【これは知らなかった!】馬具いろいろ
乗馬を始めると馬具にもたくさんの種類があることに気づきます。1頭ずつ、癖や個性が異なるため、馬具もその馬に合わせたものを使用します。この記事では騎乗者自身の準備に加えて、馬の準備から騎乗までに使用する様々な装具や道具をシーン別に紹介します。
馬の準備
乗馬の準備を始める前に馬の準備を整えましょう。ここでは、馬たちの準備に使用する道具を紹介します。
無口と曳き手 馬を迎えに行こう
出番があるまで馬たちは自分の馬房で過ごしています。パートナーとなる馬を洗い場に連れてくる時に使用するのが無口と曳き手です。無口は犬にとっての首輪のようなもの。顔から首の部分にかけて装着します。無口を装着できたら、犬にとってのリードにあたる曳き手を無口につなぎます。無口のアゴのあたりにあるリングに曳き手の金具をつなぎます。
鉄爪(てっぴ)で裏掘りをしよう
洗い場につないだら、お手入れをします。まずは蹄底を清潔にしましょう。自分の肩を馬の肢の付け根に付けて、少し体重をかけると、馬が肢を上げます。そのタイミングで蹄を手のひらでつかみましょう。鉄爪と呼ばれる道具を使って蹄底に詰まっているボロ(馬糞)や泥を掻き出します。これを「裏堀りをする」と言います。裏堀りをしながら、蹄底にケガをしていないか、腫れはないか、悪臭はないか確認しましょう。
ブラッシング
次にブラッシングです。ブラシにも根ブラシ、プラスチックブラシ、毛ブラシ、ゴムブラシなど様々な種類があります。まず根ブラシでおがくずや大きな汚れを落として、腹部など繊細な部分は毛ブラシを使ってブラッシングします。ブラッシング中も痛みなどによる反応がないか、チェックしましょう。プラスチックブラシは泥汚れなどの頑固な汚れに、ゴムブラシは抜け毛やフケを取る時に使います。また、ゴムブラシは血行を促すため、マッサージにもなると言われています。
騎乗者の準備
騎乗者が快適に乗馬を楽しむために必要な準備もあります。ここでは、騎乗者に適した服装と装具について紹介します。
騎乗には長ズボン
騎乗者は上下とも動きやすい服装がマストです。下は必ず長ズボン(持っていれば、乗馬用キュロット)を準備してください。ストレッチがきいている、しっかりした生地のものをおすすめします。夏は半袖でも大丈夫ですが、通気性のいい長袖のインナーを着ているライダーもいます。
騎乗時の装具
騎乗時にはヘルメット、ブーツ、グローブ、プロテクターベストを装着します。頭、足、手、身体をそれぞれ守ってくれるものです。乗り手の道具に関しては、多くの乗馬クラブでレンタルの準備があります。騎乗の予約を入れる際にクラブに確認してください。
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乗馬の準備
裏堀りとブラッシングが終わったら、馬具を装着し、乗馬の準備をします。これを馬装と言います。馬装が始まると馬も仕事だと認識するようです。馬にも仕事に前向き、前向きではない、の個性があり、前向きではない馬は馬装に協力的ではない時も。上手くいなしながら、手早く馬装できるといいですね。
鞍と頭絡 馬装をしましょう
まずは四肢にプロテクターを付けます。馬の肢元を守るためのものです。その次はいよいよ装鞍(そうあん。鞍を馬に装着すること)します。まず鞍の下にゼッケンやボアなどを置きます。背中を痛めないように鞍の下に置くクッション材です。その上に鞍を置き、位置を確認したあと、鞍につけた腹帯を締めることにより装鞍します。鞍から鐙の長さは大体その人の腕の長さと同じくらいと言われています。装鞍時に鐙革の長さを調整しておくと騎乗時に楽です。最後に無口を脱着し、頭絡を付けます。頭絡には手綱とハミがついていて、車のハンドルやブレーキの役割を果たします。仕事に前向きでない馬はここで抵抗する可能性があります。歯を食いしばって、ハミを受け入れない馬がいたら、口角に優しく親指を入れてください。反射的に口を開けてくれるので、ハミを優しく口の中に入れましょう。
馬は繊細さん
馬は繊細な動物です。中でも乗馬クラブに多いサラブレッドはとても繊細です。お手入れや馬装を素直に受け入れる馬も入れば、苦手な馬もいます。悪いことをしたら、きちんと叱ることは大切ですが、乗り手側も馬の苦手なことを気にしてあげながら、準備をしましょう。特にお腹まわりは敏感なので、腹帯を締める際に反応するかもしれません。様子を見ながら、じわじわと締めます。馬が馬装に嫌なイメージを持つと、その次のお手入れや馬装で抵抗するかもしれません。馬のためにも、次の乗り手のためにも、馬に負担を掛けないように、優しくて、手際のいいお手入れや馬装が理想です。
まとめ
馬具には、ここでは紹介しきれないほどの種類があります。今回はシーン別に基本的なものを紹介しました。乗馬では、準備の段階から馬とのコミュニケーションが始まっています。楽しくスムーズな騎乗になるように、馬具の使い方を理解して、馬にとっても、乗り手にとっても、負担の少ない馬装を目指しましょう。