【乗馬体験】自分の体重でチャレンジしても大丈夫?

「馬に乗ってみたいけれど、自分の体重で馬に負担をかけないかな?」と不安に感じていませんか?
実は、乗馬には馬の健康と安全を守るための「体重制限」が設けられていることが一般的です。しかし、数値だけで諦める必要はありません。
今回は、制限が設けられている本当の理由や、競技・馬種による目安の違いを詳しく解説します。
ルールを知り、馬への思いやりを持つことで、安心して乗馬デビューを楽しみましょう!
体重制限や適性体重があるって本当?

乗馬に興味を持った際、意外と多くの方が不安に思うのが「自分の体重で馬に乗っても大丈夫だろうか?」という点です。
結論から言うと、多くの乗馬クラブや体験施設では明確な「体重制限」が設けられています。
これは決して利用者を差別するためではなく、馬の健康を守り安全な騎乗を提供するために不可欠なルールです。
一般的に、日本の乗馬施設で設定されている体重制限の目安は、男性で80kg前後、女性で70kg〜75kg程度とされていることが多いです。ただし、この数値は施設が保有している馬の種類や大きさによって大きく変動します。
例えば、大型のサラブレッドが多いクラブであれば80kg以上でも受け入れ可能な場合がありますが、ポニーや小柄な和種馬をメインとしている施設では、より厳しい制限(50kg〜60kgなど)が設けられることもあります。
また、「適正体重」という考え方も重要です。
一般的に馬が無理なく背負える重さは、その馬の体重の「約15%〜20%」と言われています。
例えば、体重500kgの標準的なサラブレッドであれば、鞍などの馬具(約10kg〜15kg)を含めて100kg程度が限界となります。ここから馬具の重さを引くと、騎乗者の体重は80kg〜85kg程度が、馬にとって負担の少ない適正な範囲の上限となるのです。
最近では、海外から導入された大型の「重種(じゅうしゅ)」と呼ばれる、体重が1トン近くある力強い馬を揃えている施設もあり、そうした場所では100kg近い方でも体験可能なケースがあります。
逆に、子供向けのポニー体験では「30kg以下」といった非常にタイトな制限があることも珍しくありません。
自分がどの施設で乗りたいかを決める前に、公式サイトの「よくある質問」や「利用規約」をチェックし、もし記載がなければ電話で事前に確認しておくことが、当日ガッカリしないための大切な準備となります。
体重制限を設ける意味

なぜ乗馬においてこれほど厳格に体重制限が設けられているのでしょうか。
その最大の理由は、動物愛護の観点から「馬の健康を守るため」です。
馬は非常に力強い動物に見えますが、その背骨や脚の関節は非常にデリケートです。
許容範囲を超える重さが背中にかかり続けると、馬は背中を痛めてしまったり、脚の関節に慢性的な疾患を抱えてしまったりします。一度背中を痛めた馬は、騎乗されることに恐怖や苦痛を感じるようになり、最悪の場合、人を乗せることができなくなってしまいます。
次に重要なのが「安全性の確保」です。乗馬は馬と人間がコミュニケーションを取りながら行うスポーツですが、バランスが非常に重要です。
馬にとって重すぎる荷物(騎乗者)を背負うと、馬自身の重心が不安定になり、つまずきやすくなります。特に初心者の方は、揺れる馬の上でバランスを崩しやすいため、馬に過度な負荷がかかっている状態で大きく揺れると、馬が耐えきれずに転倒してしまうリスクが高まります。これは馬だけでなく、乗っている人間にとっても重大な事故につながる危険な状態です。
また馬の「心理的なストレス」も無視できません。
自分の能力を超えた重さを背負わされることは、馬にとって大きな苦痛です。ストレスが溜まった馬は、指示に従わなくなったり、暴れたりといった反抗的な行動をとることがあります。これでは楽しい乗馬体験どころか、危険な状況を招きかねません。
さらに乗馬クラブ側には「馬具の保護」という側面もあります。
鞍や腹帯といった馬具は、特定の荷重を想定して設計されています。過度な体重がかかると、馬具が破損したり、馬の体に食い込んで傷つけてしまったりする可能性があります。
このように、体重制限は「馬の福祉」「ライダーの安全」「道具の維持」という三つの重要な要素を守るために、非常に合理的な理由に基づいて設定されているのです。
競技ごとの適正体重

乗馬には、初心者向けの体験乗馬から、オリンピック種目にもなっている高度な競技まで、様々なジャンルがあります。それぞれの競技特性によって、求められる「適正体重」の考え方も異なります。
まず競馬(ジョッキー)の世界は非常にシビアです。JRAの新人騎手などは、装備を含めて50kg台前半という極めて軽い体重が要求されます。これは「1分1秒を争うスピード競技」であるため、1kgの差が勝敗に直結するからです。
一方で、一般の方が楽しむ「ブリティッシュ馬術(障害飛越や馬場馬術)」では、ジョッキーほどの軽量化は求められません。むしろ馬を制御するための筋力や、高い位置でバランスを保つための体幹が必要とされるため、極端に痩せているよりも標準的な体格でしっかりとした筋肉がある方が有利な場合もあります。
「障害飛越」においては、馬がジャンプする瞬間に大きな負荷が脚にかかるため、騎乗者が軽量であることは馬の足腰への負担を減らすメリットになります。
それに対して「馬場馬術(ドレッサージュ)」では、馬との繊細なコンタクトが重視されます。もちろん重すぎると馬の動きを妨げますが、ある程度の体格があった方が、脚(きゃく)による合図が伝わりやすいという側面もあります。
「ウエスタン乗馬」や「外乗(ホーストレッキング)」では、比較的どっしりとした体格の馬(クォーターホースなど)が使われることが多いため、ブリティッシュに比べると体重制限が緩やかな傾向にあります。カウボーイの文化から発展したウエスタンは、長時間の騎乗を前提としているため、馬も人も安定感を重視します。
どの競技においても共通しているのは、「自分の体重をどれだけコントロールできているか」という点です。たとえ体重が軽くても、馬の上でドスンと乱暴に座る人は、体重が重くても馬の動きに合わせて柔らかく座れる人よりも、馬に負担をかけてしまいます。
競技レベルが上がるほど、単なる「数値としての体重」よりも、馬の負担を最小限にする「随伴(ずいはん)」というスキルの重要性が高まっていくのです。
まとめ

体重制限は、パートナーである馬の健康とあなたの安全を守るための大切なルールです。
もし制限を超えていても、それは馬への思いやりを学ぶ第一歩になります。
乗馬は体幹を鍛える有酸素運動としても効果的なため、目標体重を目指して準備することも素晴らしい挑戦です。まずは施設に相談し、自分に合った馬と環境を見つけましょう。
ルールを守り、馬を尊重する気持ちこそが、最高の乗馬体験への近道となります。








