初めてでも安心!初心者のための馬装の基本とコツ

乗馬を始めるにあたって、馬に乗ること自体に注目しがちですが、馬装もとても大切な乗馬の一部です。初めて乗馬クラブに行ったとき、「自分で馬装をやってみましょう」と言われて戸惑った経験がある人もいるのではないでしょうか。
今回は初めてでも安心して馬装ができるように、基本の流れからそれぞれのコツ、そしてミスを防ぐためのチェックポイントまでを丁寧に解説します。
基本の流れを理解しよう

馬装は、馬と自分が安全に、そして快適に乗馬を楽しむために欠かせない準備です。基本的な流れを理解することで、馬装に対する不安を減らすことができます。
馬の準備
最初に、馬にブラッシングをして汚れやほこりを落とします。馬は皮膚が敏感なので、ブラッシングすることで鞍やゼッケンによる擦れを防ぐことができます。
特に鞍を置く背中の部分は、念入りに行いましょう。
ゼッケン・ハーフパッドを置く
ブラッシングが終わったら、馬の背中にゼッケンを乗せます。ゼッケンは鞍の下に敷く布で、汗を吸い取ったり、鞍のずれを防いだりする役割があります。ゼッケンの上に、ハーフパッドやボアパッド、ゲルパッドを併用することもあります。パッドを乗せることで馬の背中を保護し、より快適な乗り心地を保つことができます。
ゼッケンは馬の背中の真ん中に置き、鞍を置く位置より少し前方に置くのがポイントです。
鞍を乗せる
全てのゼッケン類を重ねたら、その上に鞍を乗せます。鞍は重いので、馬の背中に衝撃を与えないよう慎重に行いましょう。鞍の真ん中にある前橋(ぜんきょう)が、馬のキ甲(きこう)のすぐ後ろに来るように調整します。
鞍を乗せる際には、ゼッケンやゲルパッドがずれないように気を付けましょう。
また、馬のキ甲(きこう)とゼッケンの間に隙間ができるように整えることで、擦れによる傷を防ぐことができます。
キ甲(きこう)とゼッケンの間に隙間をつくるには、鞍を乗せたら鞍はゼッケンの前部分から少し後ろにずらして位置を調整し、ゼッケンの前部分ごと鞍を少し持ち上げます。
腹帯を締める
鞍を乗せたら、腹帯を締めます。
まず、鞍の一番外側にあるあおり革をめくると、託革(たっかく)というベルトが2本または3本見えます。この託革と腹帯の金具を繋ぎます。託革が3本ある場合は、通常、外側の2本を使い、真ん中の1本は予備として残しておきましょう。
腹帯を片方つけたら、鞍とゼッケンの位置を調整します。 鞍が前に寄りすぎると馬の動きを妨げてしまうため、馬の前肢の付け根と腹帯の間に拳一つ分くらいの隙間を空けるのが目安です。これにより、馬のお腹が腹帯で擦れるのを防ぎます。
腹帯を締めるときは、馬が驚かないようにゆっくりと行いましょう。最初は緩めに締め、馬の様子を見ながら少しずつ締めていきます。腹帯のベルトの穴が左右で同じ数になるように、均等に締めることが大切です。
もし馬が嫌がって暴れるようなら、無理をせず乗馬クラブのスタッフに手伝いを頼みましょう。
頭絡をつける
頭絡は、馬を安全に制御するための重要な馬具です。馬の口にハミと呼ばれる金属の棒をつけ、手綱を介して指示を伝えます。
まず馬の左側に立ち、馬を繋いでいる無口の左側のロープや鎖を外し、手綱を馬の首にかけることで、馬が自由に動かないようにします。その後、無口を外します。
次に、頭絡のハミを馬の口にやさしく当てます。馬が口を開けてくれない場合は、人差し指で唇の隙間から軽く歯茎を押すと、自然に口を開けてくれます。
馬がハミを咥えたら、すぐに頭絡の項革(うなじかわ)を馬の両耳の後ろに通します。
項革を耳の後ろに通したら、両耳が項革と額革の間から出ていることを確認します。その後、喉革(のどがわ)、鼻革(はながわ)、頬革(ほおがわ)の長さを確認し、適切な位置に調整します。
最後に馬の前髪を整え、頭絡が馬に快適にフィットしているか確認しましょう。
頭絡をつける際は、馬に安心感を与えることが大切です。馬に話しかけながら、焦らずゆっくりと作業を進めましょう。ハミを強く押し付けたり、無理に口を開けさせたりしないよう注意してください。
頭絡を正しく装着することで、馬への不快感を軽減し、スムーズな騎乗に繋がります。
慣れないうちは乗馬クラブのスタッフに確認しながら行うのが一番です。
最終チェック
全ての馬装が終わったら、最終的なチェックをします。腹帯が緩すぎないか、鞍がずれていないか、頭絡が正しく装着されているかなどを確認します。
それぞれのコツ

馬装をスムーズに行うためには、いくつかのコツがあります。
馬の気持ちを理解する
馬装の基本は、馬に恐怖感を与えないことです。馬に近づくときは声をかけたり、体をなでてあげたりして、安心させてあげましょう。特に、初めて会う馬や慣れていない馬には、より丁寧な対応を心がけることが大切です。
腹帯は段階的に締める
腹帯を締めるときは、一度で強く締めすぎないことが大切です。馬は急に締め付けられると驚いて不快感を示します。そのため、最初は緩めに締め、馬場に入って歩き始めたら、少しずつ締めていくようにしましょう。
頭絡のつけ方
頭絡をつけるとき、馬が口を開けてくれないことがあります。そんなときは、ハミを片手で持ち、もう片方の手で馬の唇を軽く押すと、自然に口を開けてくれることが多いです。
ミスを防ぐチェックポイント

慣れてくると作業が雑になりがちですが、安全のためには必ず最終チェックが必要です。
鞍は正しい位置にあるか
鞍が前に寄りすぎていると、馬の肩の動きを妨げてしまいます。反対に、後ろに寄りすぎていると、鞍が不安定になり、馬に負担がかかります。鞍が馬の肩甲骨の後ろあたりにきているか、しっかりと確認しましょう。
手綱は絡まっていないか
頭絡をつけたら、手綱が絡まっていないか確認します。絡まったまま乗馬すると、いざというときに手綱をうまく使えず、事故につながる可能性があります。
馬の表情を観察する
馬装中に馬が耳を伏せたり、目を白黒させたりして嫌がるそぶりを見せることがあります。そのようなときは、馬装のどこかに問題がある可能性があります。無理に進めず、一度作業を止めて馬の様子をよく観察しましょう。
まとめ

馬装は、馬との信頼関係を築くための第一歩です。慣れないうちは時間がかかったり、うまくできなかったりすることもあるかもしれません。しかし、一つひとつの工程を丁寧に、そして馬の気持ちを考えながら行うことで、馬との絆が深まります。
初めて乗馬クラブに行ったときは、クラブのスタッフが丁寧に教えてくれるはずです。自分一人で馬装をすることが不安な場合は、遠慮なくスタッフに手伝いを求めましょう。
この記事で紹介した基本の流れやコツ、チェックポイントを参考に、安全で楽しい乗馬ライフをスタートさせてくださいね!