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「騎座(きざ)」を理解して乗馬のレベルアップ目指そう!

乗馬に慣れてくると「騎座で押し出す」「騎座を安定させる」など当たり前のように「騎座」という言葉がでてきます。
この言葉を理解し、指導員の指示に従えば乗馬は上達していくかと思います。しかし騎座の意味を腑に落ちるまで理解するのに時間がかかることもあります。ここでは、理解しやすいように騎座について説明します。

「騎座(きざ)」って何?

「騎座(きざ)」を理解して乗馬のレベルアップ目指そう!

初めての乗馬ではただ鞍の上に座っていればよかったのに、乗馬を始めてみると、胸を張る・肩を開くなど姿勢について注意されることがあります。これは、上達のために必要なための指導です。
さらに乗馬になれてくると「騎座」という言葉で指導を受けます。突然「騎座」という言葉を使われても前後の文脈や練習から、座り方だろうと推測できる方も多いと思います。
では具体的にどのように理解し、練習に繋げていけばいいのでしょうか。
まず騎座とは、鞍に接している座骨・臀部の他、太もも・膝など人間と馬の接点であり、馬に扶助を出すときに重要な部分を表します。

「騎座」をマスターすることで得られる効果

「騎座(きざ)」を理解して乗馬のレベルアップ目指そう!

騎座を安定させる、マスターすることで、乗馬中の姿勢は美しくなり、上達にもつながります。しかし、その効果はそれだけではありません。具体的な効果を説明します。

馬の負担が軽減する

鞍を使っていても、馬は人間のお尻の動きを背中で感じています。馬の動きと人間の動きが合っていないと、馬は動く度に違和感ややりにくさを感じているのではないでしょうか。
そこで騎座をマスターすることで、人間は誘導や駈歩でも馬の動きについていけるようになります。そうすると馬にとっては、自分の動きについてきてくれる人間は動きやすく、背中だけでなく気持ちの負担も軽くなります。

脚以外の扶助ができる

馬に扶助を出す方法といえば、「脚」が一般的です。しかし、騎座をマスターすることで脚以外でも扶助を出すことが可能になります。
それは、「腰」です。人間が`腰を使い体重移動をすることで、重心の変化が馬の背中に伝わり、扶助を伝えるができるようになります。つまり脚を使わなくても体重の乗せ方によって誘導することも、更なる推進力に繋げることも可能になります。

脚が自由になる

乗馬は一見、優雅で爽やかなスポーツにみえますが、レッスンを始めてみると全身が筋肉痛になったり、馬の動きに自分の体が跳ねてしまいどうしようもなかったりします。そのため、脚で馬の体にしがみついてしまうこともあります。
そのような状況の中で脚で合図を送ることになると、さらにどうしていいか分からなくなります。
そこで騎座をマスターすればしがみつく必要がなく、脚が自由になり脚で合図を送ることができるようになります。
ここで、「騎座をマスターすれば腰を使うことができるため、脚で合図を送る必要はないのでは?」と思うかも知れません。しかし、上達し高度な技術が求められるようになると、脚で合図を送る必要がでてきます。
つまり高度な技術を習得するためには、騎座のマスターは必須になります。

馬の動きに対応しやすい

体験や初心者が騎乗する馬と、騎座が安定している人が騎乗する馬は違ってきます。体験や初心者は、ただ座っているだけのため落馬の心配がない、穏やかな馬が選ばれます。
一方、上達して騎座が安定してくると「ただ座っているだけ」ではなく、「馬と人間が連結している状態」になります。そのため、馬も穏やかな馬だけではなく、さまざまな特徴を持った馬に騎乗する機会があります。そこで騎座が安定していれば、馬が想定外の動きをしても落とされにくく、咄嗟に対応することができます。
馬も生き物ですから、躓いてしまったり、何かに驚いて想定外の動きをしてしまうこともあります。そんなときのためにも、早めに騎座をマスターするのもおすすめです。

「騎座」の作り方とポイントを解説

「騎座(きざ)」を理解して乗馬のレベルアップ目指そう!

