乗馬メディア EQUIA エクイア

メインビジュアル

馬のたてがみに隠された秘密の役割

馬といえば、たてがみをなびかせて颯爽と走る姿がカッコいいですよね。さらには、競技会の前に「今回はどんな風に編もうかな?」と楽しみにしている人も多いはず。今回は、そんなたてがみの大切な役割について解説します!

急所を保護する触角の役割

馬のたてがみに隠された秘密の役割

馬のたてがみにはいくつかの役割があると言われていますが、1つめの役割は「急所の保護」です。具体的にどういうことなのか見てみましょう。

馬は「上」が死角

馬は非常に視野が広く、前方~斜め後ろまで見えていると言われています。平面的に見れば、死角はほぼ真後ろだけということになりますね。警戒している状態では馬は首を起こすので、たてがみは「首の後ろを守っている」ともいえます。


また、実は馬にとって上も死角。足元は比較的見えていますが、上はガードが薄い状態です。そこで、リラックスしている状態で首の上方となる項(うなじ)の部分にたてがみが生えていると考えることもできますね。これなら草を食べているときもちょっと安心かもしれません。

実は効果はイマイチ!?

とはいえ、馬が真上から大きな動物に襲われる確率は高くはありません。さらに、肉食動物に襲われた場合に狙われるとしたら、狙われるのは気道に近い首の前側。ということで、実際はどれほど意味があるのか?と言われるとガードとしてはイマイチの可能性が高いようです。


たしかに、同じくオス同士の争いで首を守るためにたてがみがあると言われているライオンも、実際のケンカではお尻を狙われることが多く、最近では「たてがみはガードのための物ではない」というのが通説らしいので同じようなものかもしれません。


ただし、馬のたてがみは“守る”効果自体は薄くても「何かが触れたらすぐに察知できる」というヒゲや触角のような働きは優れています。これが、間接的に急所である首を守るということに繋がっている可能性はありますね。

体温調節の役割

馬のたてがみに隠された秘密の役割

2つめの役割は、体温調整。首の後ろにしか生えていないたてがみですが、どのように馬の体温と関わっているのか見てみましょう。

原産地とたてがみ

人も暑いときは首を冷やし、寒いときは首を温めると良いと言われますよね。馬も同じく、首に太い血管が通っているため体温調整をする上では首の温度が重要です。


そこで、体温調整の要とも言える首の温度を調整するためにたてがみが役立ちます。例えば、寒冷地原産の馬とサラブレッドを見比べると、体毛の長さだけでなくたてがみのボリュームもかなり違うことがお分かりいただけるのではないでしょうか?


具体的には、寒い地域の馬は体温が奪われないよう長いたてがみで首が覆われている品種が多いですね。一方、温暖な地域の馬のほうがたてがみのボリュームは少なく、また熱がこもりにくいよう直毛に近いサラッとしたたてがみをしている傾向があると言えるでしょう。


さらに、たてがみは悪天候のときにも大活躍!雨や雪が直接首にかかると途端に体温を奪われてしまいますが、たてがみが屋根のように首を守ることで首が濡れにくい構造になっていると考えられます。

たてがみで熱中症対策も

たてがみで首が覆われていると体温が保たれるということは、夏はたてがみをサッパリさせてあげると体温を逃がしやすくなるということ。夏はたてがみを薄くすいたり、首が出るように結ってあげたりすると熱中症対策になるそうですよ。


乗馬でよくお世話になるアングロアラブなどはサラブレッドより暑さに強いとされていますが、よくある熱中症対策と併せて「たてがみでの熱中症対策」もしてあげたいですね。

馬の熱中症対策・炎天下での長時間の運動は避ける
・運動後は水洗いなど身体を冷やす
・夏はたてがみをサッパリさせる

異性へのアピール

馬のたてがみに隠された秘密の役割

3つめの役割は、たてがみ=異性へのアピールという説。「え?そうだったの!?」と、ちょっと意外な気がしますよね。どんなたてがみがモテるのか、他の動物の例も見ながら考えてみましょう。

たてがみは生命力の象徴?

私たちから見ると、外見から馬の健康状態を見るならば「たてがみよりも体毛、もしくは蹄や球節かな?」という気がしますが、動物界ではたてがみが一つのバロメーターになっているようです。


動物同士がどのようなポイントを見ているかは明らかではありませんが、どうやらたてがみを見ることで繁殖能力が盛んかな?健康状態は良好かな?など「生命力」とも言える部分を見定めているようですね。

フサフサのほうがモテる?

特にたてがみが重要になるのは、オス。繁殖期のメスから見てオスを選ぶ場合に、やはり生命力が強そう=たてがみが豊富で色つやが良いオスがモテる傾向にあるのだとか。


とはいえ、そもそも馬の場合は種類や個体によってたてがみの量や色は異なるもの。人間から見ると判断がちょっと難しい気もしますね…。これはぜひ、大きな牧場さんなどで実験してみてほしいです。


ちなみに「たてがみは首のガード」という説でもライオンの例を出しましたが、ライオンの世界ではたてがみにボリュームがあって色が濃い個体がモテるという実験結果があるそうですよ。

おまけ:1か月でどれぐらい伸びる?

馬のたてがみに隠された秘密の役割

季節や品種によっても差があるようですが、馬のたてがみは1カ月で平均2cmくらい伸びると言われています。これは、人間の約2倍のスピード。ふと気が付いたら「あれ?ちょっとモサモサしてきてる?」なんてこともよくありますよね。


冬は少し長めでも良いですが、競技会の際に編み込んだりまとめたりするにも日頃お手入れをしておいた方が綺麗にまとまります。尻尾と同じく定期的にシャンプーしたり長さを揃えるなど、綺麗なたてがみを保ちましょう!

たてがみに関するお勧め記事EQUIAでは、馬のたてがみについて他にもこんな記事をご用意しています。

  オシャレの為?リボンをつけた馬や、たてがみを編み込みしている馬の話

たてがみにリボンなんて!すごくオシャレですね!
お馬さんもライダーさんもノリノリになれそうです(^^)

まとめ

風になびくとカッコいい馬のたてがみ。実は見た目だけではなく、自分を守ったり子孫を残すための重要な役割があるようです。普段何気なく見ていたたてがみも「そんな役割があったのか!」と知ると、少し見る視点が変わってくるかもしれませんね。

新着記事