必要なのは力じゃない!ブレーキのかけ方

馬を止めようとしているのに、全然止まらなくて怖い!と感じたことはありませんか?馬を止めることは一見簡単そうですが、実は初心者がつまづきやすいポイントです。今回の記事では、馬にブレーキをかけるための基本姿勢やコツを解説します!

ブレーキをかける時の基本姿勢

みなさんの中にも「馬を止めたいときは手綱を引く」と習った人は多いと思います。しかし、この手綱を引いているときの手足や身体はどのような状態になっていると良いのでしょうか?まずは、基本的な姿勢をおさらいしてみましょう。

肘を引く

馬は基本的に、手綱を強く引かれて進めなくなるわけではなく、手綱を引くという合図に気付いて止まります。そのため、反抗している場合などを除いてブレーキをかけるために強い力は必要ありません


まず、手綱を引くときは緩めていた薬指を握ります。適切に扶助が伝わっていれば、これだけでもピタリと止まる馬もいるでしょう。しかし、薬指で手綱を張っただけでは止まらない場合は、ひじを引きます。


引くといっても「思いきり後ろに引く」というよりは、を締めてひじを身体の横に固定するイメージです。脇を締めることで、馬が手綱を引っ張っても「簡単に腕が伸びてしまう」ということがなくなります。

上体の軸はしっかり

最初のうちは、手綱を引く(=腕を動かす)ことに集中してしまい体幹にまで注意が行かないかもしれません。しかし、上体がぐらついていると扶助が不安定になったり、馬が首を前に伸ばしたときに引っ張られたりしてしまいます。


また「止めるときは後傾姿勢」と言われますが、後ろに傾きすぎるとバランスを取るために拳が上がりがちです。拳が上がると、正しく銜受けができないまま強い力で引っ張られてしまうので馬にとって苦痛な状態になります。


そうならないためには、鞍にしっかりと座り後傾するにしても10~15°くらい。後ろに体重をかけるというよりは、背筋を伸ばして胸を張る程度と考えても良いかもしれません。

かかとを下げる

馬が勢いよく走りだしてしまい「バランスが崩れて落ちそう!怖い!」と思うとき、大抵の人は前方にバランスが崩れてしまうのではないでしょうか?これは、ビュンビュンと走っている馬の首が普段より斜め下方向に伸びて人間が引っ張られているせいなんです。


競馬のゴール前で大きく首を伸ばしてフィニッシュしている馬のような感じですね。これを邪魔せず正しいバランスでついて行けるのが鍛え抜かれた騎手さんたちのすごいところ。ですが、今回はブレーキを掛けたいので、この動きと逆の力が必要です。


そこで、脚を普段より前方に踏ん張る必要があります。このときにかかとが下がっていないと足が鐙に深く入りすぎたり脱げてしまったりと上手くバランスが取れません。しっかり鐙に体重をかけてかかとを下げると、脚が前に流れにくくなり姿勢全体も安定します。

止めたいときの基本姿勢 ・薬指を握りヒジを引く
・背筋を伸ばすようにやや後傾
・かかとを下げて鐙に踏ん張る

踏ん張るのはブレーキをかけたい時だけ!

馬に扶助を出すときに、ポイントになるのが“緩急”です。たとえば、皆さんが人から何か作業を頼まれたと考えてみてください。いつも口癖のように「遅い」と言ってくる相手より、いつもは黙って任せてくれる相手に「間に合わないから急いで」と言われた方が本気で急がなくてはと感じるのではないでしょうか?


馬も同じで、常に手綱が張って脚も踏ん張っている状態が続くと反応が悪くなってきます。また、同じ命令を出され続けることで、馬が混乱や苛立ちを感じると制御が難しくなるので要注意です。


いざというときにしっかり合図が伝わるように、普段は手綱を張りすぎず、脚も指示を出すとき以外は力を抜いておきましょう。

これはNG! ・常に手綱を張って足も踏ん張っている
・拳が上がったまま強く手綱を引く

腕や内腿の筋力だけに頼らず全身のパーツを使う

指~背中で手綱を引く

落ち着いた状態の馬であれば少ない力で止めることができますが、競走馬から乗馬に転向した馬などは、少しの刺激や周囲の馬の動きで急に走り出す場面もあります。こうなると、指や腕だけでは馬の力に負けてしまうかもしれません。


そんなときは、同じ「引く」動きでも、大きな筋肉を使うことを意識しましょう。例えば、手綱を引く動きに関わる部位では指→手首→腕→背中の順に筋肉は大きくなります。


腕を使って引いても力負けしてしまう場合は、前半で解説した姿勢も意識して背筋を使い自分の体重で引くようなイメージです。

腿・臀部・足で支える

とはいっても、手綱に体重を預けて引くのでなく、あくまでも体重を支えるのは脚とお尻。手綱にかかる体重は、しっかりコントロールできるバランスで鞍に座りましょう。


また、安定して座ろうとすると内腿で鞍を挟む力に頼りがちですが、お尻でしっかり座ることを意識しないと後傾し過ぎてしまいます。また、扶助を出していることが伝わるようふくらはぎもしっかり馬に触れ、体重は脚を通してしっかりにもかけます。


こうすれば「後ろに反りすぎた不安定な状態から戻ってこられず、半端な扶助を出しっぱなし…」という事態も防げそうですね。


ちなみに、馬が驚いたり興奮して走り出してしまったときは落ち着くための声掛けも有効。馬が指示を受け止められる状態にするため、ゆっくりと低めの声で「ホーウ」と声をかけると多くの馬は徐々に落ち着いてくるはずです。

POINT ・強い力が必要なときは背筋など大きな筋肉も使う
・馬を落ち着かせるため声掛けを行う

まとめ

馬は大きくて力が強い動物ですが、止まって欲しいという指示を伝えること自体に大きな力は必要ありません。より強い力や声掛けが必要なこともありますが、まずは「力で止まらせる」のではなく「姿勢の変化で指示を伝える」ことを意識しましょう。

 

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