地面の上でゴロゴロ~ 馬の砂浴びの理由と対策
馬が砂浴びをしている姿や映像をご覧になったことがあると思いますが、どんな理由で砂浴びをしているのか知りたいと思いませんか?色んな理由があるんです!その訳を解説したいと思います。また、皆さんが乗馬中に、馬が急に砂浴びをしたくなったらとても危険で困りますよね。そういう時の対策についてもご案内します。
砂浴びとは?
凛として美しい馬がゴロンと地面に寝転がってゴロゴロしている姿、見たことはありませんか。肉食動物が襲ってきてもすぐに逃げる必要がある草食動物が、そのような行動をとることはあまり想像できませんが、馬は無邪気にそのような行動をすることがあります。
このお茶目な行動は、運動後のリラックスしているときに多くみられるようです。
この行動は一般的に砂遊びといわれます。たいていの場合、足元がフカフカで気持ちよさそうな場所を選び、座り込んだ後にゴロンと横になり、体を地面にこすりつけます。
しかし、馬によっては水たまりで寝転んでゴロゴロする馬もおり、泥遊びになってしまう馬もいます。
この砂遊びは馬だけの遊びではありません。例えば鳥なども砂遊びをします。毛づくろいをしない鳥にとって砂遊びは、羽を清潔にするための手段ともいわれています。また鳥は、砂遊びにより皮膚や羽についた寄生虫を落としていたり、濡れた体を乾かしていることもあります。
では、馬の砂遊びはどんな目的で行われているのでしょう。
皮膚についた虫や汚れを落とすため
馬が砂遊びをする理由に、砂や泥を体にこすりつけて皮膚についた寄生虫を落としたり、汗や泥などの汚れを落とす目的があるといわれています。
寄生虫を落とす
馬は砂遊びで皮膚についた寄生虫を落としているともいわれています。痒い場所があっても馬は自分でかけないため、横になり地面に体をこすりつけてかいているようです。
寄生虫は人間の世界にいると馴染みがなく、驚くかもしれません。しかし人間に管理され、清潔な環境で飼育されている馬にとっても、寄生虫は無縁のものではありません。実際に寄生虫感染はおきるのです。
そして、もし馬が寄生虫感染すると疝痛といわれる腹痛をおこしたり、食欲不振・貧血・下痢などの症状があらわれます。
症状がでたら早めに獣医に相談することで対処することが出来ますが、最悪の場合は命を落とすこともあります。
人間に飼育されている場合は、定期的に駆虫をすることで予防もできますが、馬も砂遊びをすることで予防をしているようです。
汚れを落とす
馬も運動をすれば汗をかきます。そして泥などがついてしまうこともあります。砂遊びにはそのような汚れを落とす目的もあるようです。
人間の感覚では、砂遊びしたら余計に汚れてしまうと心配になりませんか。しかし、馬は横になってゴロゴロすることで砂を体にまぶし、汗や汚れを落としているともいわれています。
ところが、ブラッシング後や水浴び・シャンプー後も砂遊びをすることがあります。このことから、砂遊びをする理由は、寄生虫や汚れを落とすだけではないようです。
ストレス解消のため
馬の砂遊びは、ストレス解消法の一つともいわれています。
人間も人間関係や仕事のことでストレスを感じることがあります。そして、ストレス解消としてショッピングに出かけたり、お酒を飲んだり、友達とおしゃべりをするなど人それぞれの方法でストレスを解消しています。
馬はどのようなときにストレスを感じ、どんな方法でストレス解消をするのでしょう。それらを知っておくと、さらに馬と仲良くなれそうですよね。馬のストレスについて説明します。
馬のストレス
馬は繊細で臆病な動物といわれています。知らない人が近づいてきたり、初めての外乗コースを歩くだけでもストレスを感じる馬もいます。
さらに乗用馬も競走馬もストレスを感じる生活を送っています。人間に管理されている馬は自由気ままな生活ではなく、人間により調教を受け、レースに出場し、人を乗せたりしています。また、食事も決まった時間に決まったものが与えられます。
そして、一日の大半を狭い馬房で一頭だけで過ごさなければなりません。これは群れで生活する馬にとっては大きなストレスです。
