馬の子育てについて

ハイダーズとフォロワーズ

馬の子育てについて

「ハイダーズ」と「フォロワーズ」という言葉をご存知でしょうか。これらは草食動物の母子関係を表した言葉です。この違いは生息地にも関係しており、草食動物が生きていくための工夫がみられます。
それぞれの意味について説明します。

ハイダーズ

ハイダーズとは、普段、草食動物の母子が一緒にいることが少なく、母が子供を岩や木の陰に隠しておいたり、子供は子供同士で遊んで過ごしたりするタイプです。母子が一緒にいるのは授乳の時くらいになります。
これらのタイプの動物は森林や山岳など、身を隠しやすい場所に生息しており、ヤギなどがこれに属します。

フォロワーズ

フォロワーズは、常に母子が一緒に過ごしているタイプで、馬やヒツジ、ラクダがこれ属しています。牧場で、母馬にぴったりとくっついている子馬を目にすることがよくありませんか?
これらの動物は草原など見晴らしのいいところに生息していることが多く、母や群れが小さな子供を肉食動物から守ります。

子馬の成長

小さな子馬が母馬と一緒にいるのはどれくらいでしょうか。子馬の成長をみてみましょう。
馬の妊娠期間は11ヶ月と人間のように長く、約1年あります。競走馬の場合は、種付け時期が春から夏に行われ、翌年の春に出産の時期を迎えます。
出産は犬や猫のように一度にたくさん産むのではなく、1頭だけです。
草食動物は肉食動物から逃げる必要があるため、生まれてから短時間で、歩いたり走ったりできるようになります。
例えば馬の場合、子馬は生まれて1時間で自力で立てるようになります。妊娠期間は人間の場合と近いのに、立つまでの時間はあまにも違います。
産まれたての子馬は母馬と常に一緒におり、少しずつ、何回も母乳を飲みながら過ごします。

馬の母乳の成分

馬の子育てについて

動物の母乳の成分は、動物の種類によって違います。しかし、どの哺乳類の母乳も子供を育てるために必要な成分や量が備わっています。

母乳の成分

母乳の成分について馬の場合は、犬や家兎、豚や牛、ヤギなど他のペットや家畜に比べて脂肪分が極端に少なく、糖質が極端に多くなっています。
これは人間の母乳の成分に似ています。

授乳期間

授乳期間は6ヶ月が目安ともいわれています。
最初は母乳だけですが、人間の赤ちゃんも母乳から離乳食に移るように、馬の赤ちゃんも母乳を飲みながら、少しずつ母馬と一緒に今後の主食となる牧草を食べるようになります。

離乳

人間の赤ちゃんは離乳食を増やしながら、授乳を減らし、徐々に離乳食も幼児食に移行していきます。そして、それぞれの親子のタイミングで卒乳や断乳を迎えます。
馬の場合は、約6ヶ月で離乳の時期を迎えます。離乳の仕方は、母馬の母乳が出なくなり、授乳を嫌がるのを待つという自然に任せるタイプや、物理的に母馬と子馬を離してしまうタイプがあるようです。
そして馬の場合は、後者の場合からもわかるように離乳というのは単なる授乳が終わるだけでなく、自立が伴います。

離乳後の心配

授乳期が終わるころ、人間の赤ちゃんは授乳がなくなりイライラしてストレスを溜めることがあります。馬の場合は、授乳がなくなりイライラするほかに、自立が促され近くに母馬がいなくなるためのストレスも抱えることになります。
その時に子馬がストレスから変な癖がつかないように注意する必要がでてきます。例えば、柵などをかじりながら空気を飲んでしまうグイッポという癖は有名です。この癖は疝痛といって腹痛も原因にもなります。
初期はその癖を治すことが出来ますが、習慣化してしまうと癖を治すのが難しくなりますので、癖がつかないように注意しましょう。
また、授乳がなくなることで栄養不足の心配もでてきます。単純に授乳から草を食べることに慣れず、カロリーやミネラルなどの栄養素が不足することがあります。その他に、母馬と離れたことによるストレスから食事がすすまず、成長が止まってしまう馬もいます。そしてこの場合、状況に慣れて食欲が戻ってきたときに急激に食べることで、体重も急激に増え、骨への負担の大きくなることがあります。
このように離乳による子馬へのインパクトは大きいものです。しかし、母馬にとってもストレスが大きくなります。いつも一緒にいた子馬がいなくなり、寂しく感じたり、子馬を探したりして食事ができない母馬もいます。また、身体は乳が張り、熱を出すこともあります。
母馬に対しても、ケアを忘れないようにしましょう。

