【夏のお悩み】馬は虫が苦手!蚊やハエから馬を守ろう
乗馬は年間を通して楽しめるスポーツですが、夏は虫が多いことが問題です。虫が寄ってくると、人間の私たちも追い払うことに必死になり、集中力がなくなります。馬も同様で集中力がなくなります。また馬は虫を追い払うために大きく首を振ったり、肢を大きく上げたりするため、騎乗している人は驚くこともあります。
みなさんはちょっとした工夫で虫を寄せつけない方法をご存知ですか。ここでは虫から馬や人間を守るための方法を紹介します。
蚊やハエはなぜ寄ってくるの?
暑い夏、屋外で楽しい時間を過ごす人はたくさんいます。熱中症にも気を配り、スポーツやレジャー、ガーデニング等、思い思いに楽しんでいる中、鬱陶しく感じるのが蚊やハエなどの虫たちです。乗馬も屋外のスポーツのため、虫たちがやってくることがあります。
出来れば邪魔をしてほしくないものです。どうして蚊やハエがなぜ寄ってくるのか、虫たちの習性をみてみましょう。
蚊が吸っているものは…
汗をかいていると蚊に刺されやすい、体温が高い人が刺されやすい、お酒を飲んでいると蚊に刺されるなど、蚊に刺されやすい人の特徴を聞いたことはありませんか。これは本当なのでしょうか。
実は蚊は、決まった時期に決まった蚊だけが人間を刺して血を吸っているのです。それは産卵時のメスだけです。産卵時のメスは卵の栄養源のために血を吸っているのです。血を吸わないと栄養源が取れないため卵が元気に育ちません。蚊にとっては死活問題です。では、オスや産卵時以外のメスは、何を吸っているかご存知ですか。実は花の蜜や樹液を吸っているのです。
産卵時のメスの蚊は、生物から発生する匂い、温度、二酸化炭素を感知できるといわれています。そのため、血を吸うのは人間だけでなく、犬や猫、馬などの動物にも及びます。
そして、汗をかいている人・体臭がある人は匂いを感知されやすく、また温度を感知することから、体温の高い赤ちゃんや子供は蚊に刺されやすくなるようです。お酒を飲んでいる人はアルコールが分解される際に大量の二酸化炭素を発生させているため、蚊にさされやすくなります。
また蚊は白黒が識別でき、黒が保護色になるために黒い服を着ている人のところに集まりやすくなっています。反対に白い服は集まりにくくなっています。
ハエが集まってくるものは…
ハエを見かけるところは、みなさんイメージが出来るかと思います。腐敗した食品、ゴミ、畜舎、糞尿のあるところなど清潔ではないところです。ハエはこれらの臭いを嗅ぎつけてやってくるようです。
人によっては、「ハエが寄ってくる」と感じる人もいますが、人が出す汗にはアンモニアが含まれているため、それに反応してやってくるようです。その場合は、制汗剤を活用してみるものおすすめです。
また、頭の方にやってくるハエもいます。これは頭皮が髪に覆われているため、頭がにおいやすく、ハエを引き付けてしまうようです。さらに餌となる樹液や腐敗した食品が黒いことから黒を好む習性があり、黒い髪の毛には引き寄せられてしまうようです。
馬への虫対策①:フライシート
馬は敏感な動物でもあり、小さな虫でも近寄ると大きく尻尾を振ったり、肢を上げたり、首を大きく動かし追い払おうとします。人間にとっては想定外の動きでびっくりすることもあるため、虫対策は必須になります。
その一つとして、フライシートがあります。フライシートとは、虫よけ用の馬の洋服です。
工夫されたデザイン
フライシートは首・胸・背中をカバーするもので、お腹をカバーするものもあります。ネックパーツが取り外し可能なもの、フェイスマスクが付いているもの、馬体をしっかり覆うものなど形はさまざまです。
色や柄も、科学的に虫が嫌う色や、実験により虫があまり寄り付かなかった柄のフライシートもあります。
