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約97%同じ遺伝子を持つ「ウマ」「シマウマ」「ロバ」

「ウマ」、「シマウマ」、「ロバ」は全て奇蹄目ウマ科ウマ属の動物です。同じ「アケボノウマ(ヒラコテリウムとも言います)」を祖先に持ちます。アケボノウマは体高が25〜45センチで犬やキツネほどの大きさでした。ヨーロッパでは絶滅しますが、北アメリカでは進化を続け、やがて子孫が世界中に広まります。今回は約97%の遺伝子が同じであると言われている「ウマ」、「シマウマ」、「ロバ」の特徴や違いに迫ります。

それぞれの特徴や違い

「ウマ」、「シマウマ」、「ロバ」の遺伝子には、約3%の違いしかありません。3%の違いなんて、ないも同然と考える方も多いかもしれません。しかし、人間とチンパンジーの遺伝子の違いはたった1%程度と言われています。では、この3%がアケボノウマの子孫3種にどのような違いを生み出しているのでしょうか。それぞれの特徴とあわせて見てみましょう。

ウマ

約97%同じ遺伝子を持つ「ウマ」「シマウマ」「ロバ」

みなさんがよくご存じのウマ。大きな体に長い四肢、ふさふさのたてがみとしっぽが特徴です。知能が高く、人間によく慣れるため、5000〜6000年前の中央アジアではすでに家畜化されていました。

残念ながら、純粋な野生馬はすでに絶滅しています。現存する野生馬は家畜化された馬が逃げ出して、野生の環境で生活を始めた個体であることがDNAにより裏づけられました。

天敵から身を守るために、足が速くなったと言われており、最高速度は90km/h弱にも達すると言われています。群れで暮らし、性格は穏やかです。寿命は20〜30年ほど。

シマウマ

約97%同じ遺伝子を持つ「ウマ」「シマウマ」「ロバ」

シマウマの特徴は何と言っても、あのシマシマ柄です。耳は大きく、たてがみは短く立っています。しっぽは先の方に毛が生えています。鳴き声はどちらかというとロバに近いようです。主な生息地はアフリカの草原やサバンナ。走る速度は65km/hほど。

厳しい環境を生き抜くためか、気性は荒く、家畜化には成功していません。また、年を取るとさらに気性が荒くなるそうです。天敵に狙われると、群れで一団となり、後肢でキックをみまって撃退するチームワークのよさもあります。寿命は野生か飼育下にもよりますが、20〜25年と言われています。

ロバ

約97%同じ遺伝子を持つ「ウマ」「シマウマ」「ロバ」

体高は90〜150センチほどで、ウマ科ではもっともサイズが小さいとされています。長くて大きい耳が特徴。走るスピードは約25km/hと馬に劣りますが、持久力は豊富です。しっぽはシマウマと同じく筆のような形をしています。

丈夫で、過酷な環境や粗食にも耐えられるため、世界中で人の生活を支えています。知能も高く、人によって態度を変えることもあります。世話をしてくれる人には慣れて忠実ですが、嫌いな人は無視するという頑固な性格をしているようで、扱いはウマより難しいと言われることも。

ウマやシマウマと同様に群れで暮らしますが、馬車など複数頭での行動は苦手です。ロバは長寿な動物で、野生で25〜30年、飼育下なら40〜50年生きるとされています。

「ウマ」と「シマウマ」の子供

約97%同じ遺伝子を持つ「ウマ」「シマウマ」「ロバ」

ウマとシマウマの間に生まれた子供はホース(horse)とゼブラ(Zebra)を合わせてゾース(Zorse)と呼びます。

父がシマウマで、母がウマであることが多いですが、父がウマ、母がシマウマでもゾースは生まれます。外見はウマに近く、縞が首や肢に現れることが多いようです。親ウマの毛色に黒い縞模様が入ります。

ゾースの気性はシマウマほど荒くなく、乗馬にも用いることができます。ただし、馬よりコントロールするのが難しく、初心者には向きません。

日本でも、北海道の牧場で2019年に2頭のゾースが誕生しています。乗馬のトレーニングには馬用の鞍を使用したようです。

「ウマ」と「ロバ」の子供

約97%同じ遺伝子を持つ「ウマ」「シマウマ」「ロバ」

ウマとロバの子供の場合、父がロバなら「ラバ」、母がロバなら「ケッティ」と呼ばれます。

ラバはウマの力強さと賢さ、ロバの丈夫さや過酷な環境への適応能力が引き継がれていることが多く、家畜として昔から重宝されているようです。両親より優れた特徴を持つ「雑種強勢」であると言われています。欠点は、ロバゆずりの頑固な性格にあります。一度、不機嫌になってしまうと全く動かなくなってしまうこともあるそうです。

逆にケッティには、体が小さくて弱い個体が多く、家畜としての需要はあまりありません。そのため、生産もほとんどされていないようです。

ラバには繁殖能力がありません。これは、ウマとロバの染色体数が異なるためだと言われています。ウマには64本、ロバには62本の染色体があり、ラバは63本で生まれてきます。それでも発情期はあり、理論上は妊娠が可能です。ごくまれですが、実際に妊娠した例もあるそうです。

まとめ

ここまでウマやシマウマ、ロバの特徴や違いについて、ご紹介しました。遺伝子のたった3%の違いが、体つきや性格、用途にこんなにも大きな違いをもたらしているのですね。

動物園でウマやシマウマ、ロバを見る機会があれば、是非、比べてみてください。

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