オシャレの為?リボンをつけた馬や、たてがみを編み込みしている馬の話
競技会や競馬を見に行くと、リボンをつけたり編み込みをしている馬を見かけることがあります。とっても可愛いのですが、実は“赤いリボン”にはおしゃれと別の意味も…。この記事では、そんなリボンの意味や、たてがみを編む理由を解説します!
しっぽに赤リボンの意味
蹴癖のサイン
馬によく見られる悪癖の1つに蹴癖(しゅうへき)があります。どんな馬でも怯えや不快感から蹴ることはあり得るのですが、多くの馬が蹴らないような状況でも人や馬を頻繁に蹴ってしまう状態が蹴癖です。
癖を矯正していくことも大切なのですが、人間側も事故がないように気をつけなければなりません。そのため、周りにいる人に「この馬は蹴癖がありますよ」と周知するための印が尻尾の付け根に結んだ赤リボンです。
どう気をつけるべき?
では、尻尾に赤リボンをつけた馬がいたら周りの人はどんなことに気をつけたら良いのでしょうか?
シンプルですが、一番大切なのは馬の後ろに回らないことです。また、馬に乗った状態でも後ろを通る時には遠くを通ったり、順次障害を飛ぶときは十分に間隔をあけるなどの配慮が必要です。
万が一、その馬が他の馬や人を蹴ってしまうと大ケガにつながりかねません。それだけでなく、その馬に騎乗していた人も反動で落馬する場合もあります。
オシャレの場合もある?
馬は体毛が短いので、飾りをつけると言ったらたてがみか尻尾、もしくは馬具に付けるしかありません。そのため、尻尾には蹴癖注意の赤リボンだけでなく、オシャレのためのカラフルなリボンを編み込んだり花飾りをつけることがあります。
そして、注意喚起の赤リボンの場合でも、その素材や形状に厳しい決まりはありません。そのため、毛糸で作ったボンボンや赤いお守り、白い水玉をあしらった可愛い赤リボンなど、厩務員さんが工夫を凝らしたリボンを見られる場合もありますよ。
頭に赤リボンの意味
咬癖のサイン
先ほどの尻尾にリボンは蹴癖のサインでしたが、頭に赤リボンは咬癖(こうへき)のサインです。咬癖とは、読んで字の如く人や馬を噛む癖のこと。蹴癖よりはいくらか危険は少ないですが、そうは言っても馬の門歯は固い草も千切れるようにできているのでケガをする場合があります。
また、噛むだけでなく引っ張ったり首を振り上げたりする馬もいて、体重の軽い人なら余裕で持ち上がってしまうので思わぬ事故につながる場合もあります。
どう気をつけるべき?
咬癖のある馬が近くにいた場合は、蹴癖の場合と同じく距離を取ることが大切です。人や馬を攻撃する悪癖は、単にその馬の気が荒いというだけでなく「人や馬に嫌な思いをさせられた」「怖い思いをした」という記憶が原因になっていることもあります。
そのため、周りも単に怖がって離れるだけでなく「馬や騎手が安心して練習や試合に臨める配慮として安全な距離を保つ」と考えると良いでしょう。
たてがみや頭絡のリボン
咬癖があることを伝えるための赤リボンは項あたりのたてがみに付けることが多いです。一方、イベントや競馬場では馬を華やかに飾る目的で頭絡にリボンを結んだり、たてがみ全体にリボンを編みこむこともあります。
オシャレ目的の場合は、馬具と色を合わせたリボンなどが使われることも。競走馬のオシャレに関しては、厩務員さんがリボンを選んでいることが多いようです。競馬好きの方は、レースの結果だけでなく馬の装いもチェックしてみてはいかがでしょうか?
たてがみを編む理由
さて、ここまでは馬が付けているリボンについて解説してきました。最後に、オシャレ繋がりで「たてがみを編む」ことについて少し解説します。
普段はサラサラと風になびいているたてがみですが、馬術の競技会などではキッチリとたてがみが編んである馬をよく見かけますよね。そのままでも十分きれいな気がしますが、なぜ編むのでしょうか?
馬も“正装”する
馬場馬術では騎乗する人間も燕尾服とトップハットで臨みます。それと同じく、馬も身だしなみを整えて“正装”をする意味でたてがみを編んでまとめていることが多いです。
もちろん、必ず編むと決められているわけではないので、敢えて美しい直毛や豊かなウェーブを生かしても問題ありません。
ちなみに、馬場馬術競技では華美な装飾は禁止されています。そのため、馬のたてがみを編むときにカラフルな髪ゴムは使えませんし、リボンや飾りもNGです。馬本来の美しさが際立つ身だしなみを、ということですね。
首筋をスッキリさせる
先ほど、競技会でたてがみを編むのは「決まりではない」とお話ししました。それでも編んでいる人が多いのは、首筋をスッキリさせるため。
どんな競技でも、たてがみがしっかりまとまっていれば手綱が捌きやすくなります。また、馬の動きが評価される馬場馬術では馬が正しく銜(はみ)受けしていると示すことも重要です。たてがみをまとめておけば、首全体は活動的に上がり、きれいに顎を引いているのがよく見えますよね。
このように、たてがみをまとめておくと騎乗者は動きやすく、また審査員にアピールしやすくなるので一石二鳥かもしれません。余談ですが、試合が終わった後に編んだたてがみを解くと、全体が天然パーマみたいになって可愛いな…と個人的には思っています。
前髪が邪魔にならないように
競技会の話が中心になりましたが、ポニーなどたてがみの長い馬は試合でなくてもたてがみを編んでいることがあります。特に、目まで隠れてしまいそうな前髪は三つ編みにしたりチョンマゲのように結っていることが多いですね。
競技会のときのようにシッカリとお団子にするのは大変ですが、ポニーのたてがみをまとめるのは長くて編みやすいですし、三つ編みにするととってもかわいいのでいろいろアレンジしてみたくなる人も多いのではないでしょうか。
まとめ
馬がたてがみを編んだりリボンを付けている姿はオシャレで、見ているほうも楽しくなります。ただし、尻尾や頭に赤いリボンを付けている場合は注意が必要です。赤リボンは蹴癖や咬癖があるサインなので、近くで練習したり世話をする場合は十分に注意しましょう。