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【よく見て!】馬の表情と感情

乗馬を初めたばかりの皆さんは「馬って思ったより無表情だな」と感じているのではないでしょうか?確かに、ペットとして身近な犬と比べると感情が分かりにくい馬たち。今回の記事では、そんな馬の感情を知るポイントや、さまざまな感情表現について解説します。

馬はポーカーフェイス?

【よく見て!】馬の表情と感情

馬って表情が分かりにくい…。と不安に感じたことはありませんか?しかし、そう感じるのは着目点が違うから。まずは、馬と人の表情を比較しながら「馬の表情はどこに表れやすいのか」を知っていきましょう。

耳と唇に集中している表情筋

の表情筋は頬や目の周り・口の周りなど顔の前面に集中しています。みなさんも、相手の表情を読み取ろうとしたら目や口がどのように動いているか、頬や眉などの筋肉が動くことで顔のどの部分にどんな方向のしわが寄っているかなどに着目するはずです。


この視点で馬を見てしまうと「無表情」という認識になってしまうのはもっともなこと。なぜなら、馬が感情を示すための筋肉は耳や唇の周りに集中しているからです。逆に言えば、その部分に注目すれば馬の感情は読み取りやすくなるということですね。

馬は人の表情を理解している

では、逆に自分とは異なる仕組みで表現される人間の感情を、馬は理解できているのでしょうか?これに関しては、馬に人間の「怒った顔」と「優しい顔」をそれぞれ見せ、それと同時に「怒った声」と「優しい声」を聴かせるという実験が行われています。


その結果、表情と声色が一致しているときよりも、怒った顔なのに優しい声がする・優しい顔なのに声が怒っているというパターンのほうが、馬は違和感を持って対象の表情を長時間注視する傾向が見られたそうです。


つまり、馬は人の表情・声の調子どちらからも人間の感情を読み取ることができると推測できますね。

実は表情豊か

【よく見て!】馬の表情と感情

馬と表情について少しわかってきたところで、次は具体的に馬がどのような感情表現をするか見てみましょう。「あの様子ってそういう意味だったんだ!」という発見があるかもしれませんね。

警戒しているとき

馬は警戒感が高まると、聴覚によって近づいてくるものをいち早く察知しようとします。そのため、馬が何かに注意を払ったり警戒しているときは両方の耳がピンと立ってクルクルといろいろな角度に動きます。


警戒するだけでなく怯えているときは、後ろに後ずさりするような動きや、落ち着きなく足踏みするような様子を見せることもあります。

怒っているとき

馬は怒ると、項の方向に耳をペタンと伏せます。馬が怒るパターンとして最も多いのは、近づいて欲しくない相手が急に近づいてくる場面かもしれません。


相手が馬でも人間でも耳を伏せて威嚇を表し、それでも近づいてこようとすると相手を噛もうとする馬もいます。もし馬が「嫌だよ!」という感情表現をしているときは、たとえその馬に用事があったとしても距離を置いて落ち着かせることを優先しましょう。

喜んでいるとき

喜びにもいろいろな種類がありますが、例えばブラッシングなどをされて「気持ちが良いよ」と感じているときはくちびるを突き出すように鼻先を伸ばす馬もいます。また、普段はしっかり閉じている口が緩んで、下唇がちょっとプラプラしている・・・なんてことも。


他には、前掻き(前足の蹄で地面を掻くような動作)も「好きなオヤツが目の前にある!」といった状況では喜んでいると解釈して良いかもしれません。ただし、物足りない時や何か訴えたいときに前掻きをする馬もいるので、状況と関連付けて考えることが重要ですね。

興奮しているとき

怒りや警戒による興奮状態でなく、人間でいう「テンションが上がっている」ような状態では馬たちは尻尾の付け根を持ち上げます。思い切り走っているときなどに、このような様子を見かけたという方も多いのではないでしょうか?


そして、そんなときは馬が「ブル、ブル」と鼻を鳴らしていることもあります。これも、気分が良いときや楽しみなときによく見られる様子です。走っているときのほか、飼い(エサ)を配り始めたときも馬たちは鼻を鳴らしながら自分の馬房で待っていたりしますね。

フレーメン反応とは?

【よく見て!】馬の表情と感情

ところで皆さんは、馬が「変顔」をしているのを見たことがありますか?上唇をペロッと上に捲り上げて、上の歯茎をイーッと見せるような顔です。


馬によっては笑っているようにも見えるこの顔ですが、実は感情を表す「表情」ではなく、フレーメン反応と呼ばれるもの。この反応は、動物が鼻だけでなく鋤鼻器(じょびき)という嗅覚器官によって匂いを確認しようとしたときに見られます。


馬の鋤鼻器は口の中にあるため、その鋤鼻器を気になる匂いに触れさせようとしてこんな顔になるんですね。本来は異性の匂いを確認するときなどによく見られるそうですが、飼育下にある馬は嗅ぎなれない匂いを嗅いだときなどにもフレーメン反応を示します。


ちなみに、ネコ科の動物などにもフレーメン反応が見られますが「アッカンベーのように舌を出す」「驚いたように口をあんぐりと開ける」など動物の種類によって鋤鼻器を空気に晒す方法はさまざまです。

コミュニケーション方法

【よく見て!】馬の表情と感情

ここまでは馬の顔周辺に注目して感情を探る方法を紹介してきました。最後に、普段馬たちはどのようにコミュニケーションをとっているのか紹介します。


最も分かりやすいのが「鳴き声」。馬の鳴き声と言えば「ヒヒーン」といういななきのイメージが強いですが、この高く、長くのばすような声は遠くにいる仲間と呼び合うときなどに聞くことができます。


一方、放牧などをしているとたまに「ヒンッ」と短く鳴く声を耳にするのではないでしょうか?この鋭く短い声は、オスがメスに惹かれて近づきすぎたときや、同性間であっても「距離が近いよ!あっちへ行って!」というときの警告を示しているそうです。


他にも、特に仔馬などが大人の群れに近づく際には「いじめないで」とアピールするように口をモグモグさせることも。年齢や性別によって、いろいろなコミュニケーション方法が見られそうですね。

まとめ

一見、いつでもポーカーフェイスに見える馬。しかし、その感情表現を知ると意外と豊かな感情を知ることができたり、大切な馬の気持ちを知る手掛かりになるかもしれません。

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