乗馬を続ける人が感じる主な楽しみ

乗馬を始めたばかりの方は思ったようにいかないことが多く、悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、続けているからこそ分かってくる乗馬の楽しみ方もあるようです。今回は長く続けた人が感じることのできる乗馬の楽しさを深掘りしていこうと思います。
馬との信頼関係が深まる瞬間

馬とのコミュニケーションは乗馬の難しさにも楽しさにもなりえます。言葉を使わない馬とのコミュニケーションでは、仕草や反応から馬の考えていることや気持ちを理解しなくてはなりません。例えば、犬とのコミュニケーションにも同様に難しい面があります。ただ、犬の場合は尻尾を振っていれば嬉しい、下げていれば怖がっているなど、ある程度は尻尾を観察すれば感情が分かりやすいかもしれません。さらに犬をはじめとしたペットの場合は長い時間を一緒に過ごすため、ペットの反応や表情を見れば、何を考えているのか、少しずつ分かってくるようになるでしょう。
しかし、馬の場合、嬉しい場合には目を細めたり、鼻を伸ばしたりしますが、見ればすぐに分かるといった大きな反応ではなく、慣れるまでは表情などから判断するのが難しいかもしれません。また、自馬ではない限り、一緒に過ごす時間はレッスンの前後だけであるため、仕草などから感情を察することができるようになるためには時間もかかるはずです。
だからこそ、馬との信頼関係が深まり、人馬一体を感じることができたときには嬉しくなります。レッスン中に、なかなかできなかったことが徐々にできるようになったり、乗り手の合図が完璧ではなくても、馬が察して動いてくれるようになったり、障害飛越をできるようになったりしたときの喜びや達成感は乗馬を続けた人にしか分かりません。
自然の中での解放感と一体感

日々、仕事や子育て、介護など忙しい日々を過ごしている方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。学校や家庭、職場に拘束される時間が長く、ストレスが溜まることもあると思います。
乗馬クラブは放牧地や厩舎など広い土地を必要とするため、自然環境が豊かな郊外や田舎に立地していることが多いです。緑豊かな環境では、森林浴と同じような効果が得られるかもしれません。さらにそのような場所で馬と一緒に楽しく乗馬することができれば、効果も倍増。特に馬上での揺れは、リラックス効果もあるとされています。週末に乗馬でリフレッシュして心身ともにリセットし、週明けからまたお仕事や勉強に勤しむメリハリのついた過ごし方ができるようになります。
精神的な安定

馬とコミュニケーションを取れるようになると、馬から信頼を得ることができて、豊かな表情を見せてくれるようになり、それが乗り手の精神的な安定につながることもあるようです。
特に顕著に効果を示すのは子どもや精神的に辛い時期を過ごしている方です。馬は見た目や立場で人を判断しません。相手がどんなに偉い人であっても、分け隔てなく同じように接します。実はこれが人間関係で傷ついてしまった人には、大きな効果を示すことがあるゆえんです。
言葉を話せない馬とコミュニケーションを続けていると少しずつ自分に自信がついていき、同じように馬好きな人とも積極的にコミュニケーションをとれるようになっていきます。そこから、自分より小さな子のお世話もできるようになったり、リーダーシップを発揮するようになったりする子どももたくさんいます。
癒し効果も絶大です。自分より大きな馬が甘えてくる仕草は、このうえなく愛らしいものです。さらに馬の体温は人間より若干高く、これがとても心地よく感じられ、癒しにつながるとも言われています。
乗馬仲間との交流

乗馬仲間との交流や出会いも乗馬の大きな魅力の一つです。馬は日本では身近な存在とはいいがたいところがあります。馬というマイナーな存在である動物に惹かれた仲間との交流は、職場や学校で出会った仲間とはまた別のつながりを構築できます。特に学生の場合、普段の生活の中では、似た環境に身を置く仲間に囲まれて過ごすことが多くなりますが、馬好きの仲間にはその限られたコミュニティの中では出会えない年齢や属性の人がいるはずです。
ときに切磋琢磨したり、励まし合ったりしながら、今までの自分の世界にいなかったタイプの仲間と接点を持ち、交流することは、乗馬だけではなく、自分の世界にも広がりをもたらしてくれるでしょう。成績や成果にも縛られず、楽しく馬の話をできることは、ストレスの発散にもつながるはずです。
また、乗馬を続けていくにあたり、悩み事があれば、貴重なアドバイスもくれるはずです。もしかしたら、同じような経験をしている仲間がいるかもしれません。悩み事や喜びを共有できる仲間がいるから、なかなかうまくいかないときも乗馬を続けていくモチベーションの維持ができるのかもしれません。
まとめ
今回は乗馬を続けると得られる楽しさについて深掘りをしてみました。もちろん、乗馬が全然楽しくないのに続けることはおすすめしません。乗馬は楽しいけれど「あまりうまくならないから」とか「馬に好かれていないと感じる」といったような理由でやめようと思っていらっしゃる方がいたら、是非、同じクラブの方や話しやすいインストラクターに話をしてみましょう。初心者のみなさんが不安に感じていることは、乗馬を楽しんでいる人なら、誰もが通ってくる道なのかもしれません。一人で悩まずに、ぜひ仲間にアドバイスを求めてみてくださいね。続けていると大変なこともたくさんありますが、楽しいこともどんどん増えてきますよ。