気付いてあげよう!馬が感じるストレスについて
馬のストレスの原因は?
人間や人間の生活を助けるための農耕馬や馬車馬など、人間の生活に彩をプラスする、乗用馬や競争馬、ホースセラピーの馬など、馬は古くから人間の生活に密接に関わってきました。
時には、人間は溜まったストレスを抱え、癒しを求めて乗馬を楽しむこともあります。では、馬はストレスをどのように解消しているのでしょうか。そもそも、馬のストレスの原因はなんでしょうか。ストレスの要因もいくつかあるので説明します。
物理的要因
馬は運動や輸送、痛みや暑い寒いといった気温など、物理的な要因が原因でストレスを感じることがあります。これらは、人間である私たちも経験あるのではないでしょう。馬も高強度の運動に対してストレスを感じることがあることはわかっています。また、競技馬や競走馬は競技会やレースに参加するためには輸送は付き物です。輸送中は、長時間にわたる狭い場所での拘束と振動に耐えなければなりません。馬の身になるとストレスを感じるもの当然です。馬はこれらのストレスにより、疝痛という消化器系の症状や発熱など体調を崩すことがあります。
心理的要因
馬は本来、群れで生活し、好きな時に草を食べて移動する動物です。しかし、乗用馬や競走馬として人間に管理されている馬は、仲間と離れて一頭だけで、馬房で過ごす時間がほとんどです。また食事も好きな草を長時間かけて食べるわけではなく、決められた時間に決められたものを食べます。毎日のことで気が付かないほど些細なストレスかも知れませんが、こういったストレスも日々溜まっていくものです。
また馬の生活の中で、新しい環境に身を置くということも、臆病な馬にとっては不安も大きくストレスになります。
生物学的要因
馬も人間と同じように、細菌やウィルスが体内に入ってくると、腹痛や発熱などにより体調を崩します。人間もそういった症状は、身体的にも辛く、また思うように動けないことから精神的にも辛くなることがあります。こういったことが馬にとってもストレスにもつながります。
馬がストレスを感じたときに見せるしぐさ
馬と人間は同じ言語を使って気持ちを伝え合うことができません。しかし、馬はしぐさや動作などを通して、人間に気持ちを伝えてきています。会話が出来ないからこそ、馬のしぐさや動作、表情に注意をする必要があります。特に、馬にとって耳は、犬にとってのしっぽのように気持ちが表現されやすい場所です。
馬がストレスを感じている時に見せるしぐさの例をいくつか紹介します。
耳をピンとたてる
馬の耳がピンと立っている時、その方向に気になるものがいたり、あったりします。馬は見慣れないもの、聞き慣れないものがあったりすると緊張してしまいます。低く穏やかな声で声をかけてあげると少し落ち着きます。
耳を小刻みにクルクル回す
考え事をしていたり、どうしていいのか分からないでいる時、不安を感じて耳をクルクル回しします。まるで情報を収集しようと耳をアンテナ変わりにしているような様子です。
耳を後ろに倒す
不満、不愉快という気持ちを耳を後ろに倒すことで伝えています。人間の動作や指示に対して耳を後ろに倒すようなら、何が原因だったのか、観察してみましょう。
耳を頭に着くくらい後ろに絞る
耳を真後ろにギュッと絞っている時、強い怒りや不快感の表れです。威嚇のために噛んだり、後ろ足で蹴り上げたりすることも考えられます。急に触ったり近づいたりせず、低い声で穏やかに声をかけるか、落ち着くまで待ちましょう。また、歯をむき出しにして怒っている場合もむやみに近づかず、落ち着くまで待ちましょう。
前掻き
馬は「食べ物が欲しい」「水が欲しい」「体を掻いてほしい」など、人間に何かを求める時に前肢で地面を掻く動き、前掻きをして注意をひきます。しかし、この前掻きは、要求するときだけでなく、不快に感じている時にそれを解消するように行うことがあります。また、疝痛による苦痛で前掻きをすることがあります。疝痛の場合、命にかかわることもあるので、前掻きをする時は不快を感じるときだけはないことを覚えておき、注意しましょう。
あくび
あくびというと、人間は眠い時にするものですが、馬はそれだけでなく不安や緊張があるときにそれらを取り払う意味合いであくびをします。これは馬だけでなく犬も同じようです。人間はリラックスして眠い状態の時にあくびをするので、馬や犬があくびをすると、リラックスしているようで安心してしまいそうですが、不安や緊張があることに気付き、対処してあげたいところです。
馬にとってのストレス解消法は?
人間はストレスを感じると、ショッピングを楽しんだり、旅行に出かけたり、お酒を飲んだり、カラオケしたりと、人それぞれの解消法でストレス解消に努めます。では、乗用馬や競走馬など人に管理されている馬にとってストレス解消にはどんな方法があるのでしょか。
放牧
なんといっても放牧は、多くの馬が喜ぶストレス解消の一つです。放牧では馬たちは自由に走ったり、草を頬張ったり、ゴロンと寝転がったり思い思いに楽しんでいるのがよくわかります。草を食べるのも、じつは手当たり次第食べているわけではありません。体調に合わせて草を選別して食べているようです。しかもその草は直前まで地面に生えているフレッシュな草です。それが馬にとって自然の姿なので、放牧は馬にとってリラックスすることができる対処法の一つになります。
慣れた外乗コースを歩く
外乗コースがある場合は、ゆっくりお散歩するのもストレス解消になります。人間にとってもお散歩がストレス解消になる人もいます。馬も同じですね。コースは慣れているコースの方が緊張や不安がないのでおすすめです。しかし、新しいコースを冒険することでリフレッシュできる場合もあります。馬によって性格や好みは違いますので、馬に合わせてコースを選んであげましょう。
音楽
これも人間と共通のストレス解消法です。音楽を聴くのもストレス解消になります。音楽のジャンルは、人間の場合、ヒーリングミュージック、クラシック、ロックなど人それぞれですが、馬の場合は、落ち着いた音楽がよいとされています。
人が寄り添う
他にも、いつもお世話をしてくれる人に優しく寄り添ってもらうのも、ストレス解消になっているようです。人間も誰かにそばにいてほしい、話を聞いてほしい時があると思います。人間と同じ言葉を持たない馬ですから、流れ作業のように接するのではなく、一頭一頭信頼関係を築いていくことが大切です。
まとめ
本来馬は、自然の中で食べたい草を選びながら食べ、仲間と群れで過ごす動物です。そのため、人に管理され、人を乗せ、調教されたりすることは馬にとってストレスになることは想像できます。人に管理されている馬にとって、ストレスは付き物です。そこで一頭一頭の縁を大切にし、馬のしぐさなどでストレスに気付いていあげることが大切です。そして、ストレス解消法は馬にとって好みがあります。その馬が好むストレス解消法を見つけ、馬のストレスを軽減してあげられるように注意してあげましょう。