技術を競う競技です。観光地などで大きな馬がゆっくりと馬車を引いているのは見かけるかもしれませんが、馬車競技では中世~近代ヨーロッパのような四頭立ての馬車などが見られます。馬匹数や内容、馬車に乗る人数は種目によってさまざま。馬車が猛スピードで駆け抜ける様子は、映画でも見ているようで見事というほかありません。

馬車競技の種目

ドレッサージュ
馬車競技にも、一般的な乗馬と同じくドレッサージュがあります。まさに馬場馬術と同じように、一定の間隔でアルファベットが振られた長方形の馬場で行われるドレッサージュ。複数の馬が歩調をそろえて、滑らかに馬車を引く様子に引き込まれます。


マラソン
マラソンと聞くと、平坦な経路を長距離走るというイメージがあると思います。しかし、馬車競技のマラソンはクロスカントリーのコースなどを使うのが一般的。さすがに飛ぶ障害はありませんが、馬車を操って障害物の間を走り抜け、池の中を水しぶきをあげながら進む豪快な種目です。

馬に指示を出すドライバー以外にも後部にメンバーが乗っていて、コーナリングに合わせて横転しないよう体重移動でサポートしています。選手として扱われるのはドライバーだけですが、このチームワークも見どころの1つですね。


コーン
馬車競技の中で、障害飛越のようなタイプの種目がコーンです。馬場の中に置かれた小さなコーンの間を規定された経路で通過して、障害飛越と同じくコーンに乗せたボールが落下したり、コースに沿っていなければ減点や失権となります。

ルールがほぼ同じとはいえ障害飛越よりは優雅なイメージのコーン。しかし、実際見てみると小回りや急なターンも多いので横転の危険性もあり、かなりの集中力が求められそうですね。

軽乗競技

軽乗競技の概要

軽乗競技では、馬場の中心に馬を走らせる人が立ち、競技の間は調馬索のように一定のリズムで馬を走らせます。選手は走っている状態の馬に飛び乗り、馬の上で体操のような演技を行います。


華やかなレオタードのような衣装、駆け足を続ける馬上でのジャンプやポーズなどを見ていると、乗馬の試合というより曲芸やショーのような印象を受けるかもしれませんね。ちなみに乗馬の競技としては珍しく、個人競技は男女別で行われます。


軽乗競技では一般的に馬に鞍は乗せず、腰のあたりまである広いクッションの上に、背取っ手の付いた腹帯のようなものを付けます。

軽乗競技の課目

軽乗競技の課目は3つあり、まず規定課目では、騎乗・着座・起立など規定された動作を行い、その運動に対する評価がメインとなります。そのほかに自由課目・技術課目というものがあり、こちらでは芸術性も評価の対象です。


また、選手の人数により個人・ペア・チームでの種目に分かれていて、それぞれに異なる魅力があります。いずれも、選手の運動能力だけでなく馬を安定して走らせ続ける技術も必要ですね。


評価方法は、複数の審査員による10点満点評価の合計なので馬場馬術と似ています。採点の対象となる要素の25%は馬に関すること、残り75%が人間の運動や技術、芸術性に関する評価となっているそうです。

まとめ

今回紹介した競技は、乗馬をやっている人でもなかなか見る機会は少ないでしょう。しかし、形は違えど馬とのコンタクトの取り方など参考になる部分があるかもしれません。なにより、馬の新たな魅力や自分がやっている競技では見られない能力を知る機会にもなります。ぜひ、現地や動画でいろいろな馬術を観戦してみてくださいね。

 

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