【馬の発情と出産】知らなかった!馬の発情と繁殖期
春先になると、動物たちの出産や動物の赤ちゃんが一般公開されることが伝えられるニュースを、目にしたことがある人は多いのではないでしょうか。命あるものにとって繁殖は、子孫を残すための大切な行動です。繁殖をすることができなければ、絶滅することになってしまうのですから、動物にとって何よりも重要と言えるかもしれません。
動物の中でも馬の繁殖に関しては、人にとっても関心度は高いと言えます。競馬で活躍する競走馬を育てるために、成績の高い競走馬の子孫を何としても残したいと願っているからです。
人間も同じですが、交配によって必ず妊娠するわけではなく、子孫を残すことは簡単なことではありません。また動物によって発情や繁殖の時期や方法は違います。
では馬ではどうでしょうか。どのようなタイミングで発情し繁殖行動(求愛や交尾)を行うのか気になりませんか?今回は馬の発情と繁殖について解説していきます。牝馬の発情や繁殖、牡馬の発情など、馬が子孫を残すためにどのような体の造りになっているのかを紹介します。
牝馬の繁殖期
馬は繁殖の時期が決まっていることをご存じでしょうか。先ほど少し触れましたが、春先に動物たちの出産のニュースを目にすることが多い理由がここに隠されています。
ここでは牝馬の繁殖の時期・繁殖できる年齢・発情時のサインなど繁殖期について紹介していきます。
馬の繁殖時期はいつ?
馬の繁殖時期は、暖かい時期です。馬は「長日性季節繁殖動物」と言われ、1年の中でも日が長くなる時期に繁殖期を迎えます。日本を含む北半球では4~9月ごろです。
馬の他にもオオカミやキツネもこの長日性季節繁殖動物にあたります。逆にヤギや羊といった動物は、短日性季節繁殖動物です。
このように繁殖の時期に違いがあるのは、妊娠期間が大きく関わってきます。馬の妊娠期間は約11か月、ヤギや羊は約5か月です。生れた子供を育てるには、餌が豊富な環境が必須となります。それは暖かい季節であることから、出産時期が春先になるよう繁殖時期を迎えるといえます。
牝馬の繁殖は何歳から何歳まで
牝馬が繁殖できるようになるのは2歳からです。体が成熟するのは4歳ごろと言われており、5~8歳ごろが繁殖にベストな状態と言えます。
また人間と同じで馬も高齢になればなるほど受胎しづらくなります。20歳を超えて出産する馬もいますし、25歳という高齢で出産した馬も実在します。
一般的に馬の受胎する確率は、70%と言われています。逆を言えば30%は受胎できず、受胎できなければ受胎できるまで交配を繰り返し行うことになります。
性格のおっとりした馬の方が受胎しやすいと言われており、性格や体格によっても違いが出てくると言えます。
牝馬がみせる発情サイン
牝馬は発情していない時期に牡馬に近づかれることを嫌います。レッスンの際に馬が嫌がるからと、進む順番を交換された経験はないでしょうか。牝馬は牡馬に近づかれる蹴りを入れるなどして拒絶します。
逆に発情が始まれば牡馬が近づくことを許します。発情のサインは、「フェロモンを含んだ尿をだす」「尻尾を上げウインキングする」「落ち着きがなくなる」といった行動です。また牡馬に近寄ってもらいやすいようにジッと動かなくなる場合もあります。
牡馬は、牝馬が発情していればいつでもOK
牡馬は牝馬のように発情する時期は決まっていません。牝馬の発情に反応し発情します。いつでも発情することができるということです。
競走馬は参加できるレースの関係で、早生まれの方が有利になります。そのため早生まれになるよう繁殖時期を調節することがあります。牝馬の繁殖時期を調整しそれに合わせて牡馬を発情させることも可能です。
また競走馬はレースの成績の良い馬同士で繁殖させ、更に良い走りをする馬を誕生させます。成績の良い牡馬は人気が高く、種付けが集中してしまうことも多いです。その場合、繁殖時期をずらすことも少なくありません。
馬の出産は1度に1頭
馬は人間と同じ哺乳類の動物です。卵で生み落とし育てるのではなく、体内で育ち生れてくるため、妊娠期間は長いと言えます。
馬と人間が違うところは、人間は双子・三つ子といったように、複数の子を妊娠し出産することが可能ですが、馬の場合は基本的に1回の妊娠で1頭が生れるということでしょう。「基本的に」とつけたのは、実は1頭で生れることが多いのですが、稀に双子が生れることがあります。
2012年にはオーストラリアで、2018年にはアメリカで双子が生まれており、世界各地で驚きのニュースになっています。実は2015年には日本でも双子が生まれているのです。地方競馬で活躍したソウヤミサキが、鹿毛の雄と栗毛の雌を出産し話題になりました。
1度に2頭生れる確率は、1000分の1とも呼ばれるほどレアなケースなのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。馬を含め動物たちは、子供たちが豊富な餌を得られるよう、暖かくなってくる春先に合わせ出産できるよう発情し、繁殖を試みることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
特に馬は妊娠期間が長く、犬のように一度に何頭も出産することができないため、子供が餌に困らない暖かい時期に出産できるよう繁殖期を迎えるという、生存率を高める為の工夫が見られます。また牝馬に合わせ牡馬が発情することで、牝馬と牡馬のすれ違いが起こりづらいといえ、子孫を残すための馬の進化を感じさせます。
今回馬の繁殖期を学んだことで、レッスン内で馬の進む順番を変更する理由の一つが明確になりました。この牝馬は後ろに牡馬が来るのが嫌なんだなと、馬の気持ちを想像するのも乗馬の楽しみ方のひとつになるのではないでしょうか。