メリーゴーラウンド(回転木馬)の歴史と人気施設
遊園地の定番・メリーゴーラウンド。みなさんにもお気に入りの場所があるのではないでしょうか。この記事では、乗馬愛好家や馬好きの皆さんでも、なかなか知る機会の少ないメリーゴーラウンドの起源や歴史に迫ってみます。
メリーゴーラウンドの起源
メリーゴーランドの起源はフランス。馬上槍競技の練習のために、貴族が作った回転木馬がメリーゴーラウンドの原型です。これが「ジュ・ドゥ・バーグ」と呼ばれる槍でリングを取る遊びに発展。ちなみにこのころは、柱についた棒を人力で動かすことで木馬を回転させていたそうですよ。あのマリー・アントワネットもヴェルサイユ宮殿にメリーゴーラウンドを作らせました。
1860年ごろには、蒸気機関により自動化されました。ヨーロッパでは、お祭りにメリーゴーラウンドがお目見えすると、貴族気分が味わえるということで大人気だったとか。当時、馬は貴族のみが騎乗を許されるものだったため、一般市民は正装をしてメリーゴーラウンドに乗りに来たそうです。
日本で初めてメリーゴーラウンドが設置されたのは大阪で開催された1903年の第5回内国勧業博覧会。その後、1918年には浅草の「木馬館」に常設されました。
日本最古で世界一のメリーゴーラウンド「カルーセルエルドラド」
日本で最も有名なメリーゴーラウンドは、としまえんにあった「カルーセルエルドラド」でしょう。エルドラドとは大航海時代に南米の奥地にあるとされた伝説の黄金郷を意味します。名前に引けをとらない豪華絢爛で瀟洒なアールヌーヴォー様式なのに、どこかノスタルジックな雰囲気をまとっていたのは、全て手彫りで製作された繊細さゆえでしょうか。
「カルーセルエルドラド」は1907年、ドイツの機械技師だったヒューゴ・ハッセにより、設計・製造されました。ハッセによってメリーゴーラウンドは世界中に一気に普及していくことになります。その代表格である「カルーセルエルドラド」はヨーロッパ各地を巡った後、1911年に海を渡り、ニューヨークの遊園地に設置されました。フランクリン・ルーズベルト大統領もエルドラドに乗ったことがあるとか。
1964年にニューヨークの遊園地が閉園したのち、としまえんが買い取って、はるばる日本までやってきました。としまえんでは、1971年から稼働を始めます。「世界一のメリ―ゴーラウンド」との呼び声の高かったカルーセルエルドラドは2010年に日本機械学会の機械遺産として登録され、2020年にとしまえんが惜しまれつつ閉園するまで現役を貫きました。
としまえん閉園時の報道では、移転先が決まるまで、西武グループの倉庫で保存されるとのことでした。その後、移転先が決定したというニュースがないので、現在も倉庫にて保存されているのだと思われます。
メリーゴーラウンドと言えば、筆者にとっても、としまえんのエルドラドでした。カルーセルエルドラドの周りだけ、時間がゆったりと進んでいるような、いつも不思議な雰囲気を醸し出していました。特に夜のエルドラドが好きで、暗くなったら必ず乗っていました。どこかで、また乗れたらと願うばかりです。
ちなみにメリーゴーラウンドは英語で書くとMerry-go-round。直訳すると「楽しく回ろう!」という意味になります。今日も日本中の遊園地でたくさんのお客さんが楽しく回れるように、木馬たちが稼働しています。そのうちのいくつかをご紹介します。
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西武園ゆうえんち
西武園ゆうえんちの熱気に集まった動物たちがメリーゴーラウンドで楽しませてくれます。馬だけではなく、ライオンやキリン、カエルにだって乗れちゃいます。動物たちのユートピアが夕暮れからライトアップをして、お客様をお出迎え。0歳のお子様もお母さんと馬車に乗って、お楽しみいただけます。
西武ゆうえんちでは「昭和」がテーマの「夕日の丘商店街」も大人気。メリーゴーラウンドに乗れば、さらにさかのぼって17世紀ヨーロッパの優雅な雰囲気を楽しめます。1つの遊園地でいろんな時代を楽しめそうですね。
ひらかたパーク
ひらかたパークにあるのは、イタリアからやってきた2階建てのおしゃれなメリーゴーラウンド。2階建てのメリーゴーラウンドは日本でもかなり珍しいそうです。
疾走感を出すために馬のしっぽには、かつらに使う人工毛を使用しています。こだわりの細かい演出が素敵なのと同時に、どこか懐かしい雰囲気がただよいます。写真を撮るには1階、眺望の良さなら2階がおすすめですよ。
ひらかたパークではウェディングフォトのロケーションサービスも実施しています。ウェディングドレスを着て、メリーゴーラウンドで写真を撮ることもできるとか!ロマンチックなロケーションでスペシャルな一枚は、いかがでしょうか。
横浜・八景島シーパラダイス
横浜・八景島シーパラダイスのメリーゴーラウンドはアメリカ製。20世紀初頭の木馬専門彫刻作家たちの流れを受け継ぐサンフランシスコの専門店で製作されました。馬も馬車も床も天井も木製なので、とても温かい雰囲気。バンドオルガンの優しくレトロな音色と4万個のイルミネーションもお楽しみいただけます。
ちなみに「シーパラ」は、エルドラドのとしまえんから「バブルシューティング」、「バタフライダー」、「フライトイーグル」の3つのアトラクションを引き継いで、たくさんの子供たちを笑顔にしています。
まとめ
赤ちゃんからお年寄りまで、年齢に関係なくファミリーで楽しめるメリーゴーラウンド。なんとなく歴史が長いのだろうと思っていましたが、装飾が豪華だったのはその起源に理由があったのですね!歴史を知ったうえで乗ってみると、また違った楽しみ方ができるかもしれません。