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お釈迦様のお話「四の馬」とは

お釈迦様のお話「四の馬」とは

私たちは日々、さまざまな出来事を通して「気づき」や「学び」を得ています。でも、そのタイミングや深さは人それぞれです。

仏教には、そんな人間の気づきの違いを見事に表現した「四の馬(しのうま)」というたとえ話があります。
お釈迦様が説いたこの話は、修行者の姿勢を四頭の馬にたとえ、私たちがどのように苦しみや真理と向き合うかを問いかけます。

今回は、「四の馬」のお話の内容とそこに込められた深いメッセージを紐解きながら、自分自身の在り方を見つめ直すヒントを探っていきます。

お話の内容

お釈迦様のお話「四の馬」とは
お釈迦様が説いた「四の馬」のたとえ話は、人の心の在り方や修行への姿勢を描いた深い教えです。この話には四頭の馬が登場します。それぞれの馬は、鞭を打たれたときの反応が異なります。

第一の馬は、鞭の影を見ただけで即座に走り出します。
第二の馬は、鞭が皮膚に触れたときに走ります。
第三の馬は、肉に鞭が食い込んで初めて動き出します。

そして第四の馬は、骨にまで鞭が達してようやく動き出すのです。

この話は、仏教の修行者の姿勢を馬にたとえて表現したものです。つまり、教えを聞いてすぐに理解し実践する者もいれば、痛みや苦しみを経験してようやく目覚める者もいるということです。

このたとえは『増一阿含経』などの仏典に記されており、修行の深さや気づきの速さが人によって異なることを示しています。

お釈迦様はこの話を通じて、どのような人でも最終的には悟りに至る可能性があることを伝えたかったのです。

それぞれ何を例えている?

お釈迦様のお話「四の馬」とは

四頭の馬は、仏教の修行者が「苦しみ」や「真理」にどう向き合うかを象徴しています。

第一の馬は、仏の教えを聞いただけで心が動き、すぐに実践に移せる人。これは、過去世からの修行の積み重ねが深く、智慧が備わっている人を表しています。こうした人は、他者の苦しみや死の話を聞いただけで、自分の命の儚さや無常を悟り、迷いなく修行に励むのです。

第二の馬は、他人の苦しみを目の当たりにして、自分も同じような目に遭いたくないと感じて修行を始める人。これは、感受性はあるものの、直接の体験がないと本気になれない人を指します。

第三の馬は、自分が実際に病気や不幸に見舞われて初めて、人生の無常や苦しみに気づく人。経験を通して学ぶタイプで、痛みを通じて心が開かれていきます。

そして第四の馬は、何度も苦しみを受け、ようやく変わろうとする人。頑固で執着が強く、なかなか教えを受け入れられないタイプです。しかし、どれほど時間がかかっても、最終的に目覚める可能性があるという点で、他の馬と同じく尊い存在です。

お釈迦様は、どの馬も「走り出す」ことができると説いており、どのような人にも仏道を歩む可能性があることを示しています。

込められたメッセージ

お釈迦様のお話「四の馬」とは

このたとえ話には、「人はそれぞれ異なる気づきのタイミングを持っている」という深い洞察が込められています。

第一の馬のように、教えを聞いただけで即座に行動できる人は稀ですが、理想的な修行者の姿として描かれています。しかし、お釈迦様はそれだけを良しとしたわけではありません。第二、第三、第四の馬のように、苦しみや経験を通じて徐々に目覚めていく人々にも、同じように慈悲のまなざしを向けています。

この話は、私たちが他人と自分を比べて落ち込んだり、焦ったりする必要がないことを教えてくれます。
たとえ気づきが遅くても、そこから真剣に歩み始めれば、それは尊い修行の一歩です。また、教育や人間関係においても、相手の成長のペースを尊重することの大切さを示しています。すぐに理解できない人を見下すのではなく、見守り、支える姿勢が求められるのです。

さらに、この話は「苦しみ」そのものの意味を問いかけています。苦しみは避けたいものですが、それを通じてしか得られない気づきもあります。
人生の困難や挫折が、私たちを成長させ、より深い理解へと導いてくれることもあるのです。

お釈迦様は、どんなに遅くても、どんなに遠回りでも、目覚めることに価値があると説いています。だからこそ私たちは自分の歩みを信じ、他者の歩みを尊重しながら日々を丁寧に生きていくことが大切なのです。

まとめ

お釈迦様のお話「四の馬」とは
「四の馬」のたとえ話は、仏教の修行だけでなく、私たちの日常生活にも深い示唆を与えてくれます。人はそれぞれ異なる感受性や気づきのタイミングを持っており、誰もが同じようにすぐに変われるわけではありません。

大切なのは自分自身の気づきを大切にし、他人の歩みも尊重すること。そして、たとえどんなに遅くても、気づいたときから変わることができるという希望を持ち続けることです。

お釈迦様のこの教えは、現代に生きる私たちにも通じる普遍的なメッセージです。自分や他人に対して優しく、忍耐強くあることの大切さを、四頭の馬は静かに語りかけてくれているのです。

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