体験乗馬で馬の背中に座っているだけのときと、騎座が作れているときでは見た目も違います。その違いはどこにあるのでしょう。ここからは騎座を作るための考え方とポイントについて解説します。

馬という乗り物

まずは馬に乗るということで、馬を乗り物と考えてみましょう。そして、自転車という乗り物と合わせて考えてみましょう。
例えば、自転車に乗るとき、ただ座っているだけでは思うように動かせません。もちろんペダルも漕ぎますが、曲がるときにはハンドルを曲げながら体重を移動させ、減速や加速するときもそれに対応させて体を動かしています。
そしてこれらは一度覚えると、無意識に自転車に乗れるようになっています。
馬も自転車と同様に座っているだけでは思うように動きません。自転車の練習と同じように、騎座を作れるようになるまで練習を重ねる必要があります。
騎座をマスターすると、自転車でスイスイ走れるようになるのと同じように、馬と人間が一体になって乗馬を楽しむことができるようになります。

騎座をつくるポイント

騎座といっても気を付けるのはお尻だけではありません。できるだけ広い範囲を意識しましょう。一般的に太ももまでを面で捉えるといわれています。
しかし、馬の体の形によっては膝や膝下まで馬の体に添えます。馬と触れている部分をできるだけ大きくとることで、はがれにくくします。
そして、座っているだけでなく、馬の動きに合わせて自分も動きます。動きが合わないと、馬の邪魔になり、馬も動きにくくなります。馬の動きを感じ取り、随伴を意識しましょう。
また、レッスン中に指導員から「力を抜く」「リラックス」など声をかけられることがあります。このとき勘違いしやすいポイントになりますが、力を抜いてリラックスするのは上半身だけであることを覚えておきましょう。

具体的な方法

まず鞍に跨ったら、太ももで鞍を挟みます。このとき太ももの内側全体を使うイメージです。太ももの内側は普段使わないため、難しく感じることもあります。特に気を付けたいところは、股関節の内側で挟むのではなく、膝近くで挟む点です。
その後、お尻を引き締めます。そうすると足も自然と締まり、腰が前に押し出されます。一瞬脱力し、お尻を後ろに戻し、引き締めていた力も抜きます。それを繰り返します。

よくある誤った乗り方

「騎座(きざ)」を理解して乗馬のレベルアップ目指そう!

練習の段階では、誤った乗り方をしてしまうこともあります。その例を2つ挙げますので、意識してみましょう。

脚部が後ろに流れるパターン

上体が前に傾いてしまい、脚部が後ろに流れてしまうパターンです。これは女性に多いパターンで、骨盤を立てる意識が強いとこのパターンに陥ることがあります。
脚が後ろに流れてしまうと、脚は馬のお腹の後方を刺激してしまい、馬は過敏に反応し勝手にスピードを上げてしまうことがあります。
また上体が固くなっているため、反動を吸収しにくくなってしまいます。

脚部が前に流れるパターン

骨盤を寝かせてしまうことで上体が後ろに傾き、そのため脚部が前に流れてしまうパターンがあります。これは男性に多いパターンといわれています。
このパターンの場合、上体が後ろに傾いているため、重心は後ろに行き過ぎて馬は前に進みにくくなります
この例はさきほどの例とは逆のものになるため、上半身が後ろに傾き馬が上手く進まないという場合は、あえて上体を前に倒してみましょう。また、反対に馬が速くなりがちの場合は、上体を後ろに倒すイメージをしてみるのもおすすめです。

まとめ

「騎座(きざ)」を理解して乗馬のレベルアップ目指そう!

練習を積み重ねていくと、「馬の背中に座っているだけ」から「騎座を安定させる」というステージが見えてきます。
騎座を安定させることで、馬の心身の負担を軽減、脚以外の扶助が使える・脚が自由になる・馬の想定外の動きにも対応できるようになるなど乗馬の上達への効果は大きいです。また、高度な技術を習得するためには必須条件にもなります。
騎座をマスターするポイントはいくつかありますが、一番大切なのは基本の姿勢をマスターすることです。そのためには練習が必要になります。

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