乗馬メディア EQUIA エクイア

メインビジュアル

馬の冬毛と毛流の役割

夏の馬と冬の馬で印象の違いを感じたことはありませんか?馬は犬や猫と同じで、暑い時期と寒い時期で毛が生え変わります。

夏場の毛を夏毛、冬場の毛を冬毛と呼びますが、今回は馬の冬毛について解説していきます。馬の冬毛や毛流についてやブラッシングの注意点、競走馬においての冬毛など、様々な点から紹介していきます。

犬や猫を飼っている人は知っている「冬毛」について

馬の冬毛と毛流の役割

犬や猫を飼っている人は経験があるかもしれませんが、毛の生えた動物の中には、夏と冬で毛が抜けかわり、違う質感の毛を身にまといます。これを換毛期といい、馬にも毛が生え変わる換毛期があります。

では寒さを感じる冬の今、馬たちはどのような冬毛を身にまとい過ごしているのでしょう。ここでは馬の冬毛と夏毛の特徴を紹介します。

馬の冬毛とは

馬の毛が生え変わるのは年に2回です。寒さが和らぎこれから暖かくなる春先に、冬毛が抜け夏毛へとかわります。逆にだんだん寒さを感じ始める秋ごろに、夏毛が抜け冬毛へとかわります。

断定的な時期はありません。馬の皮膚は一定の寒さや太陽光を浴びることで、毛の生え代わり時期を感じ取り換毛し始めるのです。

ではなぜ夏と冬で毛が生え変わる換毛期があるのでしょうか。それは人間が衣替えをして、長袖・半袖と季節や気温に合わせ服装を変えることと同じと言えます。

夏毛は長さは短く密度も薄く生えます。夏は気温も上がり、何も対策しなければ体温はどんどん上がってしまいます。それを防ぐために、長さや密度を薄くし体温がこもらないようにしているのです。

冬毛は毛が長く密度も高く生えます。冬の寒さに体温を奪われず適正温度を保つことができるようにしているのです。そのため冬毛の馬たちは、夏の姿と比べモコモコで可愛さを感じます。

体の部位によって毛の向き「毛流」があるのはなぜ?

馬の冬毛と毛流の役割

馬にブラッシングをする時には、毛が生えている方向に沿ってブラシを動かすのが一般的です。馬の毛はどの場所の毛も、お腹方向に向かって生えています

毛の流れを毛流と言いますが、なぜ馬の毛流はお腹方向に向いているのでしょう。それは雨や汗で濡れた時に、その水分が流れ落ち毛の間に溜まってしまわないようにするためです。水分を毛に長時間留めて置くことは、体温を下げてしまうことに繋がるのです。

ブラッシングの際に毛流に逆らってブラシを入れれば、当たり前ですが毛は逆立ってしまいます。あえて逆らってブラシをかける場合もあります。その理由はフケや汚れを浮かせしっかり落としたいという時です。しかし汚れを落とした後には、必ず毛流に沿ってブラッシングを行います。

ブラッシング時の注意点

馬の冬毛と毛流の役割

ここでは馬と接するのであれば知っておきたい、簡単なブラッシングの方法と注意点を紹介します。

ブラッシングの方法

馬は皮膚の病気になりやすいので、忙しくて短時間のブラッシングになってしまっても、やるべきと言えます。ブラッシングの方法は、「プラスチックブラシで固まった汚れをとる」「ゴムブラシで根元のゴミを掻き出す」「根ブラシで浮き出た汚れを払う」「毛ブラシで整える」です。

ブラッシングは上の項目でもお伝えしましたが、必ず毛流に沿って行いましょう。また少し強めに行うと、マッサージにもなり良いと言えます。

ブラッシングの注意点

ブラッシングをする際の注意点は、「馬の様子を見る」「馬に密着しすぎない」「ブラシはお尻側の手で持つ」です。

馬はみんなブラッシングが好きとは限りません。触れられるのを嫌がる馬や機嫌の悪い馬もいます。そんな馬に無理にブラッシングすれば、噛もうとしたり蹴ってくるなどされケガに繋がります。ブラッシングすることばかりに気を取られ、馬のちょっとした変化を見逃さないよう、「馬の様子を見る」ことを忘れないようにしましょう。

また馬はどんなに大人しく優しい性格の子であっても、ジッとしていることはありません。ブラッシングの際には「馬と密着しすぎない」で、適切な距離を取ることは大切と言えるでしょう。

近すぎてしまうことで、脚を踏まれる危険性もあります。片足だけならたいしたことないと思うかもしれませんが、馬の体重は300㎏近くあります。片足だけでも大きなケガに繋がるということを忘れてはいけません。また脚力も強いので、蹴られれば一大事です。

「ブラシはお尻側のてに持つ」ようにしましょう。開いている手は馬の頸あたりに手を当ててあげると、馬も安心することができます。また馬がブラッシングに対し、じゃれたり邪魔しようと、近づいて来るのを防ぐ意味もあります。

競走馬は冬毛が少ないのはなぜ?

トウカイテイオー
引用:JRA-VAN 名馬メモリアルから

競馬ファンの人は1度は聞いたことがあるかもしれませんが、「冬毛が目立つ馬は消し」と言われています。競走馬はレース前にパドックを歩いて回り、競馬を楽しむ人に姿を見せます。ここでどの馬が調子が良く良い成績を収めそうかを予想するのです。

この時、「馬の歩き方」「毛のツヤ」といった様々なポイントが見られます。冬のレースでは冬毛について見られる事があり、冬毛が目立つ馬を避けるという人が少なくありません。

これには理由があります。冬毛が目立つことがレースの結果に左右すると考えられているからです。冬毛は新陳代謝が落ちていることが表れており、本調子の状態ではないと言われています。またブラッシング不足であるという指摘をする人もおり、このことでコミュニケーション不足が懸念されます。コミュニケーションが十分とれた馬は人のいうことをよく聞き、レースでも良い成績をおさめる傾向にあるのです。

冬毛が目立つ馬は絶対に良い成績が出ないということはないようですが、あまり良い印象を得られないこともあり、競走馬は冬毛が目立たないようしっかりとケアされています。そのため競走馬は冬毛が少ないように感じるのでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。冬毛になった馬は夏場に比べ、モコモコで少し丸い印象になります。人は丸みのあるものに対し可愛い印象を感じやすいといえ、それは馬も例外ではありません。冬毛でモコモコになった馬たちにぜひ会いに行ってみてください。

また冬毛をブラッシングする動画なども話題になっています。ブラシを通すたびにびっくりする量の毛が取れ、見ていて気持ちよさやスッキリさを感じることができる動画です。

新着記事