【初心者に効果的な練習法】鐙上げ
鐙上げ(あぶみあげ)という練習方法をご存じですか?初心者の方が抱えがちな問題点の解消には非常に効果的な練習なんです。鐙が踏めない方や脚にどうしても力が入ってしまう方に特におすすめします。高校や大学の馬術部では、しつこいくらいにこの練習をするのだそうですよ。今回は鐙上げについて、ご説明します。
鐙上げとは
鐙上げとは、鐙を履かずに脚をだらんと伸ばしたまま騎乗する練習方法です。正しい騎乗姿勢を身につけるのに、とても効果的な方法です。安定して騎乗するためには、脚を正しく馬体に密着させる必要があります。ところが、初心者の方は恐怖心から体が硬くなってしまう方も多く、脚を馬体にうまく密着させることができません。特に多いのは、股関節や膝で馬体をしめてしまう方。こうなると、鐙をうまく踏むこともできなくなってしまいます。また、踵を下げすぎてしまう乗り手の場合は脚が前に流れてしまいがちです。正しい脚の使い方や位置を把握するために、鐙上げは最適です。
また、感覚として覚えるための練習ですので、普段、考えすぎてしまう乗り手にもおすすめの練習方法です。脚の力を抜くと、馬の動きや反撞をダイレクトに体感できるので、感覚としてとらえやすくなります。
レッスン開始前の準備運動にも是非、取り入れて脚の緊張を解きましょう。ウォーミングアップの運動ですので、常歩で十分です。このときに自分のパートナーがどういう歩きや動きをするのかも確認しておきましょう。
鐙上げで得られる効果
鐙上げをすることにより、脚に変な力が入らないようにして乗ることができます。脚をすとんと地面に向かって伸ばすと、頭、肩、腰、踵が一直線上にある正しい騎乗姿勢も取りやすくなります。慣れないうちは常歩、慣れてきたら速歩で挑戦してみましょう。もちろん、駈歩で鐙上げをする上級者もいます。
脚は意識して力を抜き、常歩や速歩でしばらく騎乗をします。準備ができたら、足の位置や力加減を変えないようにしてそっと鐙を履いてください。その状態で馬に運動をさせれば、股関節や膝に力が入ることなく鐙を踏める姿勢になっています。その感覚を忘れないように鐙を履いたあとも「脚を長く」使うように意識してください。股関節から足首までは「馬体を包むように」脚を密着させる面積を増やせば、安定してきますよ。
これができるようになると正反撞も非常に楽になります。正反撞でお尻が跳ねてしまう原因の一つに、脚の緊張があることが考えられます。股関節や膝で無意識にしがみついてしまったり、鐙を強く踏みしめすぎてしまったりするとうまくいきません。まずは、鐙上げを通して脚の力を抜くことを体に感覚として覚えさせていくのです。さらに、脚が力んでいないことによって、馬の動きを感じとりやすくなり、自然に随伴の感覚もつかめるようになってくるはずです。
ガニ股になってしまう方にとっても、鐙上げは効果的な練習方法です。ガニ股になってしまう乗り手には、股関節を柔らかく使えず、膝が開いてしまっている方が多いでしょう。ガニ股では馬の腹部に踵がずっと当たり続けてしまうため、馬に嫌がられてしまう可能性があります。鐙上げで股関節と膝の力を抜き、つま先は馬体に沿う向きになるようにしましょう。
乗馬を始めたばかりの方には、脚がなかなか動かない方もいらっしゃるはず。脚全体に力が入ってしまっているためです。鐙上げで練習をして脚の余分な力が抜ければ、びっくりするほどに脚が動きやすくなりますよ。
これ以外にも、鐙上げはバランスや騎座の改善、体幹の強化などにも効果抜群です。
注意点
鐙上げを試してみたいときには必ずインストラクターから許可を得てからにしましょう。鐙上げをするときは、周囲の状況把握などのサポートが必要です。反撞の大きい馬は初めて鐙上げをやる方にとっては少し難しいかもしれません。必ず確認をするようにしてください。
鐙上げは地味ですが、とても疲れる練習方法でもあります。乗馬を始めたばかりのころは十分な体力を伴っていない方もいらっしゃるかもしれません。やはりインストラクターと相談しながら、無理をしない範囲で行いましょう。
鐙上げをしているときは、特に膝で馬体を挟みすぎないように意識しましょう。鐙を履かないために不安定になり、無意識で膝を強く締めてしまう方がいらっしゃいますが、前傾してしまう原因になります。そのため、前傾して不安定になり、さらに強く膝でしがみついてしまって、膝の内側が擦れて怪我をするという悪循環になってしまう可能性もあります。脚の力を抜いて、重心は下に落とすことを意識してください。
また、鐙上げを続けると内ももやお尻などが擦れてしまうこともあります。怪我をした部分をかばいながら騎乗していると変な癖がついてしまうかもしれません。もし怪我をしてしまった場合は、すぐに止めましょう。
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まとめ
いかがでしたか?今回の記事では、誰しもが必ず一度は経験をする鐙上げという練習方法について詳しく説明しました。さまざまな相乗効果が期待できる鐙上げですが、最初からあまり無理はせず、インストラクターと相談をしながら試してくださいね。