初心者が馬と一緒に歩くための前進・後退・右折・左折
乗馬を始めてすぐは、馬への指示の仕方や馬の上でバランスを取る練習が続きます。鞍数が進むにつれ、前進・後退・右折・左折を習うようになると、乗馬の楽しさが増すとともに難しさを感じる瞬間が多くなるのではないでしょうか。
乗馬中級者・上級者が簡単そうに馬と歩く姿を見て、何が違うのか疑問にも感じるでしょう。しかし乗馬は自分一人で歩くわけではありません。馬に指示が通らなければ前進もできないのですから、難しく感じるのは当たり前です。
ここでは乗馬初心者が、馬と一緒に歩くためには何をすべきなのかを紹介します。また乗馬の基礎の動きとなる、前進・後退・右折・左折を行う指示の仕方や上手く行うポイントを解説していきます。
乗馬の難しさを乗り越え楽しい乗馬ライフにしましょう。
馬に動いてもらうためのコミュニケーション
馬の性格は基本的には大人しくて優しいです。体は大きいですが繊細で臆病な動物でもあります。犬や猫が個々に性格の違いがあるように、馬も個体差があります。
乗馬は人馬一体となることが大切です。また馬に動いてもらうためには、馬に合わせたタイミングで馬に合わせた指示ができることを求められます。そのため騎乗する馬とコミュニケーションを取り、馬の性格を把握する必要があるでしょう。
ここでは馬とコミュニケーションをとる方法を紹介します。
馬の感情を知る
馬はもちろん言葉を話すことが出来ませんので、会話をすることはできません。しかし耳や目の動きやしぐさから感情を読み取ることは可能です。そして馬の感情を把握するのもコミュニケーションの一つです。
例えば、不安な時は両耳をバラバラに動かし目もキョロキョロとさせます。警戒しているときには耳をピンと立て、怒っているときには耳を伏せ険しい目つきになります。
鼻を鳴らしたり前搔きしていればお腹がすいた、ブラッシングされ気持ちが良ければ鼻を伸ばします。このように感情表現豊かな馬は、見ていて愛らしく感じるのではないでしょうか。
人も機嫌が悪いときはそっとしておいてほしいですよね?馬も同じです。
馬の様子を観察し、今どのような感情かを知ることで、今どのように接すると良いのかが分かってきます。不安な時は声をかけ落ち着かせる、怒っていれば少し離れ原因を探すなど、その時々のコミュケーションを取ってみましょう。
馬に触れる
馬の首筋を優しくポンポンと叩くことは、馬を褒めるときによくやります。騎乗中や馬具の取り付けの時など、馬が協力的な時はたくさん褒めてあげましょう。馬は褒めてくれたり優しくしてくれた人のことは忘れません。
ブラッシングやエサやりなど積極的に馬に触れ、コミュニケーションを取るようにし、良い信頼関係を築きましょう。馬を触る際は馬は臆病な動物であるということは忘れないでください。
触れる際は驚かせないように気を付け、いきなり触ったり視界に入っていない状態から触り始めないように、声をかけてから触るなど、馬に認識してもらってから触ることを心掛けましょう。
また馬によって触られて嬉しい場所と触られたくない場所に違いがあります。その子に合わせた触り方をすると良いです。
顔・匂いを覚えてもらう
馬は人の動きを観察したり声をよく聞いています。とても賢い動物なのでたくさんコミュニケーションを取ることで、顔を覚えてもらうこともできるのです。また嗅覚も発達しており、匂いを覚えることも得意と言われています。
馬の鼻に手を伸ばし匂いを嗅がせたり、顔を見せ目を合わせたりコミュニケーションを取りましょう。
前進してもらう方法
乗馬を始め、最初に練習するのは「前進」でしょう。駆け足するにも障害を飛ぶにも、前進させることができなければスタートラインに立つことすらできません。
馬を前に進ませるだけなら簡単と感じる人もいるかもしれませんが、初心者の人にとってこの「前進」は意外と難しいものです。前進させるのは脚の扶助によって行います。
馬の腹をふくらはぎで圧迫し、足首を上下することで前進させることができます。初心者の場合必要以上に蹴っている姿を見受けられます。またその割には馬がびくともしないことも多いです。
それは馬と乗り手の意思疎通が出来ていないことで、馬の前進気勢がつくれていないことが考えられます。馬は人の心を読み取ることが上手な動物です。乗り手が焦っていたり指示に迷いがあると動いてくれません。
姿勢を正し自信をもって前を向いて騎乗しましょう。馬に合わせた脚扶助とこれから何をするのかを意識をすることが大切です。
後退ってできるの?
「馬って後退できるの?」と疑問に思ったことはありませんか?馬が前進する姿は見たことがあっても、後退している姿を見たことがないという人は多いでしょう。
動物の中には後退することができない動物もいますが、結論から言えば馬は後退することができます。乗馬中に後退させたいと思ったら、馬を停止させた状態から手綱を引き、馬の腹を圧迫し合図をします。
この時、乗り手は上体を起こしバランスを崩してはいけません。前に倒れると馬が前進の合図と勘違いすることがあるようです。
また後退の指示をしていないのにも関わらず、馬が勝手に後退してしまうことがあります。その時に確認すべきことは、「前方の馬との距離が詰まっていないか」「乗り手の騎乗バランスは崩れていないか」です。
この2つを確認し馬が勝手に後退することを阻止しましょう。
左右に曲がる方法
左右に曲がる為には、手綱での扶助を行う必要があります。右に曲がりたいのであれば右側の手綱を開きます。左に曲がりたいときには左側の手綱を開きます。またその際、開いていない側の手綱は馬の首に添わせます。
この扶助は開き手綱というものです。手綱を引っ張り馬の顔を進みたい方向へ向かせるのではなく、手綱を開くことで示された方向に進みやすく導く扶助になります。
初心者のうちは扶助がうまくいかないため、大きめな動作をするよう指導されることも多く、手綱を引っ張り顔を向かせることで曲がれるのだと勘違いしてしまう人もいるでしょう。開くという動作と引っ張るという動作は違いがあるので気を付けなくてはいけません。
ウエスタン式の乗馬おいては、左右に曲がるための扶助はちがいます。ウエスタンでの左右に曲がる扶助は、押し手綱です。
押し手綱の場合開き手綱とは逆で、右に曲がりたいときは左側の手綱を馬の首に押し当て、左に曲がりたいときは右側の手綱を馬の首に押し当てます。
このように同じ手綱での扶助であっても、ブリティッシュとウエスタンで指示の仕方が変わります。
まとめ
ここまで初心者が乗馬を始め習う基本的な動作、前進・後退・右折・左折について説明しました。この基礎的な動作を覚えることは、乗馬ライフをスタートさせる大切な一歩です。
始めはうまく指示を出すことができないかもしれません。指示の出し方が馬にとって分かりづらい可能性ももちをんあり練習が必要ですが、まずは馬を知ることも大切です
馬の感情を理解したり騎乗のとき以外でもコミュニケーションを取ることで、意思疎通ができるようになり乗り手の思う方向へ動いてくれるようになります。
乗馬は人が馬に乗ってはいますが、馬と一緒に歩くという思いが大切でしょう。馬と仲良くなることが早く上達するコツとも言えるでしょう。