【馬のお腹の冷えに注意!】危険性と対策方法
馬は寒さに強いといわれています。夏の暑さには弱い馬たちも、冬には放牧場で元気いっぱい走り回る姿を目にします。
とはいえ、寒い季節になるとお腹の調子が悪くなる馬が多くなります。
私たち人間同様、馬もお腹が冷えることで腹痛を引き起こすことがあります。腹痛は最悪の場合、死に至ることもあるため、注意しなければいけません。
今回は、馬のお腹の冷えによって生じる危険性や、その予防法についてまとめました。
冷えから起こる症状
馬の腹痛は疝痛(せんつう)と言います。疝痛には、原因や症状が複数あります。
今回のテーマとなっている、冷え・寒さなどが原因で引き起こされる疝痛を痙攣疝(けいれんせん)といい、疝痛の症状の中でも最も多いものといわれています。
疝痛には他にも、食べ過ぎによる過食疝、便秘が原因の便秘疝、消化器官内にガスが発生することによって起こる風気疝などがあります。
さらには腸内に寄生虫が発生して起こるものや、消化管の捻れ、胃炎や胃潰瘍などが原因となって発症する疝痛もあります。
疝痛は初期の対応が重要になります。
症状が酷くなると手術が必要になったり、最悪の場合は死に関わることもあるからです。
お腹の冷えが原因の疝痛は、私たち人間と同様にお腹がグルグル、ゴロゴロと鳴ったり、馬糞(ボロ)が柔らかくなったりします。
まずはお腹を冷やさないように予防すること、そして疝痛を起こした場合はできるだけ速やかに適切な処置を行うことが大切です。
防寒対策
人間は寒ければ洋服を重ね着したり、エアコンなどの暖房器具で防寒対策をします。
馬の場合、どのような防寒対策があるでしょうか。
馬は暑さにはとても弱い反面、寒さには比較的強い動物です。
しかし、それでも冬場の防寒対策は必要です。
馬の防寒対策としては、人と同じように服を着ることが挙げられます。
馬着(ばちゃく)や馬衣(ばい)と呼ばれる服を着せます。
馬着には、薄手から厚手のものまで色々な種類があります。気温によっては重ね着させることもあります。
また、馬は自身で防寒対策をおこなうこともできます。
寒くなると、馬は冬毛と言われる長い毛を生やして寒さから身を守るのです。
特に皮膚の薄い部分である胸前や腹、ひ腹などの体毛がよく伸びます。
冬毛は皮膚が一定期間寒さにさらされるとその反射として生えてきます。
人間に管理されている馬は馬着などで防寒対策をおこないますが、野生の馬はこの冬毛によって防寒対策をおこなうのです。
そのため普段から馬着を着ていない馬は、着ている馬に比べて冬毛が多く生える傾向があるので、競走馬や乗用馬などは冬毛が少ない傾向にあります。
普段から保温のために馬着を着せていることも多く、厩舎のつくりによっては冬でも暖かい環境を維持できるからです。
運動が終わった後でまだ体温が高いときにブラッシングをすると、冬毛はよく抜けていきます。
競走馬や乗用馬で冬毛があまり生えていないということは、手入れがしっかり行き届いているという証拠ともいえるでしょう。
冬場のお手入れ時の注意点
寒い時期でも、皆さんは楽しく乗馬をされていることと思います。
夏のように汗をかく事も少なく、また馬に乗ると身体が温まって気持ちが良いですね。
では、冬場の騎乗の際に私たちが気をつけることにはどんな事があるでしょうか。
騎乗前
騎乗前のお手入れや馬装については、ほぼいつもの順番で馬装をおこなって良いのですが、少しだけ配慮する事があります。
鞍を乗せるまでは、馬着を着せたままで準備をしていきます。
ブラッシングの際は、肢元が終わったら馬着を半分ずつ脱がしてブラッシングをおこないます。
ブラッシングが終わったら、馬着を脱がせて鞍を乗せます。
可能であれば、腰にはエクササイズシートをかけてあげると良いでしょう。
馬が汗をかくようなしっかり目の運動をする時は、途中で脱がせることも考え、エクササイズシートは鞍の上から装着します。
ハミは金属でできているため、冬場はかなり冷たくなっています。
頭絡をつける前に、ハミをお湯につけて温めておくと、馬も気持ちよくハミを咥えてくれるでしょう。
騎乗中
騎乗する前に、乗り手は少しだけでも良いので身体を温めておくことをお勧めします。
冬場は寒さで体が硬くなりやすいので、そのまま乗ると馬上でも硬さが出て乗りにくくなる上、体が温まるまでには時間もかかります。騎乗中に手先やつま先が冷たくて痛い時などは、無理せず騎乗を止めて下さいね。
乗り手同様、馬も夏場よりも身体が硬くなっているので、温まるのに時間がかかります。
準備運動の常歩で、しっかりとほぐしてあげましょう。
また馬同様に、乗り手も暑くなったら上着で調整しましょう。
人も汗をかいてしまうと、その後体が冷えてしまいますので、十分に気をつけて下さい。
運動が終わった際のクールダウンは、馬体が冷えないように早めに終了しましょう。
騎乗後
馬装を解除したら、馬体が冷えないように馬着や毛布などをかけます。
汗をかいている部分には、馬着よりも毛布や厚手のバスタオルをかけてあげましょう。
ジェットヒーターがあれば、汗を拭きつつ馬体を乾かすことができるので便利です。
汗をかいていない場合は馬装の際と同様に、半分ずつ脱がしてブラッシングをしてあげましょう。
馬体のお手入れが終わったら、馬着を着せ肢元のお手入れをしていきます。
冬場は冷たい水を飲まない馬もいるので、そのような場合はぬるま湯をあげてみて下さい。
また、冬場に洗い場に長時間立たせるのは負担になるので、手短にお手入れを済ませましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、お腹の冷えが原因の疝痛について、その危険性や予防法についてまとめました。
人と同じように、馬にとってもお腹の痛みは辛いものです。
馬が辛い思いをしないよう、少しの変化も見逃さずケアをして下さいね!