【騎乗前の大切な作業】「馬装」の手順と注意点
乗馬のレッスンを始める前に、馬装をおこなっていますか?初心者の方はインストラクターにおこなってもらう場合が多いと思いますが、鞍数を重ねていくと、馬の手入れや馬装もおこなうようになります。乗馬を継続するならば自分で出来るようになる必要があります。
今回は、馬装の手順とその注意点についてまとめました。
必要な馬具
まずは馬装に必要な馬具を確認しましょう。
鞍
馬に乗る際に乗り手が馬の背中に跨って座るための馬具です。馬上で人がバランスを取り、安全に騎乗するために必要なものです。
競技の種類によって、鞍は異なります。
ほとんどの乗馬クラブではブリティッシュスタイルのレッスンをおこなっているので、ブリティッシュスタイル用の鞍を使用します。
ブリティッシュスタイルでは、馬場馬術用の馬場鞍、障害競技用の障害鞍、その中間的な造りの総合鞍のいずれかを用いるのですが、初心者の場合は総合鞍を用いることが多いです。
総合鞍は、安定して基本的な騎乗がしやすい造りになっています。
ゼッケン
キルティング製のものが多く、馬装では、一番最初に馬の背中に乗せます。運動時の汗取りに用いられます。種類が多く、カラフルなデザインのものが沢山あります。
鞍下
羊毛製のボアパッドやゲル製のゲルパッドなどがあります。ゼッケンと鞍の間に敷き、馬の背中への衝撃を和らげるために使います。馬の状態によって、馬装に用いる素材や形状が変わります。
腹帯
鞍を馬体に固定し、ずれないように締めるためのベルトです。前肢のすぐ後ろの部分の帯径に装着して使用します。
頭絡
頭絡は、馬の頭から顎、頬、鼻の上、うなじにわたって細い幅の革でできた馬具で、馬の頭を覆うように装着する馬具です。手綱とハミがついており、馬とのコミュニケーションを取るために必要なものです。
プロテクター
馬の肢に装着します。馬が自分の肢どうしをぶつけて怪我をするの防ぎます。プロテクターの替わりに、バンテージ(肢巻き)を巻く場合もあります。
手順
次に、馬装の手順について紹介します。
手入れ
馬装の前には、馬の手入れをおこないます。
最初にブラッシングをおこない、からだに付いたフケなどの汚れ、寝藁や乾草などを落とします。汚れが付着したまま鞍を乗せると、背中の皮膚を傷める原因にもなります。
ブラッシングの後に、裏堀りをおこないます。馬の蹄の裏に詰まったオガや寝藁、石や泥などを取り除きます。
プロテクターの装着
次に、馬の肢にプロテクターを装着します。プロテクターは、それぞれの肢ごとに装着するものが決まっています。装着の際は、左前肢→左後肢→右前肢→右後肢の順番でおこなうとスムーズに装着できるでしょう。
ゼッケンを載せる
背中にゼッケンを載せますが、ゼッケンの前部分がき甲(馬の背中の高い部分)の半分くらいのところに位置するように載せます。その際、ゼッケンとき甲の間に少し隙間ができるように載せましょう。ゼッケンが擦れて当たることで傷になってしまうのを防ぐためです。
ゼッケンにも前後、表裏があります。またゼッケンには中央に折り目があるので、折り目を馬の背の中央に合わせて載せます。
鞍下を置く
ゼッケンを載せ、その上にゲルパッド、ボアパッドの順に載せていきます。
馬の状態によってはゲルパッドを最初に載せる場合や、ゼッケンの上にゲルパッドのみ、ボアパッドのみの馬装を指示されるクラブもあるので、インストラクターの指示に従いましょう。
背中に鞍を乗せる
鞍を乗せる際は、静かに載せましょう。
鞍の前方が山型になっているので、この部分を馬のき甲に合わせます。この時、き甲にゼッケンが密着しないようにゼッケンを軽く持ち上げ、き甲とゼッケンの隙間を数センチあけましょう。鞍とき甲が擦れ、背中が傷ついて鞍傷ができてしまう場合があるので注意して下さい。
慣れるまでは正面から確認してみることをおすすめします。
腹帯を締める
まず馬体の左側から鞍に腹帯をつけます。ここで鞍とゼッケンの位置を調整します。その後反対側に回り、腹帯を声をかけながらゆっくり鞍につけます。
鞍の一番外側のあおり革をめくると、託革というベルト状のものが2本または3本あるので、それと腹帯の金具を繋ぎます。
いきなりきつく締めると、馬が苦しがったり驚いたりして蹴られる危険があるので最初は緩めに、左右の託革の穴の数が均等になるように締めます。
左右交互に締めるのを何度か繰り返して、鞍がずれない程度に締めておきましょう。
馬によっては腹帯を締められるのが嫌で、威嚇する場合もあります。最初は一人では行わず、スタッフにお願いしてみましょう。
腹帯は、前過ぎると馬が動きにくくなったり、運動中に腹帯で馬のお腹が擦れてしまいます。馬の前肢の付け根から腹帯まで拳1つ分ほど空けた位置に調整します。
また、腹帯を締めた状態で、長時間馬を繋いでおかないようにしましょう。
頭絡をつける
右手で額革、項革をつかみ、左手の手のひらにハミを載せます。右手で馬の頭が逃げないように押さえながら、左手でハミをくわえさせます。馬の口が開かないときは、口のわきから歯の生えていないところに指を入れると自然に口を開きます。馬が嫌がるときは、鼻の少し上あたりを軽くつかんで頭を下げさせると効果的です。
注意点
馬装をおこなう際の注意点についてまとめました。
・馬装の際は、必ずヘルメットを着用する。
・馬に蹴られる恐れがあるため、馬の後ろには立たない。
・噛まれたり踏まれたりしないように、馬の様子を確認しながら作業をおこなう。
・馬を安心させるために、道具を見せながら、これから何をおこなうのか声がけしながら馬装をおこなう。
・腹帯を締める際に噛む馬がいるので、近くに人がいないことを確認する。
安全に作業をおこなうために、上記の注意点に留意して馬装をおこないましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
馬装は慣れるまで大変な作業かもしれません。最初は無理せず、不安であればインストラクターにお願いしてみましょう。
馬に負担をかけず、人馬共に安全第一を心がけて馬装をおこなって下さいね。