駈歩発進がうまくいかないのはなぜ?
乗馬を習っている多くの方がぶつかる最初の壁は駈歩ではないでしょうか。この記事では 駈歩発進がうまくいかない理由や対処法をいくつかご紹介します。 駈歩発進に悩んでいる方の参考になれば幸いです。
馬の準備ができていない
駈歩発進がうまくいかない大きな理由の一つが馬の準備不足です。 駈歩は、3つある歩様のうちでも、一番パワーを必要とする歩様です。 そのため、 馬も準備が整っていないと発信できません。 では、駈歩発進の準備できていないというのは、具体的にどういうことなのか確認していきましょう。
前進気勢が足りない
馬が前に行こうとする力のことを前進気勢と言います。馬が自分のペースでダラダラと歩いていて、前進気勢が不足している状態では、駈歩を出すことはできません。 まずは、 元気のあるテンポの良い常歩をすることが大切です。 脚を入れて活力のある常歩を出すようにしましょう。 馬が脚に反応せずに、馬なりの歩き方を続ける場合には鞭を使って馬をピリッとさせます。 これ以上、 馬に合図を送ると速歩になるという直前の常歩を維持しましょう。
ためが足りない
駈歩の場合、馬は後肢に力を溜めて発進をします。そのため、前肢に力が流れてしまうと駈歩は出しづらくなります。騎手は上体を起こしながら、前進気勢を促し、手綱を持ったまま我慢しなくてはなりません。こうすることによって、全体的にバランスが後ろ気味になるため、 後肢に力をためることが可能に。馬の力が溜まったタイミングで外方脚を少し後ろに引いて、手綱は維持したまま、駈歩の合図をします。手綱は発進後、馬の頭の動きに合わせて緩めるのですが、発進の際に騎手の手綱を緩めてしまうタイミングが早く、馬の力が前に抜けてしまい、発進できないことがよくあります。時間にして、ほんの数秒か、それ以下のはず。感覚に頼る部分が大きいので、何度も挑戦して、感覚を掴むことが大切です。
内方姿勢が取れていない
駈歩をする際には、 馬の顔が内側を向いた内方姿勢が取れている必要があります。馬が外側を向いたままでは、駈歩が出ないことが多いでしょう。手綱を張ったまま、外側のこぶしを少し譲り、その分、内側の手綱を引きます。騎手から、馬の内側のまつげが見えるくらいが目安です。このときにバランスが過度に内側に傾かないよう、内方脚を使います。
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騎手の恐怖心
騎手の恐怖心は馬にも伝わってしまいます。できるかぎり、リラックスして騎乗したいところです。でも、最初のころは難しいですよね。初めて駈歩するとスピードがすごく出ている気がするので、怖いと思うのは当然です。自分では意識していなくても、恐怖心から体が硬くなってしまいます。それが原因で、手綱を必要以上に引いてしまい、駈歩を出そうとしている馬に対して、知らないうちにブレーキをかけてしまうこともあります。
まずは、 信頼のおける乗馬をパートナーに正反動や駈歩発進の練習を重ねましょう。 駈歩のスピードに慣れてきたら、恐怖心による体の硬さもだんだん取れてくるはずです。そのころには、別の乗馬をパートナーにしても、発進ができるようになっているはず。インストラクターも最初のころは、ベテランの練習馬を配馬してくれるはずですが、心配であれば、あらかじめ相談してみましょう。
また、恐怖心がとれないうちは、サドルホルダーを活用しましょう。鞍の前方についている持ち手がサドルホルダーです。ホルダーを持っていると、落馬などの恐怖心がかなり軽減されます。そのため、力が抜けた状態で、騎手の鞍の上での動き方を体感できます。また、こぶしを安定させる練習にもなるので、一石二鳥です。
扶助が弱い
扶助が弱いため、馬に認識されていない可能性もあります。鞭を見せてピリッとさせてから、もう一度、内方脚による合図をしてみましょう。それでも反応がないなら鞭を使っていきます。
また、外方脚の方が反応をしやすい馬もいますので、外方脚を使ってみるのもいいでしょう。鞍数を重ねていけば、扶助も少しずつ強く入れられるようになってきますので、心配はいりません。
対処方法としては、常歩や速歩の時点で脚の入れ方にメリハリを付けておくことです。馬は脚をずっと同じ強さで使われてしまうと、慣れてきてしまいます。そのため、歩度を伸ばしたいときには、弱めの脚から徐々に強めていって反応した時点で脚を入れるのをやめましょう。こうすることによって 馬は弱い脚で反応するようになってきます。この状態を駈歩までに作っておけば、駈歩の扶助にも反応しやすくなるでしょう。
また、なかなか歩度を伸ばせない方の場合、常歩や速歩の扶助をする際に脚が前に流れてしまって、腹帯の上で合図をしてしまっていることも考えられます。鏡をみて、自分の脚の位置も確認してみましょう。
まとめ
いかがでしたか。 駈歩発進のできない主な原因をまとめてみました。 ただ、文字を読むのとそれを体現するのでは大きな違いがあります。 分かっていても、体現するのは難しいですよね。しかし、鞍数を重ねていけば、必ず感覚をつかめてきます。個人差はあると思いますが、あまり考えすぎずに、まずは経験を重ねていくことも大切かもしれません。焦らずに、楽しみながら、駈歩をマスターしていきましょう!