【競走馬と乗馬の品種】こんなにあった馬の品種!
「馬の品種と言われても、サラブレッドとポニーくらいしか分からない…」という人は多いのではないでしょうか?しかし、世界中には200種類以上の馬がいるそうです。この記事では、その中から有名な品種の一部を紹介します。
主な品種は?
馬は人間との長い歴史の中で品種改良を繰り返され、その特徴によっていくつかの品種に分類されます。そのため、見た目がほとんど変わらなくても別の品種だったり、逆に同じ品種でも体格差がある場合もあります。
冒頭でも例に出したサラブレッドとポニーは競馬や観光乗馬などで活躍しているので、馬とのかかわりが薄い生活をしていても目にする機会が多いですよね。また、もし乗馬をやっていればアングロアラブ種やアラブ種(純血アラブ)、セルフランセといった品種にもなじみがあるかもしれません。
では、ここからは乗馬クラブでよく見かける品種を中心に、さまざまな品種を紹介していきます!
サラブレッド(Thoroughbred)系種
日本では、一般的に“馬”と言ったら真っ先にサラブレッドを思い浮かべる人が多いでしょう。サラブレッドは体高160~170cmで、体重は450~500kgと非常にスマートな馬です。より速く走るために改良を重ねられ、そのスピードと均整の取れた体形から「品種改良の最高傑作」と評されることもあるサラブレッド。
競争心が強いため、やや気性が荒く神経質な面が目立ちます。競走馬として育てられることが多いですが、成長してからもレースで成績を残して競走馬の親となることができるサラブレッドはほんの一握り。レースを引退しても金銭的な支援を得て牧場で余生を過ごすことができる馬もいますし、セカンドキャリアとして乗馬クラブで第二の人生を歩む馬もいます。
セルフランセ(SelleFrancais)
セルフランセはフランス原産の馬で、サラブレッドに比べるとガッチリした体型をしています。アングロアラブ種やアングロノルマン種などたくさんの血統が混ざっているため、同じ品種の中でも体格や体型に差が見られがちです。
性格は温厚で素直。また、持久力や跳躍力にも優れた優秀な品種です。そのため、オリンピックなどの国際的な大会でも入賞した馬の中にセルフランセが頻繁に見られます。
アラブ種(Arabian)
アラブ種は名前の通りアラビア半島で生まれた品種です。世界で初めて改良された馬はアラブ種だと言われており、アラビアの遊牧民によって長年改良が重ねられてきました。日本では、次に紹介するアングロアラブ種を“アラブ馬”と呼ぶことが多いため、それに対してアラブ種は“純血アラブ”と呼ばれます。
体高140~150cm、体重400kg前後と、サラブレッドに比べてやや小ぶりな傾向があります。また、比較的温厚な性格で、遊牧生活に適応した丈夫な身体も特徴です。
アングロアラブ種(AngloArabian)
アングロアラブ種はサラブレッドと純血アラブを交配した品種です。サラブレッドの気性の荒さがカバーされ、アラブ種より跳躍力に優れた馬と言われています。サラブレッドよりも丈夫で飼育しやすいため、乗馬クラブでもアングロアラブ種に出会う機会は多いのでは無いでしょうか?
