乗馬メディア EQUIA エクイア

メインビジュアル

【馬にもある】換毛期について

動物は季節が変わるタイミングで、毛が生え変わることによって体温を維持しています。この毛の生え変わる時期が換毛期です。冬にはフワフワして密集して体温を保ちやすい長い毛が、夏はぱさっとして熱気をこもらせない短い毛が生えてきます。実は馬にも換毛期があるんです。今回は馬の換毛期について深掘りしていきます。

換毛期とは

【馬にもある】換毛期について

換毛期とはこれからの気候に合わせて、冬毛から夏毛に、夏毛から冬毛に生え変わることを指します。冬毛は地域にもよりますが、早いところでは2月くらいから抜け始め、3月にはピークを迎えます。寒冷地では1ヵ月ほど遅れて抜け毛がピークに達します。夏毛は9月ごろには抜け始めて、2ヵ月くらいでおさまることが多いようです。気候が暖かくなってきたり、寒くなってきたりすると毛が生え変わると思われがちですが、馬は気温だけではなく、日の長さでも季節の移り変わりを認識します。

馬は長日性季節繁殖動物です。目から光の刺激を受け、日照時間の長さから脳が春を認識するとホルモンが分泌されて発情を迎えます。競走馬の繁殖牝馬にはライトを当てることで、まだ寒い時期から春が来たと誤認させることによって発情を起こしています。同じ原理で、冬毛を伸ばさないためや冬毛から早く夏毛に換毛させるために、ライトコントロールをすることもできるんです。ライトコントロールをすると、春が来たと脳が認識し、換毛に関係するホルモンが分泌されるようになり、換毛が促進されます。競走馬には、冬毛を必要以上に伸ばさないために、よくライトコントロールが行われます。

それでは、なぜ冬毛が伸びているのはよくないと言われているのでしょうか。自然に近い環境で暮している馬にとっては、冬毛が生えてこないと命に関わります。しかし、人間と一緒に暮している馬たちは、調教などの強度の強い運動をして汗をたくさんかきます。冬毛をまとっていれば、余計に汗をかくことに。汗を大量にかいたあとに、体が急激に冷えてしまうと風邪をひいてしまったり、疝痛を起こしてしまったりする可能性があります。そのため、乗馬クラブでも冬には馬着を着せて冬毛を必要以上に伸ばさないようにしているところが多いようです。

毛の周期変化

【馬にもある】換毛期について

人間にも毛の周期があるように馬の毛にも周期があります。周期は人間のものと同じで、成長期→退行期→休止期です。これを毛周期やヘアサイクルと呼びます。人間の場合は男性が3〜5年、女性で4〜6年で1周期になりますが、動物の場合は短く、1〜2年程度のことが多いのだとか。成長期では一定の長さまで毛が伸びて、退行期で成長が止まり、休止期では毛が脱落し、次の発毛に備えます。

このほかに発毛や脱毛に影響するのは栄養。栄養の取れている馬は発毛も脱毛も順調に行われますが、そうでない馬は周期が乱れてしまいます。特に高齢の馬は栄養を吸収しづらくなることにより脂肪が減ってしまい、いつまでたっても冬毛が抜けきらないことがあります。しかし、高齢馬の場合は、内分泌系の異常によって毛が長くなってしまうクッシングという病気であることも考えられるので、注意深い観察が必要です。

換毛期のお手入れ

【馬にもある】換毛期について

換毛期のお手入れにはブラッシングが有効です。こまめにブラッシングをして抜けかけの毛を除去してあげましょう。換毛期には、牛の汚れとりなどに使われるステンレス製のスクレイパーを使う方が多いのではないでしょうか。抜け毛はよく取れますが、タッチが強めなので肌が敏感な馬は嫌がるかもしれません。ストリップコームやグルーミングコームと呼ばれる抜け毛がよくとれるグッズを使う手もあります。また、手元にある道具を自分なりにいろいろと工夫した道具を使っていらっしゃる方も。

暖かくなってきたら、馬を丸洗いしてあげるのもいいでしょう。ブラシをかけながら、水で洗ってあげると抜け毛も汚れもよく取れて、馬もさっぱりします。たくさん日光にあててあげるのも◎。

それでも、冬毛から夏毛になかなか生え変わらない場合、シェイバーで毛刈りをする方法もあります。馬用のシェーバーも販売されていますので、そちらを活用するのもいいでしょう。ただし、かなりの音がしますので、音に敏感な馬には根気よく馴致を行ってから使います。海外では、毛刈りをクリッピングといい、馬をいろんなスタイルに毛刈りするプロもいるんです。運動後の過度な発汗を抑えたり、ショーに出る馬をおしゃれにしたりするためだったり、いろいろなタイプのクリッピングスタイルがあります。

まとめ

今回は馬の換毛期についてご紹介しました。乗馬や競走馬など運動をする馬にとって、体を守ってくれるはずの冬毛が風邪や疝痛などの原因になってしまうのでとても意外でした。馬たちに快適に過ごしてもらうためにも、馬着を着せてあまり毛を伸ばさないようにしたり、ライトコントロールを行うなどの対応の準備を進めていきましょう。体にかかる負担がかからないように準備をしていきましょう。

新着記事