【馬と触れ合う時】やってはいけない危険行為
馬は身体が大きくどっしりしたイメージがあるかもしれませんが、とても繊細で警戒心が強い動物です。そのため、ふとした瞬間に私たちの行動が馬を怖がらせたり驚かせたりしてしまうかもしれません。今回の記事では、馬と触れ合うときに気を付けたい「やってはいけないこと」と、その理由について解説します!
馬の後ろに立つ
乗馬をやっている人だけでなく、体験乗馬やポニーの引き馬でも「危ないから馬の後ろに立ってはダメ」「蹴られてしまう」と聞いたことがある人は多いでしょう。では、そもそもなぜ後ろに立つと蹴られやすいのか、近付くときはどうしたらよいのか確認していきましょう。
なぜ馬の後ろに立ってはいけないの?
馬は、むやみに人間を蹴る生き物ではありません。しかし、馬は自然界では捕食される側の動物だった歴史があり、危険を感じたときは逃げるだけでなく、後脚で天敵を蹴って身を守る習性があります。
そのため、不快なことをされたり強い不安を感じると、相手が人間であっても蹴ることはあります。特に、真後ろを中心とした後脚よりも後ろは、馬にとっての死角。みなさんも、死角に人が立っていたら不安だし、その人影が急に動いたら「それが知っている人かどうか」など確認するより先にビックリしてしまいますよね。
人間がビックリした場合は飛び退いたり身をかがめたりする程度ですが、馬は蹴ったり立ち上がったりする場合もあります。「いくら馬の視野が広いとはいえ、よく見えない範囲もある」ということを意識し、人間と馬の安全のためにも馬が人間を認識しやすい位置でかかわりを持ちましょう。
馬に近づくときのコツは?
馬に近づく際は、必ず斜め前方からゆっくりと近づきましょう。また、声をかけながら「ここにいますよ」と馬に自分の存在を知らせることも大切です。馬がこちらに注意を向けてくれたら、ゆっくりと鼻よりも下の位置から手のひらや手の甲を近づけてにおいを確認してもらいます。
そこで、馬が歯をむき出したり耳を伏せたりといった拒否的な反応を見せなければ、首や肩などに触れてみましょう。もし、後脚の裏掘りや尻尾・おしり付近のブラッシングなど馬の後方に近づく必要があるときも、馬から「触れてもいいよ」と容認された状態で徐々に後ろに移動すればOK。ただし、馬がほかのものに驚いたり虫を追い払おうと後脚を動かすことはあるので、馬の動きには常に注意を払ってくださいね。
大きな声や音を出す
馬は音によって周囲の状況を把握するため、聴覚に敏感な動物です。これも自然界で身を守るための進化ですが、人間と過ごす環境では大きな声や音に驚いてしまうことも多いでしょう。
馬はどんな音が苦手?
馬は、どんな音にも過敏というわけではなく、大きな声や突然の物音を警戒します。特に、馬同士のコミュニケーションでも何かを知らせたり警告するときは高い音で鳴くことが多いためか、甲高い声に反応する馬は多いようです。
なお、飼料の運搬や馬場の整備に車両を使っている乗馬クラブでは「トラクターの音など、結構大きいのに驚かないこともある…」と感じるかもしれません。実は、馬は聴覚に関する記憶力がとてもよく、聞き慣れた音は「この音はしても安全だな」と認識しているため、音量が大きい=驚くというわけではないようです。逆に、音量はさほど大きくなくても聞き慣れない音には大きな反応を見せる馬もいるでしょう。
馬を落ち着かせる声とは?大きな音がしたらどうする?
馬にとっては、ゆっくりと低めの声が「落ち着ける声」とされています。馬に話しかける際は、こうした穏やかな声で話しかけるようにしましょう。また、大きな音を立てないよう注意し、落ち着いた環境を保つことも重要です。
しかし、自分たちが気を付けていても聞き慣れない環境音に馬が驚いてしまうこともありますよね。驚いた馬は暴れたり逃げたりすることがあるため、慣れない環境音がしたら馬の反応をよく観察し落ち着かせる対応をしましょう。騎乗中であれば、急な動きに対応できるよう体勢を整えておくことも必要です。
いきなりお腹を触る
どんな部位でも、馬がそちらに意識向けていないのにいきなり触るのはよくありません。なかでも、お腹のまわりに触れられるのはあまり好きではない馬が多いようですね。では、いきなりお腹に触れるとどのようなことが起こるのか、馬に触れたいときはどうしたらよいのか見ていきましょう。
お腹をいきなり触ると嫌われてしまうかも
人間も「わき腹をつつかれたらくすぐったい」という人は多いと思いますが、馬もお腹の周辺は敏感で、触れられると不快だったりビックリしたりする場所のようです。特に、近付いて行っていきなりお腹を触るのはNG!馬は真後ろへの蹴りのほうが強力ですが、予期せずお腹に何かが触れた場合、振り払うように前方にも蹴ることができるので気を付けましょう。
また、こうした事故につながらなかったとしても、馬が「この人の動きは予測できなくて安心できない」と感じれば信頼関係を築きにくくなってしまいます。
馬に触れるときはどうすればいい?
触れる前に、まず今回の記事の前半で紹介したようにゆっくりと近付き、馬が「触ってもいいよ」というモードになったことを確認しましょう。そして、触れるときは肩や背中などの比較的触られても平気な部位から始めるのがおすすめです。
ちなみに、馬の身体の中でお腹以外に敏感なのは、顔や耳の周辺。また、個体差はありますが脚に触れられるのを嫌がる馬などもいるようです。こうした部位に触れる際にも、馬が嫌がっていないか様子を見ながら触れましょう。
まとめ
馬と触れ合う際は、馬の本能や特性を理解したうえで慎重に接することが大切です。馬が安心できる接し方を心がけることで信頼関係が深まり、大好きな馬と一緒に安全で楽しい時間を過ごせるようになっていくはずですよ!