【馬も重い?】乗馬に体重制限はあるの?
「乗馬ってダイエットにいいっていうけれど、今の自分の体重で乗っても大丈夫?」「乗馬ダイエットの前にダイエットが必要かも?」そんな不安はありませんか。
馬は馬車をひいたり、荷物を運んだりと力持ちのイメージがあるけれど、競馬などでみられる馬はみんな細くて、飛ぶように走ります。
「乗馬を始めたいけれど、体重制限はあるの?」気になる疑問に答えていきます。
何キロまで乗れる?
乗馬は老若男女楽しめるスポーツといわれています。そのため、誰でもできるように思えますが、乗馬クラブによっては年齢制限や体重制限を設けているところもあります。
その理由は、乗馬を安全に楽しむためです。例えば、馬を手綱でコントロールするにはある程度の力が必要になるため、乗馬クラブによって子供は「5歳から」「小学生から」といったように年齢制限を設けています。
また、身体の大きな馬でも人を乗せることに負担があるため、馬の安全・福祉のために体重制限を「80㎏」「90㎏」設けているところもあります。
では、この数字はどのようにして出されたのでしょうか。それは鞍などの馬装と人の体重を合わせて、その馬の体重の20~30%といわれおり、出された数字です。ここで次の疑問が出てくると思います。
「馬の体重ってどれくらい?」それについて、説明します。
馬の体重は種類によって違う
ひとことで「馬」といっても種類によって、体型も役割も違ってきます。馬の種類は、重種・中間種・軽種・ポニーに分かれています。
ポニーの中でも品種によって、子供を乗せられる品種、子供さえも乗せられない品種がいます。ここからは、ポニーを除いた3種類について説明します。
重種の体重
重種とは体重が800㎏から1tを超える馬で、スピードはありませんが体が大きく力持ちで馬車やソリをひいたり、畑を耕したりします。
観光地で馬車をひく馬、北海道のばんえい競馬の馬たちが重種に分けられます。
軽種の体重
軽種とは、競走馬や乗馬で使われる馬で、代表的なサラブレッドの体重は400~500㎏といわれています。つまりサラブレッドの体重は重種の半分になります。
また、サラブレッドは人間が作り出した最高の芸術品・走る芸術品といわれるほど美しい馬です。しかし、繊細で臆病な性格であったり、細い肢は怪我をしやすかったりと、心身ともにデリケートな品種です。
中間種の体重
中間種はその名の通り、重種と軽種の間の中間の馬です。中間種の中でも品種によって、馬車をひいたり、乗馬用の馬として使われたり、役割が変わってきます。軽種ほどスピードはありませんが、温厚な性格で、馬場馬術用・障害飛越用・ウエスタン乗馬用にむいています。
競技会を見る機会があれば、ぜひ中間種も探してみてください。
馬への負担は?
馬の種類によって体重が大きく違うこと、また乗用馬でよく使われるサラブレッドの平均体重が理解できたかと思います。
ここからは馬装と騎乗する人の体重の合計を馬への負担重量とした場合、馬への負担と影響について説明します。ちなみに鞍も目的に合わせ種類があり、重さも変わってきます。乗馬で使われる鞍は、鐙まで入れて5~10㎏といわれています。
負担重量10%未満の場合
より良いパフォーマンスを求めるならば、負担重量は馬の体重の10%未満がよいといわれています。
具体的に説明すると、450㎏のサラブレッドの場合は45㎏未満ということになります。このことを考えると、競馬用の鞍はどうして軽量化され、競走馬に乗るジョッキーは体重管理を行うのか、理解できるかと思います。
なお体重の10%を超えると20%までとパフォーマンスは変わらないようです。
負担重量20~30%の場合
この範囲が乗馬を始めるうえで一般的な負荷になります。ただ、20%の場合でもずっと人を乗せていると、馬も疲れがみえてきます。25%を超えると、馬も息が乱れたりするようで、馬の安全や福祉を考えると、鞍や腹帯、鐙などの馬具も含め、馬の体重の30%までとされています。
負担重量30%以上の場合
馬車をひいたり、農耕馬として活躍することがあるため、馬は力持ちのイメージがあるかと思います。しかし、30%以上の負担重量では馬も腰や背中、足を痛めてしまうことがあります。馬の安全・福祉を考えると負荷体重は30%以下にするようにしましょう。
また、乗馬を始めたばかりの初心者の方は力の抜き方が分からないことがよくあります。そうすると45~50分のレッスンを乗り続けるのは、人だけでなく馬にとっても負担になります。
もし、自分の体重が馬への負担になってしまうのではないか、具体的な体重制限の数字を知りたいという場合は、乗馬クラブのホームページなどのwebサイトを調べてみましょう。乗馬クラブによって明記している体重制限が異なります。
webサイトなどで体重制限がなければ、電話などで個別に乗馬クラブに問い合わせをしてみましょう。
乗馬クラブにはダイエットを目的に通っている人も多いので、体が大きい人もいますし、体が大きい馬もいます。しかし、体重が重いことで乗れる馬が限られることがあります。その場合は、いつも同じ馬ばかりになってしまうこともあることを覚えておきましょう。
重いメリット
ここまでの説明にで、「体重は軽い方がいい」と思ってしまう人もいると思いますが、実は負荷体重が重いことのメリットもあるので紹介します。
体重が重いことでのメリットは、「足に力が入る」ことです。馬に動いてもらうためには、足を使って馬に指示を出します。そこで足にしっかり力が入ることで、馬へ推進力として伝えることができます。つまりスピードを競う競馬では体重が軽い方が有利ですが、馬場馬術や障害馬術のような競技は、馬を弾ませることが必要になります。そのためにはある程度の体重が有利になるのです。
重いデメリット
体重が重いことでのデメリットとしては、これまでの説明の通り、馬への負担が大きい・馬の足が故障しやすい、乗馬クラブで乗る馬がいつも同じになる可能性があるほかに、騎乗する人間も体力的にきつく感じます。そのため、乗馬を始めても楽しさを感じるよりもつらさを感じてしまい、長続きしない人もいます。
騎乗中に体力がつらく感じられる場合は、まずは「乗馬というスポーツでダイエットをしている」と考えてみてはいかがでしょうか。乗馬は全身を使うスポーツであり、有酸素運動です。スポーツをして健康的なダイエットをしていると思えば、多少の辛さは納得できます。
また、乗馬クラブや施設によって体重制限の数字が異なります。これは、乗馬の内容や騎乗時間、騎乗する馬によって体重の制限が変わってきます。例えば、サラブレッドは足を故障しやすい品種ですが、ウエスタンの外乗施設などにいるクォーターホースなどの種類は、サラブレッドに比べて小柄ですが、足腰が強い品種です。そのため同じ軽種でも可能な負荷重力、騎乗する人の体重もサラブレッドよりクォーターホースの許容範囲が広くなります。
このように、施設で騎乗可能な馬としてどのような馬がいるかかによって、設定されている制限体重が変わってきます。
まとめ
昔は農耕馬として重たい荷物を運んだり、人を乗せたりして、人間の生活を支えていた馬。そのためか、馬は力持ちという印象が強いと動物です。しかし、過剰に重すぎると怪我をしやすかったり、背中や腰を痛めたりする可能性があります。
そのため鞍などの馬装と騎乗者の体重を合わせて、馬の体重の30%以下になるように、乗馬クラブなどでは体重制限を設けています。制限体重は乗馬クラブによって異なるため、webサイトで確認してみましょう。もし分からない場合や不安なときには個別で電話やメール等で問い合わせしてみることをおすすめします。