可愛らしいデザインのものを選ぶもよし、徹底的に虫を寄せ付けないフライシートを研究してみるもよし、選ぶ楽しみもあります。
工夫された生地
フライシートを選ぶ観点として、デザインの他に生地もこだわりたいところです。
フライシートの生地に求める要件として、軽量であること、擦れても傷みにくい耐久性、たてがみを保護するための裏地付き、暑さ対策にもなるクールタイプなど状況に応じてそれぞれだと思います。すべての要件をみたす生地は難しいかもしれませんが、優先したいものが何かを明確にし、検討してみることをおすすめします。
馬への虫対策②:虫よけスプレー
虫よけスプレーは手軽に使えるため、人間にとってもレジャーの必需品ですよね。天然成分を使用していて安心して使えるもの、好きなアロマオイルが使われているものなど選ぶ楽しさもあります。またお気に入りのアロマオイルを使ってオリジナル虫よけスプレーを作ることも可能です。
そんな虫よけスプレーには、馬用のものがあることをご存知でしょうか。ここでは馬用の虫よけスプレーについて紹介します。
馬用虫よけスプレー
馬の虫よけスプレーにはさまざま種類がありますが、馬体に直接噴霧することを想定しているときには、天然成分ものを使用すると安心です。また、虫よけスプレーは馬体だけでなく馬房にも噴霧しておくと、虫が寄り付きにくい環境を作ることができます。
そんな便利な虫よけスプレーですが、馬によってはスプレーの「シュッ」という音に敏感に反応して怖がったり、嫌がったりする馬もいます。そんな馬にはスプレーではなく、ローションやジェルタイプの虫よけがおすすめです。
また、日本の伝統的な虫よけとして有名な蚊取り線香は、火を使うため、ちょっとしたアクシデントで火事になることもあります。そのため、蚊取り線香は馬用としては使わないようにしましょう。
馬用の虫よけスプレーは手作りも可能
馬にも人間にも害がなく安心して使える虫よけスプレー。そんなスプレーを作ってみることができます。手作りにすれば、購入するよりもコストを抑え、しかも安心して使用することもできます。
水・お酢・アロマオイルがあれば作ることができます。アロマオイルはレモングラス・シトロネラ・ユーカリなどが虫が嫌う香りといわれていますので、それらのオイルがおすすめです。
なかでもレモングラスは、心が落ち着き、リラクゼーション効果があるとしてアロマに使われています。そのため、レモングラスを使うと馬も落ち着きやすいようです。
スプレーが苦手な馬にはワセリンにアロマオイルを混ぜたものを塗ってあげることもできます。しかしワセリンは油分が多いため、塗ったところに直射日光が当たらないように注意しましょう。
騎乗者が虫から自分を守る対策
馬だけでなく、騎乗者が虫から身を守る方法もあるので紹介します。
まずは服装です。蚊やハエは黒いものに集まってくる習性があるため、白などを選ぶようにします。そして、汗の臭いが虫たちを寄せつけてしまうため、こまめに汗を拭いたり、アームカバーを使用したりして肌を露出させないように注意しましょう。
また洋服は染め方により、防虫作用・消臭効果も期待できます。植物由来の藍染・土由来の成分で染めたベンガラ染めは防虫効果があるといわれています。
その他、虫よけスプレーを使用するのも有効です。虫よけスプレーは市販の物だけでなく、自分で作ることも可能です。
まとめ
虫から馬を守るためにも、汗をこまめに拭いたり、洋服の色を工夫したりするなど、すぐに取り入れられることができる方法もあります。
また研究され、商品化されたフライシートや虫よけスプレーを活用する方法もあります。
フライシートは虫よけを目的とした馬用の洋服ですが、形・柄・生地などはさまざまです。それぞれにメリットがあるので状況にあった物を選ぶようにしましょう。