セラピーを必要とする人の役に立ちたい。ホースセラピストとは

ホースセラピーとホースセラピストについて

ホースセラピーという言葉をご存知でしょうか。セラピーという言葉で、アロマセラピーやカラーセラピーなどを連想し、医療行為ではない、「癒し」を目的としたものを想像するかもしれません。
もともとセラピーとは、薬や手術を使用しない治療法のことで、「立つ」「座る」などの動きを訓練する理学療法(フィジカルセラピー)、音楽を聴いたり演奏することで心身の健康を回復、向上させる音楽療法(ミュージックセラピー)、動物を使って病気の症状を和らげる動物介在療法(アニマルセラピー)などがあります。
ホースセラピーは、アニマルセラピーの一種で乗馬療法とも呼ばれています。

ホースセラピー

ホースセラピーを必要とする人とはどのような人で、実際にどんなことをやっているのでしょうか。
ホースセラピーとは、乗馬だけでなく、馬の手入れ、馬の飼養管理、厩舎の管理、馬の観察等を通じて、障がい者の運動機能と精神機能を向上させるリハビリテーションの一つです。
「障がい者」といっても持っている障がいは人それぞれです。肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、発達障害、知的障害の方々を対象にその効果は注目を浴びています。

身体的効果

乗馬は、馬に跨って揺られているだけで、普段と違う目の高さ、馬の温もり、振動、リズムが脳を刺激します。馬に騎乗するとわかりますが、乗馬は全身を使う運動です。馬に乗ってバランスをとるため、腹筋背筋等のインナーマッスルを強化し、バランス感覚を鍛えます。そして普段使わない筋肉を使うことで神経も使い、マッサージ効果もあります。乗馬は優雅に乗っているだけに見えますが、実は有酸素運動でカロリーを消化することもできます。他のスポーツの運動量と比較すると、10分間ウォーキングを行ったときの消費カロリーが40キロカロリー、エアロビクスが42キロカロリーだったのに対して、乗馬は46キロカロリーになります。
また、足や膝に負担がかけられず、ウォーキングやエアロバイクなどの有酸素運動ができない人にとっても、乗馬は負担なく行えるスポーツになります。
日本では国民保険などの適用にはなっていませんが、ヨーロッパ諸国の中には、その効果から保険が適用され、ホースセラピーが積極的に行われているところもあります。

精神的効果

馬は群れで行動する、社会性のある心優しい草食動物です。そんな馬と触れ合うことで馬の気持ちを考えるようになり、気持ちが通じ合う喜びを経験するようになります。そして、馬の温もりに孤独感が癒され、安らぎや愛情が生まれます。
また、自分より大きい馬に乗ること、動かすことが、最初は怖く感じるかも知れません。しかし、サポートを受けながら自分で動かせるようになると自信回復につながります。
ホースセラピーを必要としない人にとっても、乗馬は普段と違う視線の高さ、環境などによりストレス解消につながります。

ホースセラピスト

ホースセラピストとは、ホースセラピーを受ける人に乗馬の技術、馬の世話の仕方を教えながら、セラピーを受ける人の心身の状態を観察し、フォローするお仕事です。そのためにもセラピーを受ける人の心身の状態を理解する必要があります。
また、ホースセラピーはセラピーの先生でもある馬が心身ともに元気でないといけません。馬にも癒しや幸せを感じてもらえる心身のケアが必要になりますので、ホースセラピストは、馬についての知識も必要になります。

ホースセラピストに向いているのは?

ホースセラピーはセラピーを受ける人の他に、当然ホースセラピストや馬が必要になります。ホースセラピストに向いている人はどんな人でしょう。ホースセラピーにむいている馬はどんな馬でしょう。

ホースセラピストに向いている人は?

ホースセラピストはセラピーを受ける人だけでなく、馬の状態も理解する必要がありますので、人と馬、どちらも好きな人に向いています。
また、セラピーを受ける人は、持っている障がいがそれぞれ違いますし、障がい者(児)以外にも高齢者であったり、小さな子であったりもします。そのような方にも積極的にコミュニケーションが取れる人に向いている仕事です。

ホースセラピーに向いている馬は?

ホースセラピーでは、たいていゆっくり常歩で歩くことが多く、早く走る必要も、障害を飛ぶ必要もありません。それより馬に求められる要素は、性格です。穏やかで人懐っこい、また物音などに過敏すぎないところも大切なポイントです。これは、もともと馬は臆病な性格もあり、物音にびっくりすることがあります。それをみたセラピーを受ける人が驚いたり恐怖を感じたりすることを予防するためです。

ホースセラピストに必要な資格とスキル

ホースセラピストは、馬と触れ合いながら、セラピーを受ける人の喜びや効果を感じることができる、魅力のある仕事です。ホースセラピストになるにはどうしたらよいのでしょうか。必要な資格やスキルはあるのでしょうか。

ホースセラピストの資格

ホースセラピストの資格は、現在、明確な基準はなく、それぞれの団体がそれぞれの基準で審査し、認定しています。ホースセラピストの養成コースがある団体をいくつか紹介します。

馬の学校 アニマル・ベジテイション・カレッジ

馬の学校アニマル・ベジテイション・カレッジ(アニベジ)は、将来「馬のプロ」として活躍していけるよう指導が受けられる学校で、騎手養成コース、きゅう務員養成コース、インストラクター養成コース、ホースセラピスト養成コースなどさまざまなコースが用意されています。ホースセラピーコースは馬の動きを理解する必要があります。そのため、全国乗馬倶楽部振興協会の1級を取得し、乗馬の基礎をしっかり身につけます。さらに、馬のことだけでなく医療、福祉、教育などについても学びます。

(社)日本ホースセラピー協会

一般社団法人日本ホースセラピー協会でもホースセラピストを養成するための講座が用意されています。イントロダクションコースからスタートし、いくつかのコースがあります。養成コースを受講し、その課程の修了者にはディプロマが発行されます。

ホースセラピストの研修

ホースセラピストには、養成コースを受ける他にも、各団体が募集している研修生として、実際に馬の世話や牧場の仕事の手伝いなどをしながら勉強していく方法もあります。研修後はそのままそこで仕事が出来ることもあります。

ホースセラピストに必要なスキル

ホースセラピストに求められるスキルは、馬に対してのものとセラピーを受ける人に対してのものと、両方あります。具体的には、乗馬インストラクターとしての知識、馬の管理、調教に関する知識、そしてセラピーを受ける人の心身の状況を理解する知識とそれを引き出すコミュニケーション力が必要になります。

まとめ

ホースセラピーを必要としている人はいますが、現在日本では保険の適用でもなく、まだまだ活用される場は少ないのが現状です。しかし、その効果はセラピーを受ける人の身体面、精神面で結果がでています。
そんなホースセラピーを支えているのが、馬とホースセラピストです。馬は穏やかで人懐こい性格が求められ、ホースセラピストは、馬の管理・調教に関する知識など馬についての知識はもちろん、セラピーを受ける人の心身の状況を理解する力ももとめられます。
現在、ホースセラピストの資格は明確な基準もなく、また統一もされた試験もありません。ホースセラピストの仕事に興味があれば、養成コースを用意している団体や研修生を募集している団体を探し、自分に合う団体を調べてみることをおすすめします。

 

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