【理想の騎乗姿勢を作る】足の裏の使い方

乗馬が上手くなる為の第一歩は、正しい騎乗姿勢を保つ事。簡単なように思えるかもしれませんが、立ち姿勢と違って動きのある馬上で正しい姿勢をキープするのは想像以上に大変な事です。そしてその正しい騎乗姿勢をサポートするのが意外にも「足の裏」。もし上半身だけで姿勢を保とうとしている方がいたら、足の裏の使い方を意識してみて下さい。
今回は足の裏を使うとはどういうことか、強化するには具体的にどのようにしたらよいのかをまとめてみました。
理想の騎乗姿勢

理想の騎乗姿勢として目指すのは、背筋を伸ばして両足裏・肩・骨盤を水平に保ち、横から見た時に騎乗者の耳・肩・腰・かかとが一直線上に並ぶ姿。そして鞍の中央に座り、両方の座骨で均等に乗り体重を支えるように心掛けます。これが馬への指示が伝わりやすく、馬も騎乗者も快適に動ける望ましい姿勢です。
その際に意識したいのは「母趾球に体重を乗せる」という事。
母趾球とは足の親指の付け根にあるふくらんだ部分を指し、歩行時には地面を蹴る時の推進力を高めたり、着地の衝撃吸収に役立っています。また不安定な状況でのバランス維持にも重要な役割を果たします。騎乗時には母趾球を鐙にしっかりと乗せる事で余計な力が入らず脚が垂直に下がるので、馬へ指示を出しやすい安定した騎乗姿勢に整えられます。
騎乗姿勢と足裏の関係

足の指を握るようにして母趾球と小趾球、踵の三点で立つように意識すると「軸を立てる」感覚を掴みやすいのだそうです。不要な筋肉を使わずに体を支えることができ、正しい姿勢や効率的かつ安定した動きに繋げます。このような足裏の使い方は、馬に跨って鐙に立ったときの足裏の感じに通じるものがあるという意見も。
レッスン中に「鐙をしっかり踏んで」「かかとを下げて」とアドバイスをされる事も多いでしょう。
実は「鐙をしっかり踏んで」というのは、踏ん張るようにして鐙を踏みしめる事ではありません。重心が鐙の真上にあれば、自然に体重を預けるだけで脚と鐙の位置が安定します。もちろん前述の通り、母趾球を鐙に乗せる事を忘れずに。
同じく「かかとを下げて」というのも、足首に力を入れて無理にかかとを下げるのとは違います。かかとを下げるように力を入れ過ぎると足は段々と前方へずれていきます。そうすると足首くらいまで鐙にはまっているようになりますし、かかとが体よりも前に出て鐙が前に突っ張っている状態に。これでは騎乗姿勢のバランスが崩れてしまいます。
トレーニング方法

普段の生活の中では足裏や母趾球を意識する事はなかなかないと思います。しかも足裏が重要と言われてもトレーニング箇所としては一般的ではないのでどうしていいか分かりませんよね。そこで足裏の強化を図るべく、おすすめのトレーニング方法を調べてみました。
【 10円玉スクワット 】
スクワットをする時に外荷重になると母趾球が浮いてしまう事があります。これでは母趾球にきちんと圧をかけられません。そこで左右の母趾球の下に10円玉を敷くのです。そうすると自然と母趾球に意識が向くようになり、圧をかけやすくなります。
【 つま先立ち 】
足を肩幅に開き、ゆっくりとかかとを上げてつま先立ちになります。母趾球に体重を乗せるよう意識して下さい。母趾球の感覚を養い、足裏全体の筋力強化を促します。
【 O脚や外反母趾対策用リングの使用 】
O脚や外反母趾の対策・予防として足指にはめるリングを使用します。はめるだけで自然と母趾球に体重がかかるようになっていたり、脚のバランスが向上したりするように設計されているので、使用していると母趾球の踏ん張りが利くようになるとか。
まとめ
普段の生活で意識する事の少ない足の裏が、思った以上に騎乗姿勢に影響するとは驚きでした。しかしその仕組みや意味をきちんと知っておくと、納得して足裏の使い方に意識を向けられそうですね。足裏のトレーニングは難しいと思っていましたが、10円玉スクワットやつま先立ちは自宅で手軽にできるので是非試してみて下さい。