乗馬を始める前に知っておきたい!「3つの心得」と「馬と仲良くなる方法」
新しいことにチャレンジするとき、小さな不安は必ずあるもの。「乗馬に興味はあるけれど、今まで馬に接したことがないからちょっと不安」と迷っている方はいらっしゃいませんか?
この記事ではそんな不安を少しでも軽くできるように、乗馬を始める前に知っておきたい心得と、馬と仲良くなる方法についてご説明します。
乗馬で大切な「3つの心得」
心得その一:人も馬も安全第一
何より大切なのは、人も馬も安全第一でケガや事故がないことです。
初心者の方が乗る場合には適任の馬が厳選されており、スタッフがしっかり見守ってくれます。
スタッフの指示には必ず従いましょう。また、分からないことがあったらスタッフに確認しましょう。
特に人が身につける装備(ヘルメット、プロテクターなど)や服装については、クラブごとにルールが違う場合があります。そのクラブのルールに従いましょう。
心得その二:馬の心と体を理解して馬を大切にしよう
馬はとても怖がり
体が大きくても馬はとても怖がりです。
肉食動物から身を守るため、馬は異変を素早く察知し、走って逃げる能力を進化させてきました。だから、大きな音、見慣れない物、急な動きにはとても敏感です。
手を叩きながら大きな声で笑ったり、スーパーのビニール袋を風に飛ばしてしまったり、傘をさして歩いたり、「えっ!?こんなこともダメなの?」ということが苦手だったりします。
怖がりな馬たちをびっくりさせないよう、自分が馬に接している時はもちろんですが、他の人が乗っている時や馬の手入れをしている時も気を付けましょう。
馬は体も繊細
馬は体の大きさに比較して肢が細いです。特に、早く走ることを目的に改良されてきたサラブレッドは、500kgの体を人間より細い四肢で支えています。
そのため、骨折や蹄のトラブルで一本の肢に体重を掛けられなくなった場合、他の三本の肢に負荷が掛かって立っていられなくなることもありますので、肢を良いコンディションに保つことがとても重要です。
また、馬は「疝痛(せんつう)」と言われる腹痛を起こすことがあり、重い場合は命を落としてしまうこともあります。疝痛の原因はたくさんありますが、冷えや過食、飲水不足など、人が気を付けてあげれば防げるものもあります。
心得その三:馬にとって信頼できるリーダーになろう
「まだ初心者なのに馬のリーダーになるの?」と戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、馬と接する時にはあなたがリーダーです。
体が大きく力が強い馬と人が安全に接するため、馬と人の間にはたくさんの約束事が決められています。
乗っていない時であれば、人に引かれている時は同じペースでついていく、手入れの時に合図されたら肢を上げるなど。乗っている時であれば、お腹を圧迫されたら前に進む、手綱を左右均等に引かれたら止まるなどなど。
人によって言うことが違うと馬は混乱してしまいますので、ベテランも初心者もみんなが同じように指示する必要があります。馬が正しく反応した時は褒め、従わなかった時は「だめ」と伝えて再度指示し、できたら褒めることが大切です。
慣れるまではいつ褒めたらいいか分からないかもしれませんが、スタッフがタイミングを教えてくれますので、自然と褒めるタイミングが身に付いてくるはずです。
馬と仲良くなるための第一歩
まず声を掛けてみよう
知らない人が無言で急に近寄ってきたら、ちょっとびっくりしてしまいますよね。馬も同じです。
前述のとおり馬はとても怖がりで「大きな音、見慣れない物、急な動き」は苦手なので、
・穏やかな声で話しかけながら
・馬に見える少し離れたところから
・ゆっくりと
近付いてみましょう。
ゆっくり撫でてみよう
馬は元来、優しくて好奇心旺盛です。声を掛けながらゆっくり近付くと、きっと「あなたはだあれ?」と匂いを嗅ごうとします。
そうしたらこっちのもの。手を下から馬の鼻先に近付けて、まずは匂いを嗅いでもらって自己紹介です。
手を急に上げたり、上から触ろうとするとびっくりすることがありますので、鼻先や顎から頬へと順々に触れていき、受け入れてくれるようなら頸をポンポンと軽く叩いてみましょう。
もし、近付いた時に「今は近寄らないで!」とご機嫌斜めな場合は、そっとしておいてあげましょうね。
実は表情豊か!馬の気持ちがわかるようになろう
声を掛けたり、撫でたりした時に馬がどう思っているか、わかったら楽しいですよね。言葉は話さなくても、実は体の動きに気持ちが出てしまっているのです。
ちなみに、上の写真の馬は面白いことがあって笑っているわけではなく、気になる匂いを嗅いだ時に起きる「フレーメン反応」の真っ最中です。
耳
馬の耳は良く動きますが、向いている方向や動きによって気持ちが分かります。
・ぴんと前を向いている時:「なんだなんだ?」と何かに注目しています。
・後ろに伏せている時:「やんのかこら!」と攻撃態勢。そっとしておきましょう。
・絶えずクルクル方向を変える時:「どうしようどうしよう」と緊張しています。
・ふんわり脱力している時:「。。。」まったりリラックス。寝ているのかも。
鼻
耳ほどではありませんが、鼻にも気持ちが現れます。
緊張している時は鼻の穴が大きく開き、攻撃態勢の時は鼻の穴の脇に皺がよります。
「馬の表情と感情」について、詳しくはこちら↓のページも参考にしてください。
馬との信頼関係を築こう
馬と仲良くなり、信頼関係を築くためには、まずは馬に覚えてもらうことが第一です。
会いに行くたび、声を掛けて撫でてあげましょう。
次のステップでは「この人と一緒にいれば大丈夫」と馬に思われるような信頼できるリーダーになりましょう。
いつも穏やかで、人と馬の約束事についてはきっちり教え、正しくできれば褒めてくれる。また、怖いことから守ってくれるのが、馬にとって信頼できるリーダーです。
JRA競走馬総合研究所の実験で、馬が少し怖いと感じる場所に連れて行った時、いつも一緒にいる人と行った馬は、馴染みのない人と行った馬に比べて心拍数の増加が少ない、つまり落ち着いていたという結果が出たそうです(「ファンにやさしい馬学講座」第3回、JRA競走馬総合研究所、https://company.jra.jp/equinst/magazine/pdf/Y-2011-5.pdf)。そんな関係性を結ぶことができたら嬉しいですね。
まとめ
今回は乗馬を始めたい方が安心して馬と接することができるよう、乗馬で大切な「3つの心得」と「馬と仲良くなる方法」についてご説明しました。
大きな体に繊細なハート、好奇心旺盛な馬たちとたくさん仲良くなってくださいね!