背広のスリットの理由知ってた?乗馬がルーツの服3選

乗馬と言えばポロシャツやキュロットといった動きやすい服装でレッスンに参加しているかと思います。しかし多くの方がご存じの通り、乗馬の正式な大会やオリンピックでは、燕尾服やジャケットを着用することが義務づけられています。

正式な大会、特に馬場馬術で燕尾服やジャケットを着用するのには理由があります。また燕尾服やジャケットが今の形になったのは、乗馬が関わってきているのです。

今回は乗馬がルーツになっている服3つを挙げ、詳しく解説していきます。

実は乗馬服!馬乗りの証、スーツのセンターベント

スーツのジャケットにベントと呼ばれる切れ込みがあるのをご存じでしょうか。実はこの切れ込みは乗馬に関係があるのです。なぜ乗馬に関係があるのか、ここで解説します。

スーツのベントとは

スーツを普段から着用する人は、ベントという言葉を聞いたことがあるかもしれません。またベントのデザインによって、着用するスーツを選ぶ人もいるのではないでしょうか。

スーツのベントとは、ジャケットの後ろまたは両サイドに入れられた切れ込みを指します。新しいスーツを購入すると仕付け糸で止められていることもありますよね?このベントがあることで、ジャケットを着ていても動きやすくなります。

このベントには「センターベント」「サイドベンツ」「ノーベント」といったように、デザインがあります。基本的にセンターベントは、細身なスーツや丈の短いスーツなどビジネススーツの多く取り入れられています。

サイドベンツは、サイドに切れ込みが入っていることで腰回りの大きい人も圧迫感を感じずに着用することができます。ノーベントは冠婚葬祭に着る礼服に使われているデザインです。動きやすさを求められないシーンで見られると言えるでしょう。

センターベントと乗馬の関係

数あるベントのデザインの中で、センターベントは乗馬との関係があります。移動手段として乗馬を主としていた時代、ノーベントのジャケットを着て騎乗すると動きにくさを感じていました。

そこで裾の中心に切れ込みを入れたところ、騎乗の際に窮屈さをなくすことができ、動きやすくなったことからセンターベントは生まれました。またセンターに切れ込みが入ることで騎乗したときの裾が綺麗に見えるという理由でもあります。日本ではセンターベントのことを馬乗りと呼ぶこともあり、乗馬と深いかかわりがあることが分かります。

ちなみにサイドベンツは、剣吊りと呼ばれ騎士の証と言われています。サイドに身につけた剣を抜き差しする際に邪魔にならないように、サイドに切り込みを入れたのが始まりだからです。

前身ごろを大胆にカット!モーニングコート

モーニングコートと言えば、新内閣が発足された時に官邸で官僚たちが並んで写真撮影をする光景を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。モーニングコートは格式高い場で着用する物という認識をされていることでしょう。

そんなモーニングコートも乗馬と深いかかわりがあります。ここではモーニングコートと乗馬の関りについて解説していきます。

モーニングコートとは

モーニングコートとは、昼間に着る正装で最も格式高い服装を指します。縦じま入りのグレーのスラックスに黒のジャケットとベストが一般的なデザインになります。中にはグレーのベストを合わせて着用する場合もありますが、華やかな印象を持たれます。

モーニングコートを着用して良いのは、午前中から昼間にかけてという決まりがあります。もともとは貴族が朝の散歩服として着用していたところからモーニングコートとは始まり、19世紀中ごろに昼間の正装として定められています。

似ている正装として燕尾服がありますが、燕尾服は夜の正装になります。また後ろの裾が長くなっているとデザインも似ていますが、前身衣に違いがあります。

モーニングコートと乗馬の関係

モーニングコートや燕尾服がこのようなデザインになったかというと、朝の乗馬の後にそのまま宮廷に上がれるようにしたため、乗馬をしやすいデザインかつ正式な場に着れるデザインのモーニングコートや燕尾服が出来上がったと言われています。

もとはフロックコートという貴族が着ていた、ジャケットが膝丈までの長さがあるデザインのスーツです。フロックコートも昼間限定で着るものです。

朝乗馬を行うことを日課としていたイギリス貴族にとって、フロックコートはどうしても膝まであるジャケットが邪魔でした。乗馬は乗馬、宮廷は宮廷といったように着替えをすればよいのかもしれませんが、フロックコートの前の袖を大きく切り、デザインを変えてその問題を解決したのです。

軍服にもなったジョッパーズ

ジョッパーズと言えば、今では普通にファッションに取り入れられているデザインの一つです。このジョッパーズは乗馬のキュロットの形でもお馴染みです。

では乗馬にジョッパーズのデザインが取り入れられたのはなぜでしょう。ここではジョッパーズと乗馬の関係について解説していきます。

ジョッパーズとは

ふくらはぎから足首にかけてはぴったりとして腰回りはダブダブなデザインのズボンを指します。ジョッパーズはインド北部にあったチュリダーが元になっていると言われています。

腰回りをダブダブにすることで暑い気候でも熱がこもらないようにし、また足首周りをぴったりすることで動きやすくしました。動きやすさとブーツに合わせて着用しやすいという機能面から、乗馬・軍服として取り入れられました。

また最近ではファッションとしてジョッパーズが好まれ、トレンドの一つとされています。

ジョッパーズと乗馬の関係

19世紀後半、イギリスで乗馬用の服として主流だったのは、ブリーチと呼ばれるふくらはぎまでの短いズボンでした。そこに1797年ヴィクトリア女王の在位60周年を祝いに、北インドジョードブルの王子が馬に乗って行う団体球技ポロのチームを率いて表敬訪問しました。その際ポロの試合で着用したジョッパーズの元となるチュリダーがイギリスで話題になり、ジョッパーズと呼ばれイギリスの乗馬ファッションに取り入れられたのが始まりです。

乗馬用のジョッパーズはお尻や膝の内側に補強を施し、より乗馬に使用しやすい形に改良されています。日本ではキュロットと呼んでいますが、この呼び名は日本のみで、海外でキュロットと言っても伝わりません。

まとめ

昔は今よりも馬に乗ることが身近なことで、乗馬は生活の一部でした。だからこそ乗馬がしやすいようにデザインが改良され定着したものが多くあるのです。

身の回りには、乗馬との関わりを感じさせない服でも、ルーツをたどると乗馬との深い関りがあるものが意外とあります。身近なものから乗馬を感じるのも楽しみ方の1つと言えるでしょう。

 

新着記事