さらに競技に出場するため、馬運車と呼ばれる馬専用の車に乗って移動することもあります。馬によっては移動だけで5~10㎏の体重が落ちることもあります。それだけ移動にストレスを感じる馬もいるのです。
このようにして馬は、優しい目の奥にはストレスを溜めこんでいるかもしれません。
競走馬では80%の馬が胃潰瘍を発症しているとも言われています。出来る限りストレスの軽減、ストレス解消につながるふれあいができると信頼関係も築けそうですよね。
ストレス解消
馬のストレス解消には、広い馬場に放される放牧、慣れた外乗コースでゆっくりお散歩、そしてこの砂遊びなどが有効とされています。
人間も広い海や公園などで自由に過ごすと心身ともにリフレッシュできますよね。きっと馬も放牧の時間は解放感を感じながら自由に動くことができ、心身ともにリフレッシュしているのではないでしょうか。
また馬によっては初めての外乗コースのお散歩は緊張してしまう馬もいます。太陽の光を浴びながら慣れたコースのお散歩は、リフレッシュができそうです。
そして、汗や汚れを落とす砂遊びも人間がシャワーやお風呂に入るのと似たような感覚があるもかもしれません。きれい好きの馬にとって砂遊びは砂風呂感覚なのかもしれません。
このように考えると馬と人間の共通点もあり、気持ちが近づけそうです。
馬の砂浴び画像の紹介
馬が砂浴びをする理由はご理解いただけたと思うのですが、実際の砂浴び動画を紹介していただいているサイトがございました。
当サイトの乗馬クラブ検索にも掲載させていただいているホロシリ乗馬クラブ様のプログに馬が砂浴びをしている動画をアップロードされていましたのでご紹介いたします。
馬の満足気な表情は必見です。ご興味のある方はぜひ、こちらもご覧ください。
スクリーンショット:ホロシリ乗馬クラブ【動画あり】馬の砂浴び
騎乗中の砂浴びは危険!馬に砂浴びをさせないための対策
馬のストレス解消にもなる砂遊び、いつでも付き合って、見守ってあげたいところですが騎乗中は危険を伴います。騎乗中は砂遊びされない対策を取っておく必要があります。
騎乗中の砂遊びが危険な理由
砂遊びが大好きな馬たちですが、騎乗中に砂遊びを始めたらどうなるでしょう。想像してみると分かるかともいますが、馬から落とされたり、巻き込まれたり、潰されたりと危険が伴います。競争馬や乗馬にもよく使われている軽種といわれるサラブレットの平均体重は400~500㎏といわれています。そんな馬がゴロンと横になるのに、巻き込まれたらどうなるかを想像してみてください。騎乗中の砂遊びは危険があることを理解し、注意しましょう。
砂遊びをさせないためのポイント
騎乗中は騎乗している人間が馬をコントロールする必要があります。馬に砂遊びをさせないポイントを押さえて、乗馬を楽しみましょう。具体的なポイントを詳しく説明します。
馬の頭を起こす
砂遊びをするとき、砂のないアスファルトでは行いませんしフワフワした地面を好むため、馬は事前に地面を確認します。
馬が地面を見ながら確認作業を行わないよう、頭を起こしておきましょう。そうすることにより、まずは座り込みを防止することができます。
馬の集中スイッチをきらない
騎乗している時でも、ふと馬の集中スイッチきれてしまうことがあります。例えば待機しているときやゆっくり歩いているときなどです。そのような場合は、「人が乗っているよ」ということを思い出してもらう必要があります。
ハミをゆすってみたり、発進の合図にならない程度の脚を使うなどして、人がいることをアピールしてみましょう。その頻度は馬の状態によって変わってくるので、待機時間でも馬をよく観察してみましょう。
また、馬の集中スイッチが切れてしまってからでは手遅れになることもあります。集中スイッチが切れる前の前兆として、首がダランと下がる・違うことを意識し始める・背中の運動が小さくなるなどがあります。
これらの前兆が見えたら馬の集中スイッチを意識してみましょう。
まとめ
馬が大きな体を地面にこすりつける砂遊びという行動。これは、寄生虫や汗、汚れを落とすためのものであったり、ストレス解消のためであったりと馬にとって大切な役割があることがわかりました。
しかし、騎乗中の砂遊びは危険が伴います。騎乗中は馬の集中スイッチが切れないよう、注意するようにしましょう。