世界で一番最初に乗馬をした人が判明⁈
馬は大昔から人間の活動に大きく貢献しており、その歴史は非常に深いものです。馬が家畜化されたのは紀元前4000年から5000年とされています。
家畜化された当時は、馬の力強さと速さを利用した「荷物の運搬用」や「食肉用」としての役割を持っていました。すると次第に人間は馬に騎乗するようになり、さらに馬の利用の幅を広げていきました。人間が馬に騎乗することで馬の高い運動能力をさらに引き出すことができ、一説によれば「乗馬によって5倍の速さで移動し、10倍の量を運ぶことができるようになった」とされています。
そんな人間が馬に騎乗することは馬の家畜化から7000年たった現代でも多く利用されています。
では、馬に騎乗するようになったのはいつ頃で、誰が始めたのでしょうか。この問題は長年、未解決のままで詳細な結論は出ていませんでした。
しかし、2023年3月にこの問題の解決に有力とされる研究が発表されました。この記事では今回判明した情報を分かりやすくまとめていきます。
乗馬の歴史を知ることでさらに乗馬ライフを楽しめるかもしれません。
誰がいつ乗馬を始めたの?
サイエンスアドバンシスに掲載された研究によれば乗馬を始めたのは「ヤムナ人」という民族で、乗馬が始まったのは紀元前2500年から3000年とされています。
ヤムナ人とは、ウクライナ平原で暮らしていた民族のことで馬だけでなく牛や羊も家畜化して暮らしていました。
どうやって調べたの?
では、どのようにしてヤムナ人が乗馬をしていたと調べることができたのでしょうか。
今回、ヤムナ人が乗馬をしていたと判断できたのはヤムナ人の「骨」が特徴的だったからです。
人間の骨はある一定の動作を繰り返し行っていると、そのストレスにより形状が変形したり、摩擦によって削れてしまいます。
ヤムナ人の骨を調査したところ乗馬をしていた可能性が高い骨の形状や削れが発見されました。そのため、ヤムナ人は乗馬をしていたとされています。
乗馬をしていた証拠とされた特徴
上記でヤムナ人の骨には乗馬をしていた特徴があったと解説しました。では、その特徴とはどのようなものなのでしょうか。
今回の研究により明らかになったヤムナ人が乗馬をしていたとされる特徴は2つあります。ひとつは脊椎の摩擦による損傷です。乗馬をすると繰り返し起こる上下運動で脊椎に衝撃が加わり、少しづつ摩擦により削れて行きます。現代では乗馬をする際は鞍を使用し、その衝撃を和らげているので脊椎損傷の心配はありませんが、ヤムナ人はそのような馬具を使用していないためより顕著にその特徴が見られています。
ふたつめは太ももの骨の肥大です。乗馬では脚の筋肉をよく使います。そのため乗馬をしていた人は太ももの筋肉の肥大に伴い骨まで肥大するのです。
以上の2つの特徴がヤムナ人の骨に見られたため、ヤムナ人は乗馬をしていたと言われています。
しかし、一部では「これらの骨の特徴は乗馬だけで発生するものではなく、牛車に乗るなどのその他の活動によっても起こりえる物であるためヤムナ人が乗馬をしていたという証拠にはならない」という反論的な意見もあります。
まとめ
いかがでしたか?乗馬の起源について詳しく理解できましたでしょうか。
この記事の重要なポイントは以下の通りです。
- 馬の家畜化は紀元前4000年から5000年
- 乗馬が始まったのは紀元前2500年から3000年と考えられる
- 乗馬を始めたのはヤムナ人と考えられる
- ヤムナ人の骨の形状から乗馬をしていたと判断できる。