乳母馬について

馬の子育てについて

「乳母馬」という言葉をご存知でしょうか。出産した母馬が死亡してしまったり、育児拒否等により授乳が出来ない場合、乳母馬として変わりの馬が子馬の授乳や育児をします。
どんな馬が乳母馬になるのか、それは日本と海外でも違いがあるので紹介します。

日本

日本では性格が穏やかな重種馬が乳母馬に用いられます。しかし、重種馬と軽種馬では乳の量や行動、性格が違うため、子馬に何かしらの影響があるとも考えられています。
そのため、乳母馬が子馬を受け入れてくれさえすれば、軽種馬の乳母馬は軽種馬が望ましいとされています。

海外

海外では子馬を亡くした母馬を乳母馬が必要な子馬の乳母馬にすることが多いようです。しかしそれは簡単ではありません。母馬はどんな子馬でも引き受けるつもりがあるわけではないのです。
つまり、母馬に自分の子だと勘違いしてもらう必要があるため、ちょっとしたテクニックが必要になるようです。例えばにおいです。乳母馬の亡くなった子馬と同じにおいを子馬にさせたり、乳母馬と乳母馬を必要とする子馬、どちらにも同じ匂いを鼻先に付けておいたりするようです。
実際にわが子でないと分かると蹴って拒否する馬もいます。
しかし、わが子と勘違いをして新しい母子関係を築く馬たちもいます。
子を亡くした母馬が他の子馬を受け入れ育てる様子、母を亡くしたり、育児拒否によりお腹をすかせた子馬が授乳にありつける様子は、同じ生き物として応援したくなりますね。

人間が保育をしない理由

ここでわざわざ子馬と乳母馬を引き合わせるのではなく、人間が哺乳瓶からでも授乳したらいいのではないか、といった疑問もあるかもしれません。
しかし、人間が育てることで出てくる問題は、栄養分の問題だけではありません。
例えば、人間が保育をすることで子馬が人間に慣れすぎてしまうこと、社会性のある馬が遊牧地で保護者や仲間がいなくなってしまうことは問題になるのです。

乳母馬の子馬

新しい母子関係が始まることでホッとする一方で、忘れてはいけない存在がいます。それは乳母馬が実際に出産した子馬です。
乳母馬は出産したことにより、乳を与えられる体になります。つまり乳母馬から生まれた子馬は、ある日突然、母がいなくなり乳が飲めなくなるのです。
また、乳母馬も出産がない年は乳が出ません。乳母馬としての価値がないということです。乳母馬の実の親子関係、乳母馬としての生活をみてみると、忘れてはいけないものがあるようです。

まとめ

馬の子育てについて

同じ草食動物でも、肉食動物から身を守るための工夫が生息地により違いがあること、それにより母子の関わり方に違いがあります。
また、母馬の死亡や育児拒否により子馬の授乳が難しい場合、乗用馬や競走馬など人間が管理している馬ですら人間が保育するのではなく、乳母馬を手配するなどして馬が馬を育てる必要があります。
そこには人間が入り込めない、種の絆を感じます。
しかし一方で、乳母馬とその子馬の親子の絆が切られてしまうことも忘れてはいけません。自分たちにできることは何か。まずは目の前で自分が関わる馬が健康で幸せに暮らせるよう、健康管理をしっかりし、毎日のお世話の時間を大切にしましょう。

 

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