【悩んでいる人は多いかも】短鞭を上手く使いたい
乗馬に通い始めて、速歩に慣れてきたタイミングで「短鞭を持ってみましょう」とインストラクターから声をかけられます。でも、鞭はどこにどのようにどのタイミングで使ったらいいのでしょうか。今回は効果的な短鞭の使い方について考えていきます。
使うタイミング
鞭には短いものと長いものがあり、短いものを短鞭(たんべん)、長いものを長鞭(ちょうべん)と呼びます。短鞭の先は平べったくなっており、馬体にあたると音が鳴るようになっています。長さは60〜70cmのものが多いようです。反対に100〜120cmほどある長鞭の先は細くなっており、馬に刺激を与えるつくりになっています。長鞭でちょんと動かしてほしい場所に当ててあげると、馬がその刺激に反応をするというしくみです。障害飛越の競技会では短鞭を使います。馬場馬術では、競技中の鞭の使用を禁止している大会も多いですが、練習には長鞭を使います。長鞭には使い方や持ち方にもコツがあることから、乗馬を始めて最初に持つのは短鞭であることが多いです。
実際に使うときに悩むのは、鞭を入れるタイミングですよね。最初のころは、なんとなく鞭を使うのがかわいそうな気がして、鞭を使うのを躊躇してしまうのではないでしょうか。短鞭の場合、馬は痛みを感じず、音で反応すると言われていますので、過度の心配は無用なようです。基本的には、合図を入れても動かない場合に鞭を使います。
ただし、鞭には敏感な馬もいます。初めて乗る馬の場合は大丈夫かな?と思いますよね。脚と同じで、鞭も段階的に使う強さを変えていきましょう。鞭を持つだけでピリッとする馬には鞭を見せるだけでも反応が良くなることもあります。鞭に敏感に反応する馬に対して、最初からバシっと入れてしまうと思いがけず、大きな反応をする場合があるので要注意です。見せても反応しなかった場合には鞭を入れます。
鞭と脚の関係
しかし、1度だけ脚を入れたのに反応しなかったとすぐに鞭を使ってしまうと、乗り手側の扶助の引き出しがなくなってしまいます。基本的に鞭は最終手段のようなものと考えましょう。脚で段階的に弱い合図から少しずつ強めていき反応しない場合、筆者は舌鼓を打ってみます。それでも、反応が変わらなかった場合は鞭を見せ、それでも反応しない場合には鞭を入れています。
いつも、同じ流れを守っていると、鞭を入れられるのが嫌な馬は、舌鼓の時点か見せ鞭をした時点で反応をするようになります。そうすれば、人間も馬も騎乗が楽になります。
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鞭を入れる位置と強さ
基本的に鞭は内側の手で持ちます。右手前なら右手、左手前なら左手に持ちましょう。脚などの合図に反応しなかった場合、短鞭なら馬の肩に鞭を入れます。手首のスナップで、肩に鞭をあてます。このときにこぶし全体で鞭を入れようとすると、こぶしが上がってしまうので要注意です。
まずは肩に軽くさっと鞭で肩に触れてみます。それでも反応しなかったら、肩に軽めに鞭を入れる、それでも反応しなければ、もう少し強めに鞭を入れるといった具合に段階的に強さをあげていきます。同じクラブで騎乗していて、馬の癖や性格が分かっていれば、その馬に合わせて強さやそのタイミングも随時、変えていってくださいね。
また、基本的に鞭は内側に持ちますが、外に膨れる馬の場合は外側に持ってもOKです。臨機応変に使えるようにしましょう。
鞭を使う前の準備
鞭を持って騎乗する際はインストラクターに鞭に敏感な馬なのか、あらかじめ確認をしておきましょう。鞭をちょっと見ただけで、びくっとする馬もいれば、鞭を入れても気づかないことすらあるという馬まで様々です。しかし、どんな馬に乗る場合でも、鞭を入れると思ったよりスピードが上がったり、尻っぱねをしてきたりする可能性はゼロにはなりません。
その場合も、すぐに対応できるように鞭を使う前にしっかり準備をするのが大切です。しっかり手綱を持ち、すぐに引っ張れるように準備しておきます。また、上体も起こして使うようにします。特に部班でレッスンしている場合などは後ろの馬がすぐ近くにいないか、念のため、確認するのも忘れずに。
鞭を怖がる馬には
鞭を怖がる馬もいます。こういう馬の場合は、乗り手が騎乗した後にそっと渡してもらうのがいいでしょう。鞭を受け取っただけで反応する馬がいることからも、鞭を持っているだけでも、馬によっては効果があることが分かります。そのため、よほど前進気勢が強い馬など以外は鞭を持って騎乗するのをおすすめします。ただ、もちろん、怖がる馬には無理に使う必要もありません。
鞭を持ったことによって、馬が怖がりすぎてしまったり、気合が入りすぎてしまったときなどは、インストラクターに一言伝えたうえで鞭を地面に落としましょう。
まとめ
鞭は使い方によって、とても強力なツールになります。ただし、鞭は馬を叱るための道具ではなく、促すための扶助の延長線上にあるものと考えましょう。また、脚で反応しないからと言って、鞭だけに頼るのもよくありません。一番大切なのは脚による扶助であることを忘れずに、鞭を効果的に使っていけるようになりましょう!