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【簡単なようで難しい】斜め手前変換

乗馬のレッスン中に、手前変換をおこなうことがあります。ずっと同じ方向で運動をすると、乗り手のバランス感覚が偏ってしまうので、それを解消するためということ、そして馬の左右の筋力に差が出てしまうのを防ぐためという目的があります。

手前変換の方法はいくつかありますが、今回は初心者が最初に教わる、斜め手前変換についてまとめました。

斜め手前変換とは

【簡単なようで難しい】斜め手前変換
乗馬をしている時、馬の左右の肢のうち遅れて着地する肢を手前肢と言います。右肢が手前の場合を右手前、左肢が手前の場合を左手前といいます。馬が運動中に基準にしている肢といった方がわかりやすいかもしれませんね。

馬場を左手前で軽速歩している場合、途中でインストラクターから馬の手前を右手前に換えるように指示されることがあります。このとき、
「斜めに手前を換え」
と、インストラクターに言われます。
この指示で乗り手がおこなうのが、斜め手前変換です。

手前変換をおこなう場合、斜め手前変換以外にも半巻きや前肢旋回、後肢旋回、馬場の長蹄跡から90度曲がって反対側の長蹄跡に進む方法などがあります。この中で、斜め手前変換が一番楽に手前を換えやすいので、初心者はまず最初に教えられる乗り方です。

目的

【簡単なようで難しい】斜め手前変換
誘導で斜め手前変換をおこなう目的は2つあります。

スピードを崩さず手前を換えるため

上記にもある通り、手前変換にはいくつかの方法があります。しかし斜め手前変換以外の方法では、馬の体を大きく折り曲げるため、馬は苦しくなって速度が低下してしまいます。
また、部班でレッスンをおこなっている場合、前の馬の速度が落ちてしまうと後続が詰まってしまいスムーズな運動ができなくなってしまいます。
隊列を一定の間隔でキープできるのが、斜め手前変換なのです。

馬の操作を丁寧におこなえているか確認するため

初心者の方は、斜め手前変換の号令がかかるとついつい焦ってしまい、手綱だけの操作で馬を曲げようとします。このあと正しい手順をご紹介しますが、馬は手綱だけではなく脚を使って誘導します。馬をしっかりと誘導できないと、斜めの直線を馬が真っ直ぐ進むことができないだけでなく、馬を混乱させることになってしまいます。
斜め手前変換では、馬の状況も頭に入れながら、余裕を持って馬を操作できているかを確認しましょう。

方法

【簡単なようで難しい】斜め手前変換

斜め手前変換をスムーズにおこなうため、3つの過程を順番におこないます。順番に確認しましょう。

最初の隅角通過

1番最初に行うのは、短蹄跡からの隅角通過になります。
短蹄跡にさしかかった辺りで、「次、斜めに手前を変え」と号令がかかります。
乗馬を始めて間もない人の中には、号令とほぼ同時に短蹄跡で運動を始めようとする人がいます。
号令は次の運動の前に余裕を持ってかけられるので、焦らずに長蹄跡に入ってから手前変換の運動に移行すれば大丈夫です。くれぐれも隅角を通過することを忘れないようにして下さい。

ここでのポイントは、内側に傾きすぎないように気をつけながら内方姿勢を取ることです。そのために隅角通過の際には内方脚をしっかり使って、馬が内に入らないようにします。

斜め手前変換では、このあと反対方向へのカーブが控えています。そのため内側へ傾いていると、体を起こすのがとても大変です。結果的に反対方向へのカーブに準備が間に合わず、馬が元の方向と同じ向きに進んで手前が変換できなくなってしまいます。

斜めの直線

隅角通過が出来たら、2,3歩は長蹄跡を進みます。この時、あらかじめ行き先をしっかり見ます。目的地は点対称の位置、反対側の長蹄跡の隅角より3メートルほど手前の場所です。ここで馬のバランスも直し、真っ直ぐな姿勢を作ります。

馬にとって蹄跡以外の場所を通ることは、とても不安を感じます。いつも通る蹄跡は、横に柵があるので馬にとって安心な場所ですが、蹄跡以外の場所を歩かせる際にはしっかりとした扶助を出さないと、馬が蛇行して真っ直ぐ進めません。脚と拳、騎座を使って、真っ直ぐな姿勢を取らせましょう。

そして次の隅角通過に備えて、目線は次に進む方向を見ます。

逆方向の隅角通過

逆方向の蹄跡に出たら、それまでと逆の手前で蹄跡に戻ります。ここでも内方脚を使って、馬が内側へ入ってこないようにします。

曲がる方向の内方姿勢を作ることで、馬が逆方向に流れることがなくなります。
蹄跡に出たタイミングで、手前を換えることを忘れない様にしましょう。

逆方向の蹄跡に出たら、斜め手前変換の完了です。

まとめ

【簡単なようで難しい】斜め手前変換
いかがでしたでしょうか?

斜め手前変換についてまとめましたが、簡単なようで実は気を付けることが沢山あります。
いくつかのポイントがあるので、レッスンでひとつひとつ確認して下さいね。

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