なんか凄そう「装蹄師」ってなんだ?

たまに馬たちの蹄鉄を替えに来てくれる「装蹄師」さん。しかし、乗馬をしている人でも意外とその仕事については知らないかもしれませんね。今回の記事では、装蹄師の仕事内容や資格について詳しく解説していきます!

装蹄師ってどんなお仕事?

なんか凄そう「装蹄師」ってなんだ?

装蹄師の仕事内容

蹄は、馬の重い体重を支えると同時に、大きな体にしっかりと血液を循環させるためにもとても重要な部位。定期的なケアが欠かせません。乗馬をしている人なら、たまに装蹄師さんが来てくれて馬の蹄鉄を交換しているのを見たことがあるのではないでしょうか?


装蹄師という名前からすると「馬に蹄鉄を付ける人…?」と思いがちですが、装蹄師の仕事はそれだけではありません!むしろ、交換のために蹄鉄を外したタイミングでの、蹄のケアが装蹄師の本領といっても良いかもしれません。


装蹄は、蹄を削る角度一つで馬の関節の負担を和らげることができる一方で、間違えれば新たな負担を産み出してしまう繊細な作業。蹄の手入れをして蹄鉄を付け替える手早い作業の中でも、装蹄師が見ているポイントはかなりの数にのぼります。


蹄の状態確認はもちろん、関節や腱の炎症など馬の問題や不調を把握し、それに合わせて爪の角度や蹄釘の打ち方などを素早く判断し調整。たくさんの知識と経験が垣間見える作業です。


装蹄師はJRAのトレーニングセンターなど大きな厩舎に勤務している場合と、独立して自営業として開業している場合があります。乗馬クラブに来てくれるのは、後者の開業装蹄師であることが多いでしょう。

日本人と蹄鉄

今や馬に無くてはならない蹄鉄。ところで、日本には昔から馬がいましたが蹄鉄はいつごろから使われていたのでしょうか?


実は、和種馬は西洋の馬に比べて蹄が硬いことなどから、昔の日本には「蹄鉄」というものは存在しなかったようです。そのため、馬は野生の状態とほぼ同じように蹄を保護せず飼育されていました。


戦後~江戸時代にも、一部の地域や人物が蹄鉄を使用したという記録があるものの、全国に蹄鉄が普及するには至らず。当時、長距離を移動する馬は馬沓(うまぐつ)という藁製の履物を付けていたそうです。馬専用の草鞋のようなものですね。


本格的に蹄鉄が普及したのは、明治時代。日本が西洋の文化を取り入れる中で、陸軍を中心として体格の大きな馬が飼育されるようになり、同時に装蹄という技術や装蹄師の存在が国内に広まり始めました。

装蹄師になるためには資格がいるの?

なんか凄そう「装蹄師」ってなんだ?

働くために資格は必須?

少し話が逸れましたが、また装蹄師の話に戻りましょう。日本での「装蹄師」は、昭和40年代まで国家資格でした。しかし、装蹄師法の廃止に伴って民間資格へと移行。現在は民間団体となった日本装削蹄協会が装蹄師の育成・認定を行っています。


資格取得に必要な講習では、馬のフットケア飼養管理造鉄など幅広い知識と技術を身に付けていきます。つまり、認定資格を持っていれば一定の知識や技術があることを裏付けることができるということですね。


そのため、装蹄師の仕事をするためには資格は必須ではありませんが、装蹄師を目指す多くの人が認定試験を受けてから就職への道を歩んでいます。

資格の種類

現在、日本で装蹄師の認定を行っている団体は日本装削蹄協会のみ。装蹄師の資格には「2級認定装蹄師」「1級認定装蹄師」「指導級認定装蹄師」と3つの段階の資格があります。


2級を取得した後は、競馬のトレーニングセンターなどで先輩装蹄師に弟子入りして経験を積みます。その後、4年を経過すると1級の受験資格が得られるため研修・試験・認定審査会を経てキャリアアップ。さらにそこから9年経つと指導級の受験資格が得られます。


下積み期間は人それぞれですが、競馬の装蹄師が10年もの下積みをすることもあるのに対して乗馬の場合は3年ほどで独立して開業する人もいるそうですよ。

資格習得までの期間と費用は?

なんか凄そう「装蹄師」ってなんだ?

資格取得までの期間

装蹄師の入口となる「2級認定装蹄師」になるには、まず日本装削蹄協会が主催する2級認定装蹄師認定講習会を受講が必要です。入講年度の4月1日に満18歳以上であれば、乗馬関連の資格を持っていなくても受講・受験することはできます。


講習期間は4月から翌年の2月まで、ほぼ1年間!そのための寮も完備されているので、1年間全寮制の学校に通うような感覚ですね。


4月から一部の学科・実技科目の勉強が始まり、9月上旬に前期認定試験が行われます。前期の試験内容は学科のみ5科目です。試験後からはさらに応用的な学科の勉強も始まり、2月中旬には学科6科目+実技の後期認定試験があります。


この認定試験に合格したら、資格取得まであと一歩。その後、申請が通ると2級認定装蹄師の資格を取得することができます。

資格取得までの費用

受講と受験にかかる費用はおおよそ130万円。内訳は下記のとおりです。

  • 受講料 …¥840,000
  • 講習実費…¥420,000
  • 寮 費 …¥ 35,000程度
  • 受験料 …¥ 22,000


金額は大きいですが、年齢以外の受講条件は特に無く、1年でかなりの知識と技術を身に付けられるというのは嬉しいですね。やりがいも大きい分、大変なことも山ほどあるのだろうと想像できますが…熱意のある人はぜひ日本装削蹄協会のホームページも見てみてください!

全国で何人ぐらいいるの?

なんか凄そう「装蹄師」ってなんだ?

ところで、乗馬クラブにはいつも「かかりつけ」のように同じ装蹄師さんが来てくれる気がします。あまり競争が激しくないのかな?とも感じますが、装蹄師は全国に何人くらいいるのでしょうか?


現在、日本装削蹄協会の正会員となっている装蹄師は全国で約500人。前半でも触れた通り仕事をするために資格は必須ではないとはいえ、資格取得や入会のメリットが大きいことを考えると、非会員の装蹄師はそう多くないのではないかと考えられます。


そうなると、全国の装蹄師の数も正会員とあまり変わらず500人強くらいではないかと推測できます。県によって数にばらつきはあると思いますが「各都道府県に10人くらいしかいない技術者」と考えると、そのすごさが改めて分かりますね。

まとめ

蹄鉄と馬のフットケアのプロ・装蹄師。その仕事を見るチャンスは少ないかもしれませんが、馬の蹄を綺麗に削り、蹄を痛めないよう場所を選びながら蹄釘を打っていく技術は目が離せない職人技です。今回紹介したのは、装蹄師のほんの一部。馬の健康を足元から支える仕事を、ぜひみなさんもっともっと知ってみてくださいね。

 

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