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【まるでプードル】くるくる巻き毛の「アメリカン・バシキール・カーリー」

「馬の絵を描いてください」と言われたら、ほとんどの方は短い被毛とさらさらストレートのたてがみや尻尾を描くのではないでしょうか。

実は、犬のプードルのような巻き毛の馬もいるんです。

今回は、くるくる巻き毛のアメリカン・バシキール・カーリーをご紹介します。

呼び方もいろいろ。謎に包まれた起源

【まるでプードル】くるくる巻き毛の「アメリカン・バシキール・カーリー」

アメリカン・バシキール・カーリーは、「ノース・アメリカン・カーリー・ホース」、「カーリー」など様々な呼び名を持つ北米の馬の品種。

かつてはロシアのバシキール種に由来すると考えられていましたが、つながりを立証する根拠はなく、遺伝子検査でも関係性を証明することはできていません。

このような事実が明らかになったのは「アメリカン・バシキール・カーリー」の呼び名が定着した後だったので、血統登録団体American Bashkir Curly Registry(ABCR) は混乱を避けるために従来の呼び名を支持。

その後、2000年にInternational Curly Horse Organization(ICHO)が設立されたときに「バシキール」は組織名から外され、この団体では「ノース・アメリカン・カーリー・ホース」または「カーリー」の呼び名を採用しています。

アメリカン・バシキール・カーリーの歴史

【まるでプードル】くるくる巻き毛の「アメリカン・バシキール・カーリー」

1800年代前半には北米に巻き毛の馬が存在

1801年から翌年にかけて、アメリカ先住民のスー族がクロウ族から巻き毛の馬を入手したという記録が残っています。

また、映画『グレイテスト・ショーマン』の主人公、P・T・バーナムの1848年の自伝に「ショーに使う巻き毛の馬を購入した」という記述があることから、1800年代前半には北米に巻き毛の馬がいたと考えられます。

ダメレ家による育種

1898年、北米ネバダ州の牧場主ジョン・ダメレは、野生のマスタングの群れの中に巻き毛の美しい馬を見つけます。

数年後、巻き毛の馬を捕獲することに成功したダメレ家は、調教して販売するため、放牧飼育を開始しました。

1932年、非常に厳しい冬がこの地域を襲います。ようやく春が来た頃、山に放牧していた馬たちを見にいくと、生き残っていたのは巻き毛の馬たちだけ。ダメレ家は巻き毛の馬、カーリーたちが寒さに強く、たくましいことを実感します。

1951、52年にも厳しい冬が続いたことから、ダメレ家はカーリーの繁殖を本格的に開始。
野生のマスタングの群れの中から育種の基礎とするために巻き毛の牡馬を捕獲し、コッパーDと名付けます。
コッパーDは種牡馬として活躍。ダメレ家は純粋な血統にこだわらず、モルガン種やアラブ種、クォーターホース系統などの品種も用いて改良を行います。

その結果、穏やかで賢く、寒さに強く頑強なカーリーが育種されました。

現存するカーリーのほとんどは種牡馬コッパーDの子孫とのことです。

アメリカン・バシキール・カーリーの特徴

【まるでプードル】くるくる巻き毛の「アメリカン・バシキール・カーリー」

体格、外見

多様な品種と広範囲に交配されているため、体格や外見はさまざまですが、ABCRの公式サイト(ABCR、Breed Standard、https://abcregistry.org/breed-standards/)には、カーリーの外見の特徴や体格が明記されています。

また、あらゆる毛色が認められます。

被毛、たてがみ、尻尾

冬の被毛は長く、強くカールしていますが、夏には長い巻き毛がほとんど抜け落ちることがあります。

たてがみや尻尾もカールしており、夏に抜け替わります。これは他の品種の馬ではあまり見られないことです。

低アレルギーの可能性

馬アレルギーの人でもカーリーにはアレルギー反応を起こしにくいといわれています。「カーリーの被毛にはアレルギー反応の原因となるタンパク質がない可能性がある」との研究が行われたのですが、正式には発表されていないとのこと。

今後、研究が進むと正確な情報が報告されるかもしれません。

写真を見たい方はこちらへ

ICHO公式サイトにはフォトギャラリー(ICHO、Photo Gallery、https://ichophotos.weebly.com/)があります。

かわいいカーリーたちの写真がたくさん載っていますので、のぞいてみてくださいね。

アメリカン・バシキール・カーリーの性質と適性

【まるでプードル】くるくる巻き毛の「アメリカン・バシキール・カーリー」

性質

カーリーは穏やかで頭がよく、従順。正しく扱えば、スムーズに調教することができます。
他の馬なら驚いてパニックになってしまうような場面でも、パニックを起こさずに落ち着いて考えて行動してくれるそうです。頼もしいですね。

適性

ダイナミックな動き、優れた持久力で馬場馬術や障害馬術の競技馬として活躍するほか、穏やかで忍耐強いため初心者のレッスン馬にも向いています。

また従順でタフなことから、牧場で牧畜作業をこなしたり、荷物を運搬することも。

独特の美しい毛並みは品評会で注目を集めます。

まとめ

外見が特徴的でかわいらしく、賢く穏やかなアメリカン・バシキール・カーリー。
そのほとんどは北米で飼育されています。

北米まで会いに行き、巻き毛をなでたくなってしまいました。

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