その他の品種
ここまで紹介した馬は、馬術競技に使用されることが多い代表的な馬です。しかし、世界にはもっとたくさんの品種がいるので、有名な品種をいくつか紹介しますね。馬の分類方法には「温血種/冷血種/熱血種」といった気質(運動性)によるものや体格によるものなどがあるので、今回は体格ごとに見てみましょう。
ポニー種
ポニーは体高が147cmまでの小さな馬の総称で、その温厚さや小柄な体格から観光用やペットとして人気があります。中でも、現存する品種の中で最も小さいファラベラという種類の馬は体高わずか70cmほど。ちなみに馬の大きさを表す際によく用いられる「体高」とは、地面から頭の先までではなく地面から肩までの高さのことです。
古くは荷駄(荷物の運搬)や馬車に使用されていた品種なので、原種に近い体格のポニーは基本的には骨太で力持ち。そのため、小さくても大人を乗せることができます。ただし、ファラベラやミニチュアホースなど超小型の馬たちは乗馬に適さないため、ペット・アニマルセラピー・盲導馬など人の生活に密着した場での活躍が期待されています。
日本の在来馬もポニー種に含まれ、忍耐強く温厚な性格から長らく日本人の生活を支える動物でした。しかし、戦争を機に日本国内でも軍用馬の生産に力が注がれるようになり、大型馬の生産が盛んとなります。その流れの中で小型の在来馬は減少。現在では天然記念物に指定されているものの、その数は減り続けています。
軽種
前半で紹介したサラブレッドやアラブ種などの馬も軽種に含まれます。その他にも美しい馬が非常に多いので、ぜひ写真なども検索してみてくださいね。
アハルテケ
この見出しの画像(中央)の馬がアハルテケです。トルクメニスタン原産の細身な馬で、そのクリーム色でツヤのある被毛から“黄金の馬”とも呼ばれています。芸術品のような見た目とは裏腹に、砂漠の厳しい環境に適応した非常に丈夫な馬だそうです。
リピッツァナー
オーストリア原産のリピッツァナーは、その忍耐強さから馬術用の馬とされてきました。身体も丈夫で指示にも従順なため、軍用馬としても活躍したそうです。
トラケナー(トラケーネン)
馬の改良は、人間の戦争と非常に深く関わってきました。トラケナーの原産地であるプロイセンはオーストリアと長らく戦争をしてきましたが、その中でリピッツァナーに匹敵する馬をと作られたのがこの馬です。
プロイセンのシュヴァイゲンという品種とアラブの軍用馬を交配した、持久力とスピードを兼ね備えた馬といわれています。
アンダルシアン
スペインのアンダルシア地方は、現在も馬の飼育が盛んで王立の馬術学校があるほど乗馬が盛んです。そのアンダルシア地方で、北アフリカのバルブ種やイベリアの在来馬を交配させて生まれたのがアンダルシアンでした。ウェーブのかかった豊かなたてがみは野性的ながらも、どこか気品を感じさせます。
中間種
軽種よりもガッチリとしているものの、重種より細身なのが中間種です。前半で紹介した中では、セルフランセが中間種に該当します。スピードはサラブレッドに劣るものの温厚で体力もあるため、活躍の場は多い品種と言われています。
クォーターホース
主にカウボーイが乗っていた品種で、器用に指示に従うことができる馬です。そのため、ウエスタン競技だけでなくブリティッシュの馬場や障害、荷物の運搬など幅広い仕事をこなすことができると言われています。
温厚な性格ですが、クォーターマイル(400m)レースに用いられる馬だけあって最大時速88.5km/時という記録があります。つまり短距離ならば、サラブレッドと互角以上ということですね。
ハクニー
イギリス原産で、物怖じしない性格から軍用馬としても重宝された品種です。前脚を高く上げて踏み出す独特の歩き方はハクニー歩様と呼ばれ、その優雅で闊達とした姿からヨーロッパでは馬車を引く馬として人気があったそうです。
日本での知名度は高くありませんが、馬車を牽く馬の中では最高級の品種とも言われています。鉄道の発達により活躍の場は減ったものの、現在も馬車競技でその姿を見ることができます。
フリージアン
オランダの森林馬を元に作られた品種で、毛色は青毛のみとされています。一番の特徴はウェーブのかかった豊かなたてがみと尻尾で、ミステリアスな魅力から「イケメン馬」として取り上げられていることもありますね。
最近では馬場馬術でもフリージアンの姿を見かけるようになり、持ち前の器用さで活躍の場を広げています。また森林馬の特徴を多く残しており、脚や蹄の病気の少ない丈夫な品種です。
重種
重種は800kg〜1tほども体重があり、主に馬車の牽引や馬搬(山林から木材を運び出す作業)を担ってきました。走る速度こそ軽種・中間種に劣るものの、かなりの力持ちです。日本では、主に北海道の「ばんえい競馬」などで重種の馬を見ることができます。
フランス原産のブルトンやペルシュロンは日本でも軍用馬の改良や開拓のために広く飼育された時期があり、今も日本の輓馬ではこの2種類の血を継いだ馬が多いそうです。また、重種の中でもイギリス原産のシャイヤーは非常に身体が大きく、平均的な体高は180cmほどにもなります。
まとめ
馬は、それぞれの原産地に合わせて進化するだけでなく、人間の目的に合わせて改良が繰り返されてきました。それぞれの種類の原産地や歴史を知ることで、得意分野や特徴がよく分かりますね。