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馬の五感、感覚機能はどうなってる?

馬の耳の良さや視野の広さに驚いたことはありませんか?聴覚や視覚は五感と呼ばれる感覚機能の一つです。

動物はみな生きる環境に合わせ機能が発達すると言います。そのため、この五感は人にも備わっていていますが、発達の度合いは違いがあるでしょう。

ここでは馬の感覚機能と聴覚に関連して耳の動き、馬に見られる嗅覚に関わるフレーメン反射について紹介します。

馬にも人間と同じように五感があるの?

馬の五感、感覚機能はどうなってる?

普段気にしたことはないかもしれませんが、人間には五感と呼ばれる感覚機能が備わっており、この感覚機能によって情報を得て生活しています。五感とは「視覚」「聴覚」「味覚」「触覚」「嗅覚」の5つの事を指しています。

同じように馬にも五感が備わっており、五感によって様々な情報を得ているのです。ここでは馬の五感について紹介します。

視覚

馬の視野は350度と大変広く、真後ろ以外はほとんどの位置を見ることができます。これは馬の目の位置に理由があります。

馬の目の位置は両目の間隔が広く、顔のほぼ真横です。目は単眼視と言って、それぞれ独立して動かすこともできるため、自分を襲おうと近づく天敵の動きをしっかり確認することができるようになっています。急に馬のお尻側から近づいてはいけないという理由は、目の造りによって真後ろが見えず、驚いてしまうということがわかるでしょう。

また馬の目は距離感をつかむことを苦手としています。これは焦点を合わせるという筋肉が発達していないことが原因です。近い物を見るときには頭を上げ、逆に遠くの物を見るときは頭を下げ、焦点を合わせる姿が見られます。

聴覚

馬は音に敏感な動物です。人間が20ヘルツまでの音を聞き取ると言われている中、馬は30ヘルツまでの音を聞き取っているといわれ、人間が聞こえていない音も聞き取っています。これは危険をいち早く察知する為に発達したと言えます。

馬の耳は180度左右バラバラに動かすことができ、レーダーのような働きをしています。そのためあらゆる方向から聞こえてくる音をキャッチすることができるのです。

もともと臆病で敏感な動物のため、中には音が聞こえすぎることで、落ち着きが無くなってしまう馬もおり、あえて聞こえづらくするためにイヤーネットを着用することもあります。

味覚

馬の好きな食べ物と言えば、何を思い浮かべるでしょう。もちろん人によって食べ物の好みが違うのと同じように、馬も個体差があります。

しかし多くの馬は、人参や角砂糖・リンゴ・バナナといった甘味のある食べ物を好んで食べているイメージがあるのではないでしょうか。逆に酸味の強い物や苦みの強い物を好んで食べている馬は見かけません。

このように馬にも味の違いがわかる、味覚を持つということがわかります。

触覚

馬は触覚も敏感です。大きな馬の身体に小さな虫が止まった時、体を震わせたりしっぽを動かし追い払う姿を見たことがあるでしょう。敏感でなければ気が付くことは出来ません。

また乗馬で指示を出す際に、脚をお腹に当て動かしますが、ほんの少し動かしただけでも反応を示します。食べ物を器用に分類するのも、嗅覚と共に触覚を利用しておこなっています。

嗅覚

馬は嗅覚も優れており、仲間を確認するときや食べ物を見つけるときに嗅覚を使います。食べ物の中に危ない物が入っていないかも、嗅覚で確認することができます。

また人が近付くと鼻をすり寄せる姿を見せますが、馬は嗅覚を使って人を覚えることができるのです。

馬の感情は耳から読み取れる

馬の五感、感覚機能はどうなってる?

馬の聴覚が優れており、音をキャッチするのに180度動かすということは、聴覚の見出しで紹介しました。そこで分かるように、馬の耳が様々な動きをします。

実は馬の耳が様々な動きをするのは、音を聞くためだけではありません。馬の感情がよく表れる部分が「耳」なのです。ここでは馬の耳から読み取れる感情を紹介します。

耳を前に向けピンと立てる

前方に何かがあるのを見つけた時や何か音が聞こえた時に見せる耳の動きです。動いている物や音を出している物に対し興味を示し、何なのか確認しているのです。

何かわからない物に緊張している状態でもあるので、「大丈夫」と声をかけ安心させてあげましょう。

耳を横に向ける

のんびりしている時やブラッシングで気持ちよくなっている時の耳です。穏やかな気分になっています。

しかしこの耳は、体調がすぐれない時にも見せるため、耳だけでなく馬の表情や様子も一緒に見て判断をするようにしてください

耳を後ろに伏せる

驚いたときや不快な気持ちになっている時に見せます。何が原因か確認をしてあげましょう。また自分が騎乗中にこの耳をした場合、騎乗の仕方や指示の仕方に問題かもしれません。

後ろに伏せる中でも、頭につくほど伏せた場合は、馬が怒り威嚇をしています。興奮していることも考えられますので、不用意に近付いてはいけません。

噛まれたり蹴られることもあるので、馬が落ち着くまで少し離れて様子を見ましょう。また騎乗中に自分の馬が耳を伏せた場合、前の馬を噛みに行ってしまうこともあります。必ず一馬身以上の距離を取るようにしましょう。

両耳を小刻みにくるくると動かしている

落ち着きがなく耳をくるくる動かすのは、馬が考え事をしたり不安な様子の表れです。周りの状況を把握したいと耳を動かしています。

不安な様子は目にも一緒に表れ、耳だけでなく目もキョロキョロしているでしょう。

フレーメン反応とは

馬の五感、感覚機能はどうなってる?

フレーメン反応という言葉を聞いたことがあるでしょうか。馬が笑ったように見える表情をする事です。このフレーメン反応は哺乳類に見られる反応で、馬の他にも猫・牛・羊・象などにも見られます。

では具体的にには、フレーメン反応とはどのようなもんなのでしょうか。ここではフレーメン反応の起こる理由や嗅覚との関係を紹介します。

フレーメン反応はなぜ起こる?

フレーメン反応が起こる理由は、「匂いを嗅ごうとしている」「発情している」ことが挙げられ、匂いに生理的反応を示しているといえます。フレーメン反応は嗅覚しぐさと呼ばれるように、馬は危険な物がないか匂いで判断します。特に初めての匂いや良いニオイに反応し、フレーメン反射が見られます。

また馬は人を背中にのせることが多く、嗅覚が優れている馬にとって匂いは人を認識する材料の一つになるのです。そのため、人が近づいた時に匂いを嗅ごうとし、フレーメン反応が出るのでしょう。

もう一つの理由は、フェロモン受容のためと言われています。雌馬の尿やお尻の匂いを嗅いだ際におおり、より多くのフェロモンを感じ取ろうとします。雌馬の匂いが付いたタオルに対しても、雄馬はフレーメン反応を見せます。

嗅覚との関係

馬のフレーメン反応は、生理現象の中でも匂いに関わっており、嗅覚と関係があると言えます。フレーメン反応の際の馬の表情から、喜びなどの感情の表れに感じるかもしれませんが、全く関係ありません。

馬は笑顔ですが、猫は顔をしかめるなど、同じフレーメン反射と呼ばれても動物によって表情は違います。実際にフレーメン反射をしている馬を探してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
馬は人間と同じく、五感を使い物事の判断材料としていることが分かったのではないでしょうか。自然の中では馬のような草食動物は獲物として狙われる可能性があり、敵から逃げる為に感覚が発達しています。

その発達した機能を知ることで、馬がなぜ不安そうにしているのかやパニックになっている理由を推測することができます。馬を理解し、馬と仲良くなりましょう。

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