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馬のメス×ロバのオス=ラバ(騾馬)

顔が長くて、耳も長い…。みなさんは馬とロバの違いが分かりますか?ロバのオスと馬のメスの子であるラバを知っていますか。ラバは、馬とロバのいいとこどりをしたような優れた家畜で、様々な用途で重宝されてきました。また、馬のオスとロバのメスから産まれた子はケッティと言います。今日はそんなラバやケッティについて迫ってみます。

馬とロバの違い

馬のメス×ロバのオス=ラバ(騾馬)馬のメス×ロバのオス=ラバ(騾馬)

まずは馬とロバの違いについて、確認していきましょう。馬とロバは、どちらも哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属に属した動物であり、家畜として世界各地に広まりました。

どちらも5500万年ほど前に北米やヨーロッパに生息していたと言われている「ヒラコテリウム」という体高30cmほどの動物を祖先に持ちます。住みかは森林で、前肢に4本、後ろ肢に3本の爪を持っていました。ここから、進化をすすめて、100万年ほど前に生まれた爪が1本になった「エクウス」を直接の子孫として、馬とロバは分岐します。遺伝子も97%は一致しているそうで、見た目が非常に似ているのも納得です。

体の大きさは馬に軍配が上がります。ポニーであっても100キロ超えが珍しくなく、大きな種類であればトンを超えてくる馬に対して、ロバの平均体重は100〜250キロほどだそうです。体高もロバが0.5〜1.5mなのに対して、馬はサラブレッドで160cm前後、ばん馬などの重種では、170〜180cmにもなります。

体のサイズ以外に見た目で大きく違う体の特徴に、耳としっぽがあります。耳はロバの方が長く、馬の方が短いです。馬のしっぽには根本から、その名のとおり、ポニーテールのように毛が生えていますが、ロバの場合は先の方にだけ、毛が生えているという大きな違いがあります。

性格は馬の方が扱いやすいようです。ロバも人には馴れますが、頑固な性格をしていて、一旦、機嫌を悪くしてしまうと動かなくなってしまうこともあります。馬にも似たような性格がありますが、ロバの頑固さは馬の比ではないと言われています。筆者は海外でロバタクシーに乗ったことがあります。鐙を履かずにしばらく乗っていたら、ロバの機嫌を損ねてしまったようで、動いてくれていたものの終点まで、ずっと怒っていたことを思い出しました。そんなロバたちも、オーナーさんの乗っているロバの後ろに長い列を作って帰宅の途についていました。機嫌を損ねることさえなければ、従順でおとなしい性格をしているようです。

忍耐強さや環境への適応はロバに軍配。昔から過酷な状況や粗食でも耐えられる丈夫さと忍耐強さから、特に交通手段として重宝されていました。

ラバの特徴

馬のメス×ロバのオス=ラバ(騾馬)

ラバは馬のメスとロバのオスをかけ合わせて生まれてきた子のことを言います。遺伝子には、父側から受け継ぐものと母側から受け継ぐものがあります。体の大きさは母親のサイズに似ると言われているそうで、母親が大型馬であれば、その母と同じくらいまで体が大きくなることが理論的には可能です。そのため、ロバより大きく産まれてくるラバもいるそうです。

性格もロバのように気分を害することがなければ、非常に従順でウマよりも調教がしやすいと言われているとか。体が大きく、従順で丈夫であることから、ロバのように交通機関のほかにも軍事用途などにも使われてきました。

ラバの起源について、はっきりしたことは不明だそうですが、自然に交配することはなく、人間の手を介して生まれた種だろうとのこと。紀元前にはすでに重宝されていた、と言われています。

繁殖能力はありませんウマとロバの染色体数の違いが理由であると考えられています。しかし、まれに妊娠するケースもあるそうです。また、2003年にはアメリカのアイダホ大学でIdaho Gemという名前のクローンラバが世界で初めて誕生しました。弟のIdaho Starも同じくクローンラバですが、2頭ともラバレースに出走して、見事に勝利を収めたそうです。

馬のオス×ロバのメス

馬のメス×ロバのオス=ラバ(騾馬)

それでは、逆の場合はどうなるのでしょうか。馬のオスとロバのメスをかけ合わせて生まれた子は「ケッティ」と言います。実は「ケッティ」の妊娠自体が非常に珍しいことだそうです。ウマ科の雑種は、一般にロバを父に持った方が生産しやすいと言われており、馬を父に持つケッティは生産そのものが難しいものと考えられます。また、馬のオスとロバのメスは相性が悪いとも言われており、これもケッティが珍しい理由の一端を担っているようです。

ケッティの特徴

馬のメス×ロバのオス=ラバ(騾馬)

ケッティはロバよりも少し小さいサイズの個体が多いようです。耳はウマより長いけれども、ロバより短く、毛色などを含めた外見は、どちらかと言うとウマに近いとされています。また、歩法は父の遺伝子を受け継ぐとされており、父馬の歩法を受け継いだケッティを作ろうとした生産者もいたようです。

しかし、ラバと比べて、ケッティには体の弱い個体が多かったため、生産頭数もどんどん減っていき、現在では非常に珍しい動物になったようです。また、ラバ同様に繁殖能力もありません

まとめ

今回は馬とロバ、その子のラバとケッティについて、ご紹介しました。同じウマとロバの子なのに、こんなにも特徴が違います。ラバが古代のころから、ずっと重宝されているのは知りませんでした。現代でハイブリット種と呼ばれる動物たちの走りなのかもしれません。次に動物園でラバを見たら、その歴史に思いをはせてしまいそうですね。

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