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\取材レポート/切手の博物館「馬」展に行ってきた!

こんにちは! 馬が大好きなライターのやりゆきこです。EQUIA読者の皆さんは「切手の博物館」をご存じでしょうか? 東京都豊島区目白にある切手の博物館では、2024年7月3日(水)~ 9月29日(日)まで「馬」展を開催中。さっそく訪ねてみました!

切手の博物館とは?

\取材レポート/切手の博物館「馬」展に行ってきた!▲切手の博物館 入口より

切手の博物館は、1988年に世界的にも有名な切手コレクターであった水原明窓氏によって設立。その後、1996年に目白で本格オープンしました。国内外の切手を所蔵する世界でも珍しい郵便切手の専門博物館です。切手文化に関する資料を収集・保存し、研究調査を行いながら、広く一般に公開しています。今回は企画展示の「馬」展について、学芸員の田辺龍太さんにもお話を伺うことができました!

「はっきりとした数はわかっていませんが、切手は世界中に約60万種類あるといわれています。当館では35万種類ほどを所蔵しており、3ヵ月ごとに企画展を開催しています。企画展示は、いずれも生活に身近なものがテーマです。今回は、歴史的に見ても人間の生活に深く関わってきた動物である『馬』を取り上げました」(田辺さん)

その数なんと800種類!馬の切手が大集合

\取材レポート/切手の博物館「馬」展に行ってきた!▲1階の企画展示エリア

さっそく1階の企画展示エリアに足を踏み入れると、まず驚いたのはその量です。なんと、切手の博物館で所蔵する馬の切手だけで、800種類以上もあったのだそう! 「郵便と馬」「役立つ馬」「馬とのふれあい」「近代競馬」「こんなにある馬の品種」など、多種多様な馬の切手が約800点も展示されています。

\取材レポート/切手の博物館「馬」展に行ってきた!▲お話を伺った学芸員の田辺龍太さん(背景は世界地図のパネル)

とくに馬車は郵便に使われてきたとあって、切手とも縁が深いのでしょう。「郵便馬車」の切手は世界中で発行されており、大きな世界地図パネルの上には、各国の郵便馬車の切手が勢揃い! 時代をさかのぼって、馬車が一般化する以前の時代(16世紀頃)を描いた切手に目を向けると、馬に人が乗って郵便物を届ける「騎馬郵便配達人」が描かれたものもありました。

※世界地図に貼られているのは実際の切手を400倍にしたものです

また国ごとに、なじみ深い「馬の品種」を描いた切手も多く見られます。なかには聞いたことがない品種の切手もあり、馬好きとしても大変勉強になりました。数センチ四方の小さな切手の中には、時代を象徴するものや地域の特色など、たくさんの情報が詰まっているんですね。

「企画展はスタッフ総出で手作りしているのですが、みんな、馬の品種の数には驚いていましたね。それぞれの品種の特徴が細かく描かれています。改良を重ねて、さまざまな特徴を持った馬がこんなにたくさんいるんだということが、切手を通してわかりました」(田辺さん)

浮世絵に洛中洛外図屏風! 日本で発行された馬の切手

\取材レポート/切手の博物館「馬」展に行ってきた!▲浮世絵(東海道五十三次)の切手の中にも馬!

\取材レポート/切手の博物館「馬」展に行ってきた!▲洛中洛外図屏風をモチーフにした切手とその拡大版。何頭の馬が隠れているでしょう?

馬というと、なんとなくヨーロッパのイメージを持つ人も少なくないでしょう。私も実際に展示を見るまでは、ヨーロッパの切手が多いのかな? と思っていました。ですが、馬の切手はヨーロッパでもアフリカでも、もちろんアジアでも。世界中で発行されていることが、この企画展を訪れてわかりました。

日本も然り。浮世絵や洛中洛外図屏風の切手(いずれも馬が描かれている)、流鏑馬やチャグチャグ馬コといった伝統的な祭事にまつわる切手。そして皆さんご存じ、近代競馬の切手など、日本でも多くの馬の切手が発行されてきました。なかには、「日本で最初に発行された馬にまつわる切手」の展示もありました。ご来場の際にはぜひ見てほしい切手のひとつです。

「日本で最初に発行された馬にまつわる切手は、明治10年に発行されました。切手の四隅に蹄鉄と鞭が描かれています。時代的に考えると、この切手も郵便馬車と関係しているかもしれませんね」(田辺さん)

馬の祖先にウマオイまで!広~い意味での馬の切手

\取材レポート/切手の博物館「馬」展に行ってきた!

そのほか、印象に残ったのは「馬の祖先と仲間」のコーナーです。エオヒップス(ヒラコテリウム)やヒッパリオンといった、数千万年以上も前に出現した古生物をモチーフにしている切手まであるとは思いもよりませんでした。

また、「ここにも馬が…」のコーナーでは、ウマオイやタツノオトシゴのような馬にまつわる名前を持つ生き物、馬頭琴やコントラバスなど馬にまつわる楽器を描いた切手も。直接的に馬は描かれていない、広い意味での馬の切手ですが、馬と人間の関わりの歴史を感じられる展示でもあります。

※ウマオイ(バッタ目の昆虫)/タツノオトシゴ(別名シーホース)/馬頭琴(弦と弓に馬の毛が使われている)/コントラバス(弓に馬の毛が使われている)

切手を通して、さまざまな地域や時代の馬たちを感じてほしい

取材が終わった後もお時間をいただき、改めて見てまわってしまうほど、楽しむことができた今回の企画展。地域ごとに見比べたり、時代を追って見てみたり…。切手を通して、新たな馬の魅力を知ることができました。

「切手に描かれたモノから、さまざまなことを感じ取ってもらえたら嬉しいですね。切手というものがひとつの情報源なんだということを、より多くの人に知っていただけたら、ありがたいなと思います」と田辺さん。

今回の取材レポートで紹介した切手は、展示のなかのほんの一部です。ぜひ、皆さんも切手の博物館に足を運んで、さまざまな地域や時代の馬たちを感じてみてください。

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<開催概要>
■ 展覧会名:「馬」展
■ 会  期: 2024年7月3日(水)~ 2024年9月29日(日)
■ 休 館 日 : 月曜日(祝日の場合も)
■ 開館時間: 午前10時30分~午後5時
■ 会  場: 切手の博物館1階 企画展示室
■ 観 覧 料 : 大人:200円、小中学生:100円、障害者無料
※毎月23日のふみの日は入館無料です。ただし9月は月曜日休館のため翌24日が無料です。

くわしくは切手の博物館 公式サイトをご覧ください>

この記事を書いた人

やりゆきこ
WEBコンテンツの企画編集、時々ライター。馬について調べることをライフワークに活動しています。乗馬は永遠の初心者ですが、毎週乗っています!【 note / Instagram / blog 】

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