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もう悩まない!裏掘りのやり方

馬に乗る前後にはいろいろな手入れがありますが「裏掘りはちょっと怖い」という人も多いのではないでしょうか?今回の記事では、裏掘りの基礎知識や注意点、安全に行うコツなどを解説していきます!

慣れるまでは難しい?裏掘りとは

もう悩まない!裏掘りのやり方

馬の足の裏をきれいにする「裏掘り」。馬の足に近づくのはちょっと怖いと感じる人もいると思いますが、実はとっても重要なお手入れなんです。まずは、その目的を確認していきましょう。

目的①馬の足を清潔に保つ

馬の足の裏は、ペッタリと全面が地面に付くのではなく蹄だけが地面に付くような形になっています。そのため、蹄で囲まれた足の裏にはオガや土、踏んでしまったボロなどがつまりがち。


このゴミを定期的に取ってあげる作業が裏掘りです。みなさんも、足の指の間や靴底に大きなゴミが詰まっていたら歩きにくいですよね。逆に言えば、足の裏がきれいな状態の方が運動のパフォーマンスもよくなります。


また運動以前に、こうしたゴミを詰まったままにしておくと、雑菌が繁殖して蹄叉腐乱など足の病気にかかってしまうことがあるので要注意。蹄や足の病気は馬の命に関わりかねないので、馬の健康を守るためにも、足の裏の清潔を保つことがとても重要です。

目的②病気やケガの早期発見

足の裏をきれいにすること自体も馬の健康を保つために重要ですが、足の手入れの際にしっかりと観察を行うことで病気やケガを早いうちに発見できる可能性も高まります。


例えば、見た目でわかりやすいのは外傷。特に多いのが何かを踏んだことによる踏創や、蹄が割れる割蹄です。裏堀をするときは馬の足を近くでみるチャンスなので、慣れてきたらケガのチェックにも挑戦してみましょう。


また、何度も裏掘りをしていると馬の蹄や球節に触れた際に「あれ?いつもより温かい」と感じることがあるかもしれません。運動後や日光浴後でもないのに足が普段よりも熱いのは、関節や爪が炎症を起こしているサインかもしれません。普段と違うことに気づいたら、乗馬クラブのスタッフに相談してみましょう。

必要な道具と行うタイミング

もう悩まない!裏掘りのやり方

裏掘りの重要性がわかったところで、次は使う道具と行うタイミングを確認していきます。

どんな道具を使う?

馬の足裏に詰まったゴミは、300kgを超える体重で踏み固められたオガや土。そこで活躍する道具が鉄爪(てっぴ)です。鉄爪は金属でできたフック状のものが多く、ブラシがついているものもあります。このフックで詰まったゴミを引っ掻くように崩して取り除いていきましょう。

1日に何回するの?

裏掘りは、1日2回ほど。騎乗前後に行うのが基本です。また、午前中に乗る予定のない馬に対しては馬房掃除と同時に朝行うこともあります。乗馬クラブでは、朝夕といわず生徒が乗るごとに騎乗前・騎乗後の裏掘りをする場合もあるので、実際は1日に2回以上裏掘りをしている馬も多いかもしれません。

裏掘りをする際の注意点

もう悩まない!裏掘りのやり方

馬の脚は、馬にとって重要な場所であると同時に人間にとっては危険な場所でもあります。ココで、裏掘りをする際の注意点を確認しておきましょう。

ケガに注意!

裏掘りをするときは馬に足をあげてもらい、その足を人間が支えます。しかし、周りで虫が飛んでいたり気になることがあれば馬の蹴りが飛んでくる可能性も…。


また、蹴らずとも作業が長引くと「まだ上げてなきゃいけないの?」とばかりに人が持ち上げていた足を元の位置に戻してしまうこともあります。もちろん、人の腕では馬の足の力に勝てないので馬の足を抑え続けることより足が動いたら無理せず避けることを優先してください。


とは言っても、十分なスペースが確保できていれば怖がりすぎる必要はありません。裏掘りの準備として、例えば左の足を裏掘りするときは馬を少し右に押して左側に空間を確保しましょう。


また、馬が足を動かす理由は虫を追い払いたい、ずっと足を上げていてバランスが取りにくい、周りで起きたことに驚いたなどさまざまです。世話をしている馬の前を他の馬が通過する瞬間や虫が多い季節には特に注意して、なるべく裏掘りの作業は手早く終わらせることも大切。


最初は手間取ることもあるかもしれませんが、そんなときは無理にずっと足を上げ続けようとせずに一度足を下ろしてもう一度続きから始めるのも良いと思います。

蹄叉を傷つけないように

上の写真を見ていただくと分かるように、馬の足の裏は、真ん中あたりが三角形に盛り上がっています。この部分が蹄叉(ていさ)なのですが、気をつけたいのが蹄叉は蹄のように硬くないということ。


もちろん人の皮膚ほど柔らかくはないですが、弾力があり、硬いものが当たれば傷になってしまうこともあります。そのため、裏掘りをするときは鉄爪で蹄叉を傷つけないように注意が必要です。まずは詰まったゴミで見えなくてもどのあたりに蹄叉があるか想像してみてください。


慣れてくれば難しいことではありませんが、最初のうちは蹄鉄に沿ってなるべく外側からゴミを掻き出していくと蹄叉が少し見えてきます。見えて来たら、その蹄叉を避けながらゴミを取り除きましょう。

正しい裏掘りのやり方

裏掘り

①馬の後方に向かって立つ
裏掘りをするときは、馬と同じ方向ではなく反対側を向いた状態になります。普段馬に近付くときと同じように、横ではなく斜め前方から近付きましょう。馬の前脚の真横あたりに立ったら「私はいま横にいるよ」と伝えるために肩に触れると馬も安心します。


②馬の脚を上げる
各乗馬クラブによって少しずつ教え方は違いますが、多くの馬は球節の上あたりに触れると脚を軽く上げます。そのタイミングで、蹄の上にある繋(つなぎ)から蹄冠(ていかん)付近を抱えるように支えます。順番としては左前脚から行うことが多いでしょう。


③土やオガを取り除く
鉄爪を持って、足の裏に詰まった土やオガを掻き出すように取り除いていきます。注意点でもお話ししましたが、蹄叉をキズ付けないように注意。後ろから前へ、最初は蹄鉄に沿うように掻いていくのがおすすめです。


④馬の脚を下ろす
馬にとっては脚を1本挙げている状態のほうが不自然なので、人間が力を抜けば馬は自然と脚を下ろします。中には少し人間の力が緩むと勢いよく足を下ろす馬もいるので、馬が足を戻す位置に人間の足があると踏まれてしまいます。力が入りにくいのでついつい近寄ってしまいがちですが、裏掘りをするときは両足とも馬の足より外側に置くように気を付けましょう。


⑤1日に1回は水洗い&蹄油を
蹄を水洗いしたり蹄油を塗ることで、蹄の水分量を適切に保つことができます。人間の爪と同じく、蹄は乾燥し過ぎも湿りすぎもNG。蹄が割れてしまわないように、1日に1回程度はしっかりとお手入れをしましょう。

まとめ

安全に裏掘りをできるようになれば、馬の足を清潔に保てるだけでなく、馬の足裏や足全体をチェックする余裕も生まれてきます。重い体重を支える脚は、馬にとって非常に重要な部位。ぜひ裏掘りをマスターして、病気の予防&異常の早期発見に努めましょう!

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