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【乗馬ビギナー】よく聞くけどイマイチ分からない「手前を合わせる」って何?

手前が違ってるよ!と指摘されて直すけれど、実は言われるまで手前があっているか自信が持てない…という人も多いのではないでしょうか?今回の記事では、手前の重要性や確認方法・合わせ方などを解説します。

手前って何?

【乗馬ビギナー】よく聞くけどイマイチ分からない「手前を合わせる」って何?

最初に、そもそも手前とは何を指しているのか?ということについて考えてみましょう。乗馬用語としての「手前」が持つ2つの意味が分かれば、手前を合わせるという言葉も分かりやすく感じるはずです。

①馬の円形運動の方向

まず、1つ目の意味は馬の「運動の方向」です。馬が円を描くように移動するとき、その動きが左右どちらの手前かと聞かれたら「馬から見て円の中心点がある側」が正解です。


言葉では少しわかりにくいので、少し具体的に想像してみましょう。例えば、馬が馬場の上で時計回りの円を描いて運動しているとします。このとき、馬から見て円の中心は常に右側。なので、この運動は「右手前」です。


もちろん、巻乗り・輪乗りのような完全な円形の運動でなくとも、右にカーブする運動や蹄跡を右回りに走っている状態も右手前ということになりますね。手前馬を曲げる方向の左右が合致しているので感覚的に覚えやすいのではないでしょうか?

②馬が最後に着地させる脚

慣れるまで難しいのは、2つめの意味かもしれません。こちらの場合の手前とは「手前脚」の略。最後に地面に付く脚のことを言います。


速歩では左右の脚は対称かつ交互に前に出ています。そのため、左右どちらが手前脚ということはありません。脚の順番という意味での手前が重要になってくるのは、駈歩を出した時です。


なぜなら駈歩は少し特殊で、馬にとって走りやすい脚の動きが運動の方向によって決まる歩様だから。例えば、右にカーブする運動であれば多くの馬は左後脚→右後脚&左前脚→右前脚の順番で脚を動かします。


最後に着地するのが右足なので、この動きの手前脚は右。つまり右手前ということになります。ちなみに、①の意味でも右にカーブする運動は「右手前」でしたね。実は、①と②の意味での左右が合致していることが「手前が合う」ということだったんです。


馬は基本的には自分が走りやすい手前で走るので、自然に駈歩の手前が合うことも多いでしょう。しかし、人間の指示が的確ではなかったり、馬によって得意な手前があったりといった理由で間違った手前の駈歩が出てしまうこともあります。

手前が大事な理由

【乗馬ビギナー】よく聞くけどイマイチ分からない「手前を合わせる」って何?

ところで「なぜそんなに手前が大事なのかな」と疑問に思ったことはありませんか?理由が分かれば、今までよりもしっかりと手前を意識できるようになるはずですよ。

馬にかかる体重を軽減する

例えば、あなたが右足を上げて片足立ちをしているとします。右肩と左肩、どちらに手を掛けられた方がグラつくでしょうか?おそらく、右側の肩をポンとされたほうがバランスが崩れやすいと思います。


馬もそれと同じです。「馬って力持ちだから人間の体重くらい平気じゃない?」と感じるかもしれませんが、軸になっていない側に体重がかかればグラつかないまでも脚に負担がかかりやすくなります。


逆に言えば、馬が一番強く踏み込んでいる脚が着地しているときに一番体重がかかるように調整すれば馬の負担が軽減されるということ。特に軽速歩では、人間が体の上下によって手前を決めるのでこの意識が重要です。

運動に合った体の使い方ができる

さきほど、基本的には駈歩の「手前が合っている」状態は馬にとって自然で走りやすい動きだとお話ししましたね。なぜ走りやすいかというと、体重の傾きや湾曲脚の動きが合っているからです。


走っている人や自転車がカーブするのを見ると、基本的にはカーブする側に体重がかかっていますよね。馬も同じく右手前であれば右側に少し体重を傾け、また首をやや右に向けるように身体を弓形に湾曲させています。


この状態で走るには、円の外側に当たる左後脚から発進して右斜め前に進むように右前脚を大きく前に出すのがベストな動き。もしこれが逆になってしまったら、おそらく馬は人間が普段とは逆の脚から自転車を漕ぎ始めるような違和感を感じるはずです。


自然な動きでないということは、馬にとって負担にもなりますし十分なパフォーマンスが出せないということでもあるので、ぜひ駈歩の正しい手前は覚えておきたいですね。

手前の確認方法

あぶみ

では、ここからいよいよ手前の確認方法について解説します。ここまで読んで「意外と複雑かも…」と心配になった方も、馬の肩を見るだけで簡単に確認できるので安心してくださいね!

速歩の場合

速歩の場合、馬の脚は右後脚→右前脚→左後脚→左前脚という順番で着地しています。これを騎乗者から見ると、左右の肩は交互に前に出ている状態。ここから軽速歩をするには、どのタイミングで立ち上がれば良いのでしょうか?


先ほど言ったように、体重をかけるタイミングは「軸足が着地したとき」です。では、どちらが軸足かというと、体重がかかっている円の内側=手前側の脚。なので「内側の肩が後ろに下がったときに立ち上がり、前に出たときに座る」のが正解ですね。


ちなみに、今「アレ?途中まではなんとなく分かっていたのに結論は思っていたのと逆だった」と思った人は、人がお尻を着く瞬間が最も体重がかかると考えていたのではないでしょうか。


実は、軽速歩で馬に最も体重がかかるのは人間が立ち上がるときです。身体を下げるときは、ドスンと座るのでなく軽く腰の位置を戻すくらいのイメージがおすすめですよ。

駈歩の場合

駈歩の場合は、馬の動きが左右対称ではないので発進する時点で馬に「どっちの手前で駈歩をしたら良いか」を伝える必要があります。


これを馬に伝えるには「手前(内方)側の手綱を開き、外側の足を少し後ろに引いて脚を入れる」と教わった方が多いのではないでしょうか?駈歩の扶助については別の記事で詳しく触れているので、そちらも参考にしてください。


さて、駈歩が無事に出たら速歩のときと同じく馬の肩をチェックします。速歩と違い、左右どちらかが常に前に出ているはず。右肩が前に出ていれば右手前、逆に左肩が前に出ていれば左手前の駈歩が出ている状態です。


右手前(時計回り)の運動を使用としているときに右肩が前に出ていれば問題ありませんが、もし左肩が前に出てしまっていたら「手前を直す」必要があります。

まとめ

手前を正しく合わせることは、私たちが心地よく馬に乗るためだけではなく、馬の負担を軽減する上でも大切なことです。「こうするのが正しい手前だから」から一歩踏み込んで、なぜ手前を合わせると良いの?という部分も意識して練習してみましょう!

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