乗馬メディア EQUIA エクイア

メインビジュアル

知らなかった!馬がリラックスしているときの仕草

繊細で警戒心が強い馬ですが、馬房でゆったり過ごしている最中などは緩んだ表情も見せてくれます。でも、馬の感情表現は慣れるまで少しわかりにくいですよね。そこで、今回の記事では「馬がリラックスしているときの仕草」について解説していきます!

口元が緩んでいる

知らなかった!馬がリラックスしているときの仕草

まず注目したいのは、馬の口元。普段から銜(はみ)を通して支持を受けたり食べ物を探したりと口周りは重要な役割を果たしています。服を口でモゾモゾされて「意外と力が強いな!」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか?


そんな表情豊かな口元ですが、リラックスしてくると徐々に力が抜けてきます。軽く口をパカッと開いたような状態のときは、頤(おとがい)を触ると下唇がプラプラと動くほど。気を許した人にだけ見せてくれる、ちょっととぼけた可愛い表情です。


ちなみに、ぼんやりしているときだけでなく安心or納得した気持ちも口に現れます。馬をよく見ていると、舌をペロペロ出したりモグモグと何かをほおばっているような“チューイング”という仕草を見られるかもしれません。


これは、相手に対して納得・安心などの気持ちを示すサインだそうです。この仕草は母乳を飲む動作の名残という説があるので、猫の「ふみふみ」と一緒で安心して機嫌が良いということでしょうか。


ちなみに、仔馬の場合はチューイングを見せることで周囲に「私は子供です」「威嚇や攻撃はやめて!」とアピールすることがあります。そのため、運動中にチューイングが見られたら単純に安心というよりは指示への納得・服従を示している可能性もあるでしょう。

後足を浮かせている

知らなかった!馬がリラックスしているときの仕草

放牧場や馬房の中で、馬がどれか1本だけ足を曲げているのを見たことがあるでしょうか?初めて見ると「あれ?ケガしてる?痛いのかな」と心配になるかもしれません。しかし、その後で歩かせてみると歩様は問題ナシということもしばしば。


特に後ろ脚のどちらかをつま先だけ付けて浮かせていることが多いのですが、実はこれもリラックスのサイン。馬自身が、すぐに逃げたり走ったりする必要性が低いと感じているときによく見られます。


このとき馬は、伸ばしている3本の脚で体重を支えて、浮かせている1本は休ませている状態です。何かに注意を引かれたタイミングで一旦全ての脚に力を入れて、脚を踏みかえて別の脚を休ませる態勢に戻ることもあるので、機会があったら見てみてくださいね。


ちなみに、馬は浅い眠りに入っているときも同じようなポーズをします。人間と違って腱だけで膝を伸ばしておくことができるので、立ったまま寝て筋肉の力が抜けても膝が崩れないそうですよ。

頭の高さが背中まで平行

知らなかった!馬がリラックスしているときの仕草

頭~背筋に注目

馬が首を下げていると「地面の草を探しているのかな?」と思いがちですが、首を少し下げているのはリラックスのサイン。ちょうど背中の高さくらいまで頭を下げて、首筋~背筋が地面と平行になっているような状態です。


乗馬をやっている人にとっては騎乗中の馬の姿が“標準”という認識があるかもしれませんが、私たちが乗っているあいだ馬たちは気を引き締めて指示に従おうと待機してくれているんですね。


これを知ってから、日の当たる放牧場で首を下げてのんびりしている馬を見るのが余計好きになりました。口と同じで、首や肩回りもリラックスすると力を抜いた状態になるのでしょう。


ただし、人が乗っているときにグンと首を下げてくる場合は要注意。首が下がりすぎてしまうと銜(はみ)からの指示が伝わりにくい状態になるのですが、馬が人からの指示を拒否するようにあえて首を下げていることがあります。

もし緊張していると?

馬は驚くと、のけ反るような動きをします。このことからも分かるように、馬は緊張が高まると首を高く上げます。これはおそらく、自然界で急に天敵が現れたときに広い範囲を見渡すために頭を高く上げた名残ではないかと考えられます。


もちろん、馬が首を上げるのは急な音や人の動きに驚いたときだけではありません。新しい環境にまだ慣れていない場合や、過去の経験から人間自体に緊張してしまう馬は起きているあいだほとんど首を高めの位置に上げていることもあります。


馬も常に緊張した姿勢では背筋や肩の筋肉が凝り固まってしまうので、馬自身が嫌がらない範囲で首元や肩をさするなど軽いマッサージをしてあげるのも良いかもしれません。

両耳がほとんど動かず外を向いている

知らなかった!馬がリラックスしているときの仕草

耳はアンテナ

馬の耳は、人間にとって馬の感情を知るために重要な場所です。「怒っているときは耳を後ろに伏せる」というのは有名ですね。加えて、何かが気になるとすぐに両方の耳が音の方向にピッと向くので、馬が今何に注目しているのかも耳に注目すると分かりやすいでしょう。


逆に考えると、馬の耳がどこか一点に向けられておらず正面より少し外向きになっているときはリラックスしている証拠。耳全体も、ピンと上に立った状態よりはやや寝ている状態です。さすがにペタンと垂れることは無いですが、少し力が抜けているということですね。


こういうときの馬は表情も少しぼんやりしていて可愛いものです。食事を終えて馬房でのんびりしているときや、少し眠くなってきたときによく見られるので、みなさんもぜひ見てみてくださいね。

もし緊張していると?

緊張にもいろいろありますが、物音や周りの馬・人などに注意を向けているときには耳をそちらに向けて状況を確認しようとします。しっかり確認できる前に人や馬が急激に近づくと、さらに緊張が高まって耳を伏せた威嚇態勢に入ってしまうことも。


そうならないために、馬に近付くときは触れる前に声をかける・においを嗅ぐ時間を与えるなど、馬がゆっくり確認できるよう協力してあげましょう。馬も「この人はこっちのペースを分かってくれる」と感じれば、あなたのことを好きになってくれるはず。


もちろん、少し緊張して耳が立っていても悪いことばかりではありません。もし馬房に近付いて行ったときに、耳を立ててこちらに向けてきたら「誰かな?」「興味があるよ」と感じている可能性も高いからです。

まとめ

今回は、口元・姿勢・脚・耳という4ヶ所に焦点を当ててリラックスのサインを見てきました。緊張が解けると力が抜けるというのは、人間も馬も同じです。馬がリラックスできる場面・緊張しやすい場面を知ることで、馬が安心できる接し方&環境づくりもしやすくなりますね。

新着記事