【馬界の美男美女】尾花栗毛をご紹介!

乗馬を楽しまれている皆さんには言うまでもない事なのですが、総じて馬の姿は美しいものですよね。速さを求めて品種改良を繰り返し進化を遂げてきたサラブレッドは、「走る芸術品」または「人間が作り出した最高の芸術品」などとしばしば言われますが、とりわけ美しいとされる「尾花栗毛」をご存じでしょうか。
今回は珍しくも見目麗しい尾花栗毛について調べてみました。
尾花栗毛の魅力

茶色の中でも明るく、オレンジに近いような黄褐色の毛色を栗毛と言います。個体によって色合いに違いはあるものの、一般的に想像する馬の毛色よりも鮮やかに目に映るので、毛色の判別はしやすいかもしれません。毛色の明度によっては黄金色と称される事も。その栗毛で稀に見られるのが、美しさにおいて一目置かれる「尾花栗毛」です。
尾花栗毛とは前髪、たてがみ、尾毛の長毛が白味を帯びた、あるいは金色がかっているもの。尾毛が尾花(ススキの穂)のように見える事からそう呼ばれているのだとか。つやつやとした栗毛の馬体に金髪さながらの長毛がコントラストを生み出し、気品あふれる姿を際立たせます。自然と注目が集まるのも納得でしょう。
代表的な尾花栗毛の馬

美しい毛色もさる事ながら、何故か尾花栗毛には美男美女が多いそうです。競馬界でも目を引く容姿故に存在感を示してきました。その代表的な馬たちをご紹介しましょう。
【ゴールドシチー】
1986年デビュー。活躍したのは約40年も前でありながら、四白流星尾花栗毛という華やかな見た目で印象深い馬です。ゲームではモデルもこなす100年に1人クラスの美少女ギャルとして登場していますね。阪神3歳ステークス(後の阪神ジュベナイルフィリーズ)を勝ったG1馬です。
【トウショウファルコ】
1989年デビュー。「尾花栗毛の貴公子」「金色の貴公子」と呼ばれ、熱い声援はもちろんファンレターが寄せられるほど。その人気は現役引退後も衰えず、誘導馬として活躍した東京競馬場でも美しい姿で競馬ファンを楽しませてくれました。誘導馬として最終日の昼休みにはお別れセレモニーが行われ、拍手で送られたそうですよ。
【タイキシャトル】
1997年デビュー。G1レース5勝を含む13戦11勝の戦歴で、全てのレースを3着以内という実力を兼ね備えた名馬。日本調教馬として海外G1を勝利し、1998年にはJRA賞年度代表馬、JRA賞最優秀5歳以上牡馬、JRA賞最優秀短距離馬(1997年と2年連続)、フランスエルメス賞 最優秀古馬を受賞し、翌年の1999年にはJRA顕彰馬を受賞しました。
【オルフェーヴル】
2010年デビュー。JRAのポスターでは「黄金色の芸術」というキャッチコピーがついています。またゴール後に騎手を振り落とすという、金色の暴君と言われるほどの気性の荒さは知られたところですが、クラシック三冠を制し、凱旋門賞は2年連続2着と海外でも証明された強さにはひれ伏すしかありません。
【トーホージャッカル】
2014年デビュー。2011年3月の大震災当日に生まれました。デビュー前には肺炎と腸炎を発症してしまい、生死の境を彷徨います。それによりデビューは遅れましたが、菊花賞にて初出走から149日という歴代最速でのG1勝利を収め、奇跡の馬と言われています。どこにいても目立つ、とにかくきれいな馬だったそう。
その他の馬の毛色の種類

その他にも馬には様々な毛色があるので簡単にまとめてみました。
乗馬クラブでも多く見かけるサラブレッドの毛色は8種類。公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナルで認められているもので、競走馬もこれに合わせて分類されています。
・鹿毛
馬と言えばなんとなく思い浮かべる赤褐色(赤味のある茶色)。長毛と四肢の下部(白斑は除く)は黒色です。
・黒鹿毛
黒味がかった赤褐色。色の濃さによって鹿毛や青鹿毛との判断が難しくもあります。鹿毛なので長毛と四肢の下部(白斑は除く)は黒くなります。
・青鹿毛
全体的に黒く、目の周りや脚の付け根、鼻の周りなどに茶色が見られます。こちらも長毛と四肢の下部(白斑は除く)は黒くなります。
・青毛
全身が黒く、サラブレッドでは比較的珍しい毛色です。
・栗毛
毛色と同じく、長毛と四肢も黄褐色になります。尾花栗毛はここに分類されます。
・栃栗毛(とちくりげ)
黒味がかった黄褐色。黒味が濃い個体もありますが、黒くはなりません。栃栗毛にも稀に尾花栗毛が現れます。
・芦毛
原毛色は栗色、鹿毛、青毛などですが全体に白色毛が混じっていて、年齢を重ねるごとに白い毛色になっていきます。肌は黒っぽく、そこから白毛との判別が可能です。
・白毛
生まれつき真っ白い珍しい毛色です。肌はピンク。眼には色素があり、ピンクの肌の一部に有色の斑点が見られる事からアルビノ(先天性色素欠乏症)ではありません。
それ以外では河原毛(かわらげ)、月毛(つきげ)、粕毛(かすげ)、佐目毛(さめげ)、駁毛(ぶちげ)、薄墨毛(うすずみげ)などがあります。
因みに青鹿毛と青毛に関しては、何故黒じゃなくて青なのかという疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。昔の日本では黒色は光すら吸収する色だと定義づけていたようなのです。馬の場合、黒すぎて逆に馬体がツヤツヤしているので、黒ではなく青と呼ぶようになりました。
まとめ
人々を魅了し、馬の世界に一層の華やぎを添える存在である尾花栗毛。立ち姿も歩く姿もそして走る姿も美しいとあれば、実際に自分の目で確かめたくなりますね。また珍しい毛色なので、出会えるチャンスがあればお見逃しなく。