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ウマ好きが科博 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由

ウマ好きが科博 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由

こんにちは、ウマが大好きなライターのやりゆきこです。
EQUIA読者の皆さんは、国立科学博物館で開催中の特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」にもう足を運びましたか?

「大絶滅(大量絶滅)」と聞くと、恐竜や太古の生物の話が中心で、ウマとはあまり関係がないように感じるかもしれません。ところが実際に展示を見てみると、ウマが好きだからこそ見るべき展示がありました!今回は、実際に会場を訪れて感じた『ウマ好きが科博「大絶滅展ー生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由』をご紹介します。

大絶滅展ってどんな展示?

ウマ好きが科博 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由

▲会場の様子

大絶滅展は、地球の生命史のなかで起きた5回の大量絶滅=「ビッグファイブ」に焦点を当てた特別展です。

大量絶滅と聞くと、どうしても残念な気持ちになりがちですが、本展が伝えているのはそれだけではありません。絶滅の先に、実はそれまでになかった種類の生き物が登場し、新たな生態系が生まれるきっかけにつながったことを示す、前向きなメッセージも伝える内容になっています。

会場は以下の6つのエピソードで構成されています。

EPISODE 1
O-S境界(オルドビス紀―シルル紀)/海の環境の多様化(約4億4400万年前)

EPISODE 2
F-F境界(デボン紀後期)/陸上生態系の発展(約3億8000万~3億6000万年前)

EPISODE 3
P-T境界(ペルム紀―三畳紀前期)/史上最大の大量絶滅(約2億5200万年前)

EPISODE 4
T-J境界(三畳紀後期―ジュラ紀)/恐竜の時代への大変革(約2億100万年前)

EPISODE 5
K-Pg境界(白亜紀―古第三紀)/中生代の終焉(約6600万年前)

EPISODE 6
新生代に起きた生物の多様化

一見するとウマとは無縁に思えるこの流れのなかで、ウマ好きの皆さんが特に注目すべきなのが、最後のEPISODE 6です。

理由1:環境の変化とあわせて「ウマの進化」について学べる!

ウマ好きが科博 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由

「EPISODE 6 新生代に起きた生物の多様化」の展示エリアは、ビッグファイブの後、哺乳類が主役となった時代についての展示です。現代につながる多くの哺乳類グループがこの時期に出そろいました。

この時代、地球規模で寒冷化・乾燥化が進行し、低〜中緯度に広がっていた森林は次第に縮小。代わって草原が拡大していきます。その環境変化に適応するかたちで、多くの草食哺乳類が大型化していきました。

その代表例として展示されているのが、ウマ科の進化です!

会場では、初期の小型のウマ科から次第に体が大きくなっていく様子を、骨格標本(レプリカ、一部実物)を一列に並べて展示しています。森林環境に適応した歯から、草原で硬い草をすりつぶすための歯へと変わっていく様子などを視覚的に学ぶことができます。

ウマ好きが科博 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由

また、現代のウマは1本指の蹄を持っていますが、約5500万年前の初期のウマ科では、前肢に4本、後肢に3本の指がありました。進化の過程で指の数が減り、中央の1本が発達していく流れも、展示を通して丁寧に追うことができます。

理由2:温暖化で小さくなった?!「シフルヒップス」の日本デビュー

ウマ好きが科博 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由

▲シフルヒップス(レプリカ)始新生/ウマ科/国立科学博物館 ©RCI

ウマ科の進化にまつわる展示のなかで、ぜひ注目してほしいのが「シフルヒップス(Sifrhippus)」です。シフルヒップスは約5500万年前、北アメリカに生息していた初期のウマ科で、その大きさは小型犬ほど。

EPISODE 6で扱われている新生代は、一貫して寒かったわけではなく、時代によって気候が大きく揺れ動いていました。

展示解説によると、この時代には「暁新世/始新世温暖極大期(PETM)」と呼ばれる急激な温暖化が起こっており、シフルヒップスは体を小さくすることで環境に適応したことが研究から明らかになっています。

シフルヒップスが日本でこんなに大きく取り上げられことは、これまでなかったといっても過言ではありません。ぜひチェックしてみてほしい展示です。

また、イラストレーター・かわさきしゅんいちさんによる「シフルヒップス→メソヒップス→メリキップス→現代のウマへ」という進化の流れを描いた素晴らしい復元画も。骨格と想像図を行き来しながら理解を深められる点もうれしいです!

理由3:ウマ科の進化を“連れて帰れる”ミュージアムグッズ

ウマ好きが科博 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由

▲正式名称:ひっくり返して、またひっくり返すぬいぐるみ(ウマ科3種)

展示を見終えたあとに待っている特設ショップも、ウマ好きには見逃せません。

ここで販売されているのが、通称「くるくるヒップス」というぬいぐるみ。一見すると、前述のシフルヒップスをモチーフにした、可愛らしいぬいぐるみです。しかしこのぬいぐるみ、ただ可愛いだけではありません…!

お腹のファスナーを開けてひっくり返すとメソヒップスに、さらにもう一度くるっと返すとメリキップスへと“進化”します。

ウマ科の進化の過程を、ぬいぐるみで表現したこの仕掛けは、ウマ好き・ぬいぐるみ好きの私の心を直撃!ここまで強く刺さったミュージアムグッズは初めてかもしれません。

展示で学んだ内容を、そのまま家に持ち帰れる──そんな感覚を味わえるアイテムです。

この冬は科博・大絶滅展にGO!

ウマ好きが科博 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」を訪れるべき3つの理由

▲ティラノサウルスCG ©NHK/©アフロ/©PIXTA/
エーギロカシス復元画 ⓒかわさきしゅんいち/レドンダサウルス ©福井県立恐竜博物館

特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」は2026年2月23日まで開催中。大量絶滅という壮大なテーマのなかで、ウマ科がどのように環境と向き合い、姿を変え、現代までつながってきたのかを知ることができる特別展です。その過程を知ったあとに見るウマたちは、これまでとは少し違って見えるかもしれませんよ!

特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」公式サイトはこちら>

※大絶滅展は12月5日(金)以降の毎週金・土曜日は19時まで夜間開館も実施中。
(2026年1月2日(金)、3日(土)を除く。入館は18時30分まで)
※常設展示は17時まで開館(入館は16時30分まで)